鯛を食べると「日本人でよかった」とつくづくおもうのである。(鯛酒蒸し)

2014/04/25

昨日は冷凍してあった天然鯛を酒蒸しにした。

鯛の酒蒸し

鯛を食べると、「日本人でよかった」とつくづくおもうのである。


 
鯛好き日本人の例に漏れず、ぼくもやはり鯛は好きで、これはもちろん、鯛はあらを買うと「安い」というのはあるのだけれど、鯛の味は「つくづくうまい」とおもうのだ。

下処理さえきちんとすれば、味つけはほとんどいらず、塩と少量のしょうゆだけで、完璧なバランスになる。

和食の、まさに「黄金」ともいえる味で、これに匹敵するのはハマグリだけだとぼくはおもう。

しかし日本では高級魚の代表格ともなっている鯛は、他の国では、珍重されることはほとんどないとのことなのだ。

 

韓国や台湾でも鯛はとれるそうなのだが、べつに高級魚でもなんでもなく、単に大衆魚の一つに過ぎないそうだ。

オーストラリアでも鯛はとれるそうなのだが、オーストラリア人からは評価が低く、食べもしないそうである。

鯛をありがたがるのは日本人に特殊な事情のようなのだが、ぼくはこれは、日本人がニンニクを使わないからではないかとおもうのだ。

世界の中で、ニンニクをほとんど使わないのは、たぶん、日本だけなのである。

 

ニンニクは、世界の有力な料理の、ぼくの知っている限りすべてで、調味料の主役として使われている。

中国や韓国はもちろんだし、東南アジア、インド、ヨーロッパ、ロシア、すべてニンニクは使われる。

だからある意味、ニンニクを調味料として利用するのは、「世界標準」なのである。

その世界標準から日本だけが、外れていることになる。

 

ニンニクを使ってしまうと、和食の味がぶち壊しになることは、言わずとしれた話である。

ぼくは一度、ニンニクを使った料理を献立のメインに据えたら、煮びたしなど他の和食メニューが、全く味がしなくなったことがある。

鯛やハマグリのえも言われぬあのうまさは、ニンニクを使わないからこそ感じられるものだろう。

そう考えると、世界から日本の料理を見たばあい、「ニンニクを使わないことが特徴」とすら、言えるのではないかとおもうのだ。

 

しかしこの「日本がニンニクを使わない」ことは、単なる偶然の産物ではない。

あるとき明確に「禁止」されている。

鎌倉時代、禅宗で、「不許葷酒入山門」とされたのがそれである。

禅宗は当時、単に一宗教団体ではなく、日本の政治や文化に大きな影響をあたえる存在だったのだから、禅宗がニンニクを禁止したのは、日本が公式にニンニクを禁止したのと近い意味があっただろう。

 

ぼくはこれは、一種の「鎖国」だったのではないかとおもうのだ。

当時の日本をとりまく世界で、中心だった中国の、影響力をそぐためである。

 

日本の文化が、起源が中国にあるというのは言うまでもない話だ。

仏教はもちろんそうだし、それ以前に文字である「漢字」が、中国から来たものだ。

仏教や漢字が自分で歩いてくるわけはないから、当然中国から、また中国の影響をつよくうけた朝鮮から、人が渡ってきたのである。

これら渡来人は、文化の中心から、辺境の国へ来たのだから、当時の日本で、幅を利かせていたにちがいない。

 

そうなると、日本に元々からいた人たちは、面白くなくなることだろう。

そこでこの渡来人の影響力を、何とかそごうと考えたとしても、不思議ではないのである。

 

そこでまず奈良時代に、渡来人たちが好きだった「肉」を禁止することになる。

この「肉食禁止令」は実際に、「渡来人の影響力をそぐため」という説もあるそうである。

ぼくは鎌倉時代にニンニクが禁止されたのも、おなじ文脈ではなかったかとおもっている。

さらに江戸時代に入ると、本当に「鎖国」されることになる。

 

このように日本の鎖国は、なにも江戸時代に始まったものではなく、いわば日本は文化を獲得して以来、鎖国しつづけていると言ってもいいくらいなのだが、日本の文化は、こうした状況の中で花ひらいてきているのである。

料理もおなじで、「ニンニク」と「肉」という世界標準から、意図的に距離を置くことにより、世界に類を見ない、独自の体系が発展したといえるとおもう。

 

ところが時代が下り、日本は鎖国を解かなければならなくなった。

「黒船」が来たからである。

日本は海に囲まれているから、それまでは侵略の危険から逃れることができていた。

ところが世界の技術は進歩して、いよいよ日本も、侵略と対峙しないといけないことになったのだ。

 

ぼくはそれから、日本の苦難の歴史ははじまったのではないかとおもう。

本当は日本は、鎖国していられれば、それが一番よかったのだ。

べつに「世界に進出しよう」などと思わなくても、ぬくぬくと居心地のいい社会があったのである。

しかしそれが出来なくなったところから、日本は浮き沈みするようになったのではないだろうか。

 

