昨日は昼酒をし、夜は四条大宮で外飲みをして明け方に寝た。
酒は徹底的に飲むのである。
昨日の昼酒は、アサリのうどん。
前日のアサリを、昼酒のために少し残しておいた。
酒蒸しにした残り汁も、だしに加える。
昼酒をするとこのように、食材を無駄なく活用できるのもいいところだ。
アサリは100グラムくらいのものだったと思うけれども、よく水洗いして、だし昆布と1カップの水、大さじ1の酒といっしょに鍋にいれる。
中火で煮立て、殻が全てひらいたらアサリと昆布を取り出し、アクを取り、酒蒸しの残り汁をくわえてうすくち醤油小さじ1、みりん小さじ1程度で味を見ながら、塩辛くなり過ぎないよう気をつけて味つけする。
汁ができたら冷凍うどんとしめじを煮る。
うどんがほぐれたら、アサリを鍋に戻してあたためる。
どんぶりによそい、青ねぎをふる。
アサリのだしのしみじみとした味も、酒によく合う。
1時間ほど昼寝をし、そのあと少し仕事をする。
仕事もしないわけにはいかないのである。
さて仕事は7時きっかりに終え、いよいよ飲む時間となった。
仕事を終える時刻は、以前は仕事が予定通り終わらないと、ダラダラと後に延ばしていたこともあった。
でも今は、仕事が終わろうが終わるまいが、決まった時間に飲みはじめるようにしている。
仕事のために生活を犠牲にするのは、ぼくにはあり得ないことである。
仕事をしていた四条大宮のカフェから、大宮通を北へ向かう。
昨日は外飲みをすると決めていた。
一応は、11時ごろまで飲み、風呂に入って12時に寝るつもりにしている。
でも酒は、飲みはじめると何が起きるかわからないのは言うまでもないことだ。
向かった先は、たこ焼き屋「壺味(つぼみ)」。
大宮通錦小路角にある目立つ店だが、ぼくはこれまで、さして理由もなかったが、一度も入ったことがなかった。
でも昨日は、今年に入って仲よくなった若い友達数人から、「いっしょに行きましょう」と誘われた。
「行ってみたい」とは思っていたから、「渡りに船」と出かけたのだ。
カウンターに10人も入れば一杯になる小さな店。
店先は、冬になるとビニールシートで覆われるが、夏は戸もなく、通りに向かって開け放たれる。
「初心者がまず頼んだらいい」として友達に勧められ、「牛すじ焼き」を注文した。
たこ焼きのタネや卵などといっしょに焼かれ、ふんわりとしてうまい。
友達に「そのうち絶対食べたらいい」と教えられたのが「ねぎ焼き」で、山のように盛られた九条ねぎを30分以上の時間をかけ、じっくりと焼きあげる。
以前は650円で出していたが、「出せば出すほど赤字になる」ことが判明し、最近になって800円に値上げしたのだそうだ。
壺味はお客さんも気取らない人たちばかりで、一見のぼくを暖かく迎えてくれる。
ぼくは生ビールを2杯飲み、ツマミを食べ終わったところで店を出た。
本当は、もう少しゆっくりしても良かったのだが、ぼくは今、飲みに出るのは週一ぺんになっている。
そうなると、どうしても他にも顔を出したい店があるので、長居できないことになる。
お店の「常連」であるためには最低でも週に一ぺんは、顔を出す必要があると思う。
ぼくもいくつかの店については、常連の立場を維持したいのだ。
次に向かったのは立ち飲み「てら」。
昨日もお客さんで一杯だったが、奥に空けてもらった場所にぼくは入った。
注文したのは豚天と、
スパサラ。
毎回かならず頼むのだが、週に一度来るだけだと、定番の品を食べるだけで終わってしまう。
てらではビールを一杯飲み、常連さんと少し話して店を出た。
まだ他に、2軒まわりたいと思ったからだ。
まず今ホームグラウンドとしている「スピナーズ」へは、最後にかならず行かないといけない。
でもその前に、女将が風邪をひいて元気がないと噂を聞いた、「酒房京子」にも顔を出したいと思った。
ただ酒房京子は、一杯だけ飲んで出るのがむずかしく、行けば長くなる予感がした。
結局のところ、予感は的中したのだが、いや何、酒は徹底的に飲むのである。
酒房京子へ顔を出すと、女将はたしかに元気がなかった。
店を2~3日休み、熱はもう下がったが、まだ体の節々が痛むそうだ。
酒房京子で長くなるのは、料理が次々と出てくるのが理由だ。
ぼくは、
「もう食べてきたから料理はいらない」
と念を押した。
すると女将は、
「これ飲んで」
と日本酒の4合瓶を出してきた。
誰かにもらったものなのだろう。
ぼくはそれを、チビリチビリと飲みはじめた。
べつに4合瓶を飲み切らないといけないわけではない。
4人組のお客さんがいて、そちらはそちらで話しているから、女将はぼくに話しかけてくる。
京都で生まれ、様々な風流を経験してきている女将には、ぼくも学ぶところが大きい。
「京都に4年で旅に出るというから、
『もっと京都について色々知ってもらいたいのに』
と思っていたのよ・・・」
女将は言う。
「これからも、京都にはずっといますよ。
1年の半分は京都にいようと思っています。」
ありがたい気持ちでぼくは答える。
「風邪には熱燗がきく」と話すと、そのうち女将は、ぼくの隣の席にすわり、手酌で熱燗をやりだした。
「高野さんと話すと元気になるわ・・・」
嬉しいことを言ってくれる。
かかっているテレビを横目で見ながら、女将との話ははずむ。
女将は「洛陽三十三所観音をまわってみたらいい」と教えてくれたり、自分がいいと思う料理本を棚からガサガサと出してきて、ぼくに見せてくれたりする。
その頃には、女将が出した日本酒をいれたコップの一杯目は、もう空になっていた。
でもここで帰るわけにいかないことは、言うまでもないのである。
ぼくはコップに二杯目の酒を注ぎ、さらに飲むことにした。
女将と話をしながら4合を飲みきり、女将が片付けをすませて店を出るとき、いっしょに店を出た。
スピナーズへ行った時には、もう2時に近かった。
ぼくは焼酎の水わりを注文した。
でもホームグラウンドにしているバーで、一杯飲んで帰るわけに行くわけがない。
三杯飲み、「もう飲めない」となってようやく、家に帰った。
風呂に入り、寝たのは5時に近かったのだが、いいのである。
酒は徹底的に飲むのである。
「飲みすぎの言い訳も上手だね。」
ほんとだな。
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コメント
いいですねー,お店の女将さんとしみじみ飲むって。
となりに座ってなんてのは,もう最高
そういうのって,大人の関係ですね。
チェブ夫:大切にしないとね。
我也這樣做