わりと安くて栄養があるものとして、「レバー」をあげることができる。
京都のスーパーだと、豚のレバーはあまり見かけず、鶏のレバーと心臓がつながったのが、「肝」という名前で売っていることが多い。
きのう買った店では、肝は100グラムで98円。それでも安いが、店によっては60円台で売っていることもある。
レバーは豚肉についで、「ビタミンB1」が豊富に含まれているそうだ。ビタミンB1はご飯などの糖質がエネルギーに変わるのを促進する働きがあり、体をあたため、疲れを取る。
ご飯だけ食べてもビタミンB1をとらなければ、糖質はうまくエネルギーに変換されず、極端な場合は「脚気」などになるそうだ。
このレバーを食べるのに、定番中の定番料理は、やはり「レバニラ炒め」だ。
レバーのクセが、やはりクセのあるニラによって中和され、実においしくなるのはもちろん、ニラも1把100円くらいで、青菜のなかでは比較的安い部類に入る。レバーの茶色に、ニラの濃い緑は色目もきれいだ。
しかしそれだけではもちろんない。レバーとニラは、両者をいっしょに食べることで相乗作用が発揮される、最強のコンビなのだ。
レバーに豊富に含まれるビタミンB1は、吸収がされにくく、そのまま食べても多くが排出されてしまうそうだ。ところがビタミンB1に、ニラに含まれるアリシンが結びつくと「アリチアミン」というものになり、このアリチアミンは、強力に吸収されるようになるそうだ。
アリチアミンは、栄養ドリンク「アリナミン」の主成分なのだそうだ。
特に40代以降になると、疲れが溜まりやすくなってくるから、ビタミンB1とアリシンを豊富にふくむ、レバニラ炒めのような食べ物をガンガン食べるのは、非常におすすめなのである。
レバニラ炒めを作るためには、レバーの下処理が必要だ。これは多少面倒といえば面倒だけれど、大してむずかしい話ではないから、やったことがない人はチャレンジするのがおすすめだ。
作る工程そのものは、下処理をし、タレに漬け込んだレバーを焼いて、味つけし、最後にニラを加えるだけで、大変シンプル。ニラはシャキシャキとしていたほうがうまいから、火を通し過ぎないのがコツとなる。
中華屋などだと、レバニラにもやしが入っていることがある。しかし味は、もやしを入れないほうが絶対うまく、中華屋は、安いもやしを使うことでカサ増しをしているのだ。
一人暮らしの場合などなら、ニラともやしを両方買うと、多すぎる。シンプルにニラだけ使い、1把を使いきってしまうのがおすすめだ。
鶏の肝は、レバーが2つに心臓が1つ、つながっている。まずはこれを3つに切り離し、さらにレバーが大きければ、2つくらいに切って食べやすい大きさにする。
心臓には、薄皮と脂肪がまとわりついている。これを包丁を横に動かし、こそげとる。
そのうえで、これをまず水でもみ洗いして、さらに一つ一つをていねいに洗う。
レバーの臭みは、「血のカタマリ」によるものだ。目に見える範囲でかまわないから、これをよく落とすようにする。
レシピによっては、レバーを一晩水に浸けたり、牛乳に浸けたりするのもある。でも「そこまでやる必要はない」というのが、僕の意見。
もみ洗いし、さらに一つ一つを洗えば、血のカタマリは、ほぼほぼ落ちるし、さらにこれから濃い味をつけ、ニラと合わせて炒めるのだから、臭みは大して気にならない。
洗ったレバー・250グラムの水気をよく拭きとって器に入れ、
- 酒 小さじ1
- しょうゆ 小さじ1
- ニンニク 1かけ (すりおろす)
- ショウガ 1~2センチ大 (すりおろす)
をよくもみ込んで、そのまましばらく置いておく。
置けば置くほど味がしみておいしいわけで、これは、レバーの下処理を調理作業のいちばん最初にやってしまい、そのあと米を研いだり、みそ汁を作ったりしているあいだ、漬け込んでおくと考えるのがいいのである。
フライパンに、サラダ油・大さじ1を入れて弱めの中火くらいにかけ、漬け込んだレバーに、片栗粉・大さじ1をまぶしつけて入れる。
炒めるのではなく、そのまま置いてじっくり焼くようにして、2~3分たって下から火が通り、肉の色が半分ほど変わってきたところで一つ一つをひっくり返し、さらにおなじくらいの時間、じっくり焼く。
レバーに火が通ったら、
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ1
- しょうゆ 大さじ1
- オイスターソース 小さじ1
- コショウ 少々
を加え、ひと混ぜしてなじませる。
ざく切りにしたニラ・1把をくわえ、ニラがしんなりし始めるくらいまで炒め、火を止める。
これが、ウマイわけですよ。
味がしみた、ほんわりとやわらかいレバーに、しゃきしゃきのニラは、地球を200周したくなるほど死ねる。
そしてこのニラレバは、気が狂うかと思うくらい、酒に合うのだ。
これで酒を飲み過ぎないようにