きのうは、神戸元町でおこなわれた、ヘイトスピーチへのカウンターに参加した。カウンターは「抗議」とともに、一般の通行人への「周知」をするのも大切だ。
きのうの大阪W選挙は、知事・市長とも維新候補の勝利に終わった。大変悔しく、残念だ。
これから4年間、大阪が、そして今回の結果が追い風になる安倍政権下の日本が、どんなにひどい状況になるかを想像すると、暗澹たる気持ちにもなる。
でもまあ、落ち込むのは一瞬だけでいいのだ。
社会運動は、「社会」という大きなものを変えていこうとするわけだから、それが実際に達成されるのには、時間がかかる。
目標は、もちろん手近な、選挙なら選挙に「勝つ」こととして設定しても、それにいつもいつも、勝てるというわけではない。
今回の選挙戦は、スタートの時点ですでに、維新の圧倒的優勢だった。それをSADLをはじめとする市民グループが「オール大阪」を実現し、着実に追い上げていったのだ。
だから「善戦した」と言えるわけだし、今回得た経験や蓄積は、確実に次回に生きるだろう。
腐らずに、また前を向いて、できることをしていくだけだ。
さてきのうは、神戸元町で、人種差別団体「在特会」のヘイト街宣が予定されていた。
在特会の卑怯な奴らは、このクソ忙しいときを狙ってやるのである。
ヘイトスピーチへのカウンターをやる人たちは、ほかの市民運動ともかぶっていることが多い。今回、まず関西は、大阪W選挙に力が集中されていた。
多くの人が、その前1~2週間にわたって連日活動し、きのうも大阪市内で、投票をうながす運動をしていた。
またきのう東京では、「東京大行進」という差別に反対するパレードが開催され、関西からも多数、そちらに参加していた。
なので神戸元町でのカウンターは、手薄になることが予想された。
このカウンターが手薄になるのを、在特会はわざわざ狙ってくるわけだ。
最近では在特会も、カウンターの抗議により、思う存分ヘイトスピーチができないようになっている。そのためカウンターがあまりいない地方都市を街宣場所に選んだり、無告知で街宣したりするようになっている。
おれ自身、きのうはあまり、カウンターへは行きたくなかった。
仕事との兼ね合いで、おれにとって無理のない社会運動に参加するペースは、週1回。ところが先週は大阪W選挙のために、すでに3回街に出ていた。
でもこういう、重なってしまう時もあるのだ。そういう場合は、そのあとに、あまり参加しない時をつくってバランスを取ればいい、、
きのうは手薄になるのが目に見えていたわけだから、頑張って行くことにした。
街宣開始・予定時刻の10分くらい前に、街宣予定場所の神戸・元町駅前につくと、すでに警察が、物々しい警備をしている。いつものことだが、これは明らかに、奥のほうに見えるレイシストを守っている。
日本には、諸外国とちがって、まだヘイトスピーチを規制する法律がない。そのためヘイトスピーチをたれ流す側よりも、それに抗議するカウンターを、「平穏を乱す」という理由だろう、警察は強く規制してくる。
しかし話の中身をきちんと聞けば、人種差別を煽動する発言をくり返し、街の平穏を乱しているのは、明らかにレイシストの方なのだ。
この本末転倒ぶりは、自分の国の警察ながら、まったく情けない。
カウンターは、大きく分けると2つのことをする。
一つは、「抗議」。
レイシストがやっているのは、「言葉による集団リンチ」と同じようなもの。多数者が、少数者を徹底していじめ抜く。
しかもただのいじめと違うのは、人種差別の場合には、逃げ場がない。通常のいじめなら、まだ「学校へ行かない」などにより、逃げることもできるところ、「日本から出て行け」と言われたら、生活の基盤が日本にある以上、簡単に出ていけないのは知れた話だ。
それをわかって人種差別を煽動するレイシストに、まずは市民が、「そのような卑劣な真似は許さない」と、きちんと抗議しないといけない。
抗議の仕方は、一番手軽なのは、レイシストに向けて中指を立てること。この中指を立てるポーズは、世界共通、レイシストにたいする抗議の意味を示している。
