チェブ夫はこの頃、あまり魚を食べなくなった。魚が嫌いなわけでは、決してない。
「豚肉とニンニクが強力すぎるんだ……」
豚肉とニンニクを合わせて食べると、疲れを取り、体をあたためる効果がとても高い。1日食べずにいるだけで、体がずっしり重くなってくるほどだ。
チェブ夫もそろそろ、疲れが溜まりやすくなるお年頃になってきた。料理を2品も3品もつくるのなら別として、1品で何とかしようとおもうと、やはり魚でなく、豚肉を選んでしまうのだ。
しかしきのうは、カツオのたたきがスーパーに売っていた。
「せっかくの旬の魚を、まったく食べないのも何だよな」
そう思い、そのカツオのたたきを買ってきたのだ。
さてこのカツオのたたきの食べ方なのだが、絶対にまちがいなく、キムチを添えるのがうまい。
もしウソだと思うのなら、騙されたと思ってやってみたらいいのである。
カツオのたたきは、普通に食べる場合でも、薬味としてニンニクを使う。青魚とニンニクは相性がとてもいいのであって、その延長に、キムチと青魚は最高のコンビなのだ。
これはニンニクが基本的に禁止された日本では、到達できなかった領域だ。カツオのたたきは、日本風にみょうがや大葉などで食べるより、キムチといっしょに食べた方が100倍はうまいとおもう。
つくるのは簡単だ。
まずカツオのたたきを、1センチ厚さくらいに切って、皿にならべる。
上におろしたニンニクを散らし、うす切りにして水にさらした玉ねぎをのせ、ゴマ油とポン酢をかける。
1~2センチ長さのざく切りにした水菜をふりかけ、キムチを添えて、最後に好みで粗挽きコショウを少々かける。
これが、激烈にウマイのだ。
チェブ夫は、これを口に頬ばるたびに、
「ウ~、これはたまんね~」
と唸り、だいたい300回くらいは死んだ。
ポイントは、水菜とコショウ。キムチはこの両方と、相性がいいのである。
あとやはり、豚肉は食べないといけないから、ウインナーとのこり野菜の赤だしみそ汁。
ウインナーは、みそ汁に入れると大変うまい。ここに卵を割り落としたりするのもいい。
それにキュウリの浅漬。
キュウリは2ミリ厚さくらいに切り、塩1つまみで揉んで20~30分おく。水洗いしてかるく絞り、ポン酢と一味であえる。
そしてこのカツオのたたきが、酒には死ぬほど合うわけだ。
チェブ夫はまたしても飲みすぎて、せっかくチェブ美にセクハラしようと思っていたのに、できずにそのまま寝てしまった。
「僕はセクハラしないから」
そうだよな。