おれは、鯛のあらにはゾッコンなのだ。
結婚してもいいと思っているほどだ。(ウソ)
まず、値段が安い。鯛は切り身だと400~500円はするところ、300円ほど。
それでいて、味はバツグン。脂が乗った部位だから、煮たり焼いたりする分には、切り身より断然うまい。
年中出ていて、季節によってそれほど味が上下しない。「腐っても鯛」の言葉通り日持ちがするから、まとめて買っても問題ない。
鯛は、実にありがたい魚なのだ。
自炊をするには、ぜひとも活用すべきである。
鯛のあらは吸い物にするのがまたウマイ
鯛あらは、まずは「塩焼き」するのが、いちばん簡単で、しかもうまい。塩焼きは、味つけは本当に塩だけで、大根おろしや醤油などはかけなくていい。
鯛は、塩を加えるだけで完璧な味になる。余分なものを加えないようにすることが、むしろ鯛を料理する場合のコツだといえる。
この鯛あらの塩焼きが、さらに色んな料理に使える。酒蒸しや鯛めしなどは、塩焼きを蒸したり、ご飯に炊き込んだりしたものだ。
きのうは、やはり鯛あら塩焼きを使った料理の一つである、鯛あら汁。
鯛あらの塩焼きを吸物にしたもので、これがまた、大変うまいわけである。
鯛あら汁の作り方
鯛あらは、まず水で洗ってヌメリと血合いをよく落とす。そのあと焼くから、そこまで神経質にはならなくていいのだが、ヌメリと血合いが臭みの原因になるのである。
それから同時に、できる範囲でウロコを落とす。
鯛の骨やヒレは尖っていて硬いから、水洗いするときにはケガに注意が必要だ。
水気をよくふき取って、まな板に並べて表と裏に塩を振る。
手に載せた塩を指の間から落とすようにし、量は、「まんべんなく」というくらい。
塩を振った鯛を、グリルで焼く。
あとから煮るから中まで火が通る必要はないわけで、強火で、軽く焦げめがつく程度。
焼いた鯛は、10センチくらいのだし昆布と一緒に鍋に入れ、鯛がギリギリかぶるくらいの水を張る。
中火にかけ、沸いてきたら、ごくごく小さく沸き立つくらいの弱火にし、10分煮る。
味を見て、入れた水が4カップだったとして、酒を大さじ1~2、淡口醤油・小さじ1~2で味つけする。調味料はくれぐれも、入れ過ぎないことがコツ。
豆腐を入れ、さらに10分くらい煮る。
お椀によそい、ざく切りにした三つ葉をかける。
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これは、うまい、、
「これは、うまい、、」
鯛のだしは、ほんとに整った、やさしい味。
豆腐に鯛のうまみがしみたのが、またたまらない。
鯛あらは、骨ごと口に入れてしまい、骨だけ取り出すようにしながら食べる。
「鯛の鯛」と呼ばれる鯛にそっくりの形をした骨があるから、探してみるのは一興だ。
それから、ウインナーとじゃがいもの炊き込みご飯。
鯛あらだけだと、やはりスタミナ的に足りないから、こちらには豚肉(ウインナー)とねぎをたっぷり使う。
小さめ(20cm)のフライパンに、
- オリーブオイル 大さじ2
- みじん切りの玉ねぎ 4分の1個
- みじん切りのショウガ 1センチ大
- 1センチ大に切ったウインナー 3本
- 1センチ大に切ったじゃがいも 1個
を入れ、強めの弱火にかけて2~3分、じっくり炒める。
生米(洗わない)4分の3カップを入れ、さらに2~3分、米が油を吸うまで炒める。
火加減を中火にし、
- 水・1カップ
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ1
- 淡口醤油 小さじ1
- 塩 小さじ2分の1
を加え、沸騰したら1~2分、フライパンを揺すりながら煮る。
フタをして、弱火で25分炊き、最後に青ねぎをたっぷり混ぜ込む。
酒は、冷や酒。
鯛を食べると、「日本人でよかった」とつくづく思う。縄文時代の遺跡からも鯛の骨が出てくるそうだし、鯛こそは、日本人が古来から受け継いできた味である。
そうして歴史と伝統を感じながら酒を飲めば、やはりつい、飲み過ぎてしまうのは、仕方がないことだろう。
「仕事に差し障りがなければね。」
そうだよな。