「日本80年周期説」というのがあり、日本は「幕府崩壊」「日露戦争大勝利」「太平洋戦争敗戦」「バブル絶頂」と、40年おきに浮いたり沈んだりを繰り返しているというのだが、ぼくはそれが、妙に納得できるのだ。

これはぼくは、日本人の、「世界標準から距離をおきたい」とおもいがちな、精神構造に由来しているのではないかとおもう。

 

鎖国をしてきた歴史があるから、日本人は今でも、世界標準とは無関係に独自の発想をし、それが世界に受け入れられることがあるとおもう。

車や家電製品を「小さくする」などというのも、たぶんそういうことだろう。

それがあまりに独自だから、当たるとデカイ。

一気に坂を、登りつめていくわけである。

 

ところがこれが、いったん風向きが変わってしまうと、転げ落ちるのも早いことになる。

世界標準を意識していないから、世界標準が変わってしまうと、ついていけないことになる。

日本は、アナログからデジタルへの変化には何とか対応できたけれど、そこから「ネット」が生まれ、一気に世界から離されることになった。

さらに今、再生可能エネルギーの領域でも、大きく水をあけられようとしているわけである。

 

しかしぼくは、これはもう、仕方ないのではないかとおもうのだ。

今さら「世界標準」などと言ってみても、鎖国体質の日本人には手につかない話であり、日本のどこにもない特徴を、うすめることにしかならないだろう。

それよりも、日本はこれから、日本にしかできない、独自のものを生み出すことに専念するのがいいのではないか。

それが当たれば、またしばらくは、上がっていくという話である。

 

ぼくは日本はそれでいいし、これからも、それしかないとおもうのだ。

鯛を食べるたびに、「日本人に生まれてよかった」とつくづくおもうからである。

それに「80年周期」であるとすれば、人生80年の時代、誰にとっても、よい時代と悪い時代を経験できることになる。

公平な話なのである。

 

というわけで、いつもながら、前置きが長くなったが、「鯛」なのである。

鯛の酒蒸し

前回買った天然鯛の、下処理だけしたのが冷凍してあったから、これを「酒蒸し」にすることにした。

酒蒸しも、煮付けとならんで、鯛の代表的な食べ方だ。

鯛は臭みがほとんどないから、蒸すだけで十分うまいという話である。

 

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さて鯛の酒蒸しをつくるのだが、べつに家に冷凍しておいたものでなくても、スーパーや魚屋であらを買ってくれば問題ない。

あらは80度くらいの熱湯で湯通しし、そのあと水でよく洗って、血のかたまりやヌメリ、うろこなどをていねいに落とすようにする。
 

冷凍してあるばあいは、流水解凍するようにする。

鯛の酒蒸し作り方(1)

冷凍したナマものは、冷蔵庫に1日おいて自然解凍するのが一番だが、流水解凍なら20~30分で、十分おいしく解凍できる。
 

蒸し物は、べつに蒸し器がなくてもできる。

鯛の酒蒸し作り方(2)

深めの鍋に小皿をおき、水を入れて、その上に蒸すものを入れた皿をのせるのである。
 

鯛を料理するばあいは、あまり余分なものをゴテゴテ入れないほうがいい。

せっかくの鯛の味が、にごってしまうからである。

酒蒸しにも、入れるのは豆腐だけ。

鯛の酒蒸し作り方(3)

鯛と豆腐を深めの皿にならべたら、酒大さじ2ほど、うすくち醤油大さじ1ほどを、鯛の上からかけるようにする。
 

鍋には水を3カップほど入れて、強火にかけ、湯気が出てきたら中火にする。

鯛の酒蒸し作り方(4)

蒸し時間は15分がちょうどである。

 

ざく切りにした三つ葉を添える。

鯛の酒蒸し

一点のくもりもない、黄金の味である。

 

鯛の味がしみた、豆腐がまたうまい。

鯛の酒蒸し

たまった汁も、もちろん全部飲み干すのである。

 

あとは、カブの吸物。

カブの吸物

一番だしに吸物の味をつけ、厚く皮をむき8等分にしたカブの身と、ざく切りにしたカブの葉、湯をかけて油抜きし、細く刻んだ油揚げを煮る。

これがぼくは、大好物なのである。

 

カブの皮と茎、だし殻の昆布とかつお節の炒め物。

カブの皮と茎、だし殻の昆布とかつお節の炒め物

ゴマ油と輪切り唐辛子で炒め、酒としょうゆで味つけする。

 

オニオンスライス。

オニオンスライス

かつお節に、からし酢醤油にゴマ油をちょこっとたらしたタレをかける。

 

「ぼくもロシアで生まれたけど、今は日本人だよ。」

チェブラーシカのチェブ夫

そうだよな、お前はオレの親友だしな。

 

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