万願寺とうがらしの食べ方として、万願寺も辛くないとはいえ唐辛子なのだから、ピリ辛味で煮込むのは王道。マーボーに仕立てるのも大変いいが、厚揚げと豚うす切り肉を使った「家常豆腐」が、これまたウマイ。
家常豆腐(ジャーチャンドウフ)は四川省が発祥で、いまでは中国全土で食べられている家庭料理なのだそうで、作り方は、それこそ家庭によって種々さまざまなのだそうだが、基本はピリ辛味で、揚げ豆腐と豚肉が入っていると考えていいようだ。
だからこれは、日本の料理で相当するのは「○○と油あげとの煮込み」になるわけで、マーボーが「○○のそぼろあんかけ」であることを考えれば、応用できる範囲がまたちがうのだ。
万願寺とうがらしは、日本式の食べ方は「炊いたん」になるわけで、シンプルにちりめんじゃこだけで煮込むのが基本だけれど、油あげを入れるのもポピュラーだ。
なのでこの万願寺とうがらしの家常豆腐、万願寺とうがらしがピリ辛味によく合うことを考えると「王道」ともいえるわけで、マジでうまい。
料理の手順は、はじめに豚肉、そして万願寺とうがらしを炒め、それから煮込むということになり、料理初心者でもよほど変なことをしない限り、「失敗し、まずくて食べられない」という可能性は思いつかない。
ポイントは、中華といえば「強火」のイメージがあるのだが、そうでなく、弱火でじっくりと炒め、そして煮ることだ。
作り方
まずフライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- 豆板醤 大さじ1
を入れて弱火にかけ、2~3分じっくり熱して味をひき出す。
次に、豚バラうす切り肉(煮込む際に入れるのは、硬くなりにくいバラ肉がおすすめだ)50~100グラムに、塩・小さじ4分の1くらいをふりかけ、5センチ長さくらいに切って、フライパンに入れてひきつづき弱火で2~3分じっくり焼く。
肉の色が変わったら、ヘタを落とし、3センチ長さくらいのぶつ切りにした万願寺とうがらし(ワタもうまいので取り除かなくていい)3~4本を入れ、1~2分炒めて油をなじませたあと、
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ1
- 薄口しょうゆ 大さじ1
- オイスターソース 小さじ1
を入れて味をなじませ、
- 水 1カップ
- 厚揚げ 1個 (1~2センチ厚さの、食べやすい大きさに切る)
を入れる。
火を強めて煮立てたら、また弱火にし、フタをして10分煮込み、2センチ大程度に切った玉ねぎ・4分の1個を加え、さらに2~3分、玉ねぎのしゃっきり感を残す程度に煮る。
弱火のまま、
- 片栗粉 大さじ1+2分の1
- 水 大さじ1+2分の1
の水溶き片栗粉を、スプーンですこしずつ入れては混ぜしながらトロミをつける。
- ごま油 小さじ1
- 酢 小さじ1
を加えてひと混ぜし、皿に盛って、粗挽きコショウをたっぷりかける。
これはマジで、だいたい346回くらいは死ねる。
万願寺とうがらしと厚揚げ・豚肉の相性がこの上ないのは、いうまでもない話である。
しかもこれは、ご飯のおかずに打ってつけであるのはもちろん、酒にも死ぬかと思うくらい合うのに、今朝も「朝だから」というだけの理由で、酒を飲まなかったのだ。
こんなことをしていたら、僕は一生、うだつが上がらないままで終わるのではないかと思う。
「どうせうだつは上がらないから」
そうだよな。