そのほかに、抗議のことばを書いたプラカードを持ったり、「ふざけるな」「ヘイトスピーチやめろ」「なめんなカス」など、実際に抗議を口にしたりもする。
抗議を口にする場合には、拡声器があるとより効果的ということになる。
ただしそれだけだと、ただ何やら物々しい空気になって、まわりを通る一般市民に、何をやっているのか伝わらない。
そこで、一般市民にたいする「周知」が、抗議と同じくらい大切なのだ。
きのうは名古屋から応援に来てくれた女性が、大音量の拡声器で周知をしていた。
在特会がいかに卑劣な団体で、それにたいして市民が抗議していることを、ていねいで、きれいな言葉でわかりやすく説明する。
これがじつに強力で、通行人は、起こっている事態を的確に理解する。さらに拡声器はレイシストの方も向いていたから、その周知のことばが、レイシストの耳にも入る。
レイシストが街宣を始める前、30分くらいにわたり、女性の周知はくり返された。
おかげでレイシストは街宣を始める際、
「もうあちらで十分説明してくれていますから、自己紹介はいらないと思いますが、、」
と、自虐ともいえることばを吐かざるを得なかった。
きのうはどちらかといえば、周知の手が足りなかったから、おれもマイ拡声器で周知に加わった。
抗議だと、どうしてもことばも荒くなるから、拡声器を使っていると、すぐに警官によって隅っこの方に排除される。ところが周知は、街の平穏は乱さないから、通行の妨害になりさえしなければ、警官にも排除されない。
街宣のあいだ1時間半にわたって、通行人にもレイシストにも聞こえるいい場所で、ずっと周知活動ができてよかった。
レイシストへのカウンターは、まずは抗議の対象であるレイシストがいて、同時に抗議の被害者となる、きのうの場合なら在日コリアンがいる。さらにその場には、抗議を妨害する警官と、まわりを通る一般の市民がいる。
このように当事者が多いから、カウンターは、通常のデモなどとくらべると状況が複雑だ。
でもその分、奥が深く、学ぶものも多いと思っている。
在特会は、以前にくらべれば、カウンターの力によりだいぶ規模が縮小したとはいえ、まだ継続的に活動している。
カウンターには、やはり人数が必要だから、これまでカウンターをしたことがなかった人でも、参加してもらえるとありがたい。
きのうは、レイシスト6~7人にたいし、カウンターは30~40名。
いつもよりは少なめなのだが、それでも十分、レイシストの街宣を圧倒することができたと思う。
カウンターが終わると、やはり慰労会。
きのうは実は、カウンターが終わったらサックリ帰り、家で食事をしようと思っていたのだ。おとといも、大阪でオール大阪を応援したあと、あらい商店で外食したから、そう毎日外食ばかりでは、おれもさすがに身がもたない。
でも言い訳すれば、カウンターのあとは、グッタリと疲れるのだ。それで喫煙場所で続けざまにタバコを吸いながら休んでいたら、気づいたら、まわりには飲み助のカウンターメンバーばかりがいた。
それでも一度は、帰ろうと思って「それじゃあ、帰ります、、」と、立ち去ろうとした。すると、いつも飲んでいるメンバーが、「え、帰るの、、?」という顔をする。
そういう顔をされてしまうと、バカなおれは帰れないのだ。
それで神戸の居酒屋で酒を飲み、2時間ばかりそこにいたあと、さらに西成の中国人居酒屋に流れた。
そこにも2時間くらいいて、おとといに続いてきのうもまた、終電間際の電車で帰宅。
きょうは、カウンターの疲れに加え、きのうの酒がまだ残り、遅めの起床。働かない頭をなんとか回して、このブログを更新している。
この調子だと、たぶんきょうは、もう仕事はできない気がする。
こんなことばかりでは、いけないのはわかりきった話なのだが、どうしても、おなじ過ちを何度でもくり返してしまうのだ。
「救いようのないダメ人間。」
そうだよな。
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