きのうは、豚肉豆腐・ニンニク入り。うす味の、日本風のふつうの肉豆腐に、ニンニクとゴマ、それにコショウを加えたもので、これがまた、たまらないのだ。
予想通り、きのうは仕事がまったくできなかった。カウンターの疲れはある。
でもそれより、飲み過ぎなのだ。
自由業だから、仕事の時間に融通はきく。寝坊しても、誰に迷惑をかけるわけでもない。
でも怠ければ、すべて自分に跳ね返ってくるのは言うまでもないこと。
仕事をしないと、食べていけない。飲み過ぎは、自分で自分の首を絞めることになるのは、分かりきった話である。
ともかくおれは、酒が好きすぎるのだ。「世界でいちばん好きなものは何か」と聞かれれば、迷うことなく「酒」と答える。
それなのに、酒が、強くない。
酒がほんとうに強い奴は、二日酔いなどしないのだ。アルコールを分解するスピードが早いから、おれなどが、1杯の酒が抜けるのに3時間くらいがかかるところ、ものの30分ほどで、シラフになってしまう。
酒が強くもない者が、スピードだけは酒が強い奴とおなじように飲めば、次の日残るのは知れた話。
わかっているのに、いざ飲み始めると、そんなことはすべて忘れて、杯を空けまくってしまうという体たらく。
それで、次の日二日酔いになり、使い物にならなくなるのだ。
それをもう、かれこれ30年以上、ずっとくり返している。まったく、脳みそが足りないとしか思えないわけである。
二日酔いでも、いつも飲みはじめる時間になると、また酒を飲む。酒を飲むと、残っていたはずの酒がスッと消えるから、不思議なものだ。
きのう肴に作ったのは、豚肉豆腐・ニンニク入り。
これがまた、ウマかった。
うす味のだしで肉と豆腐を煮る「肉豆腐」が、日本の酒の肴として王道の一つであるのは、いうまでもない話。コッテリとした肉と豆腐の相性は抜群だから、酒が進むことこの上ない。
おれは関東出身だから、肉は「豚肉」ということになる。
ここに、ニンニクを入れると、またうまいのだ。
肉とニンニクの相性がいいのは、たとえばニンニクチップをまぶしたステーキがうまいのを、思い浮かべればわかること。煮物についても、これはおなじように当てはまる。
みりんと醤油で味つけしたうす味のだしは、ニンニクを加えると、ちょうど「焼肉のタレ」的な味になる。焼肉のタレは、日本人はみんな大好きだろう。
完全に、王道の味の一つなわけで、ここに、日本料理にニンニクを加える突破口があると思う。
この焼き肉のタレ味の煮物に、まずゴマを加えると、さらにうまい。これは焼肉のタレにはまずまちがいなく、ゴマが入っていることからもわかる通り。
そこにさらに、「コショウ」を加えると、うまいのだ。
日本風の煮物には、一味などの唐辛子をかけることはあっても、コショウをかけることはないと思う。
でもニンニクに、コショウは合う。ニンニクチップがまぶしつけられたステーキは、塩コショウで味付けされているはずだ。
それからコショウを始めとしたスパイスを多用するインド料理も、もちろんベースにはニンニクを使う。
そこで肉豆腐にニンニクを入れる場合は、ゴマとコショウをふりかける。
これが実にうまくて、たまらないのだ。
作り方は、ふつうに肉豆腐を作るのとおなじ。
だしは、かつお節を使わなくても、どちみち風味はニンニクが勝ってしまうから、煮干しを使えば十分だ。
まずは煮干のだしを取る。
3カップ+2分の1(2分の1は、だしを取るあいだに煮詰まる分)の水に、
- 頭とわたを取った煮干し 2つまみくらい
- 包丁の腹で押しつぶしたニンニク 1かけ
を入れて中火にかけ、沸いてきたら弱火にし、10分ほど、コトコト煮出す。
きのうは、だし殻はとり出した。
取れた3カップほどのだしに、
- みりん 大さじ4
- 淡口醤油 大さじ4
で、おでんだしくらいの味をつけ、まずは、大きめに切った豆腐と玉ねぎを、玉ねぎがやわらかくなるまで弱火で煮る。
玉ねぎがやわらかくなったら、豚うす切り肉(きのうはコマ肉)200グラムを入れて、さらに弱火のまま煮る。
豚肉の色がほぼ変わったくらいのところで、ざく切りの水菜をくわえ、少し火を強めて、煮立ってきたら、火を止める。
皿に盛り、ひねり潰したゴマと、たっぷりの粗挽きコショウをかける。
コショウの風味がプンとするのが、アクセントになって、実にいい。
あとは、残り野菜の赤出しみそ汁。
煮干しだしに酒と赤出しみそで味をつけ、残り野菜を、煮えにくい順番に煮る。
それに、大根めし。
研いだ米をふつうに加減した水に30分くらい浸し、1センチ角くらいに切った大根・少々と、水・1カップにつき、酒・小さじ1、塩・小さじ2分の1をくわえて、ふつうに炊く。
酒は、焼酎水わり。
肉豆腐は酒が進みまくるものだから、きのうもまた、飲み過ぎてしまうのだ。連日連夜飲み過ぎる、この反省のなさは、我ながら理解不能。
でもおれは、酒を飲むために生きているのだから、それも仕方がないのである。
「早く死んで。」
そうだよな。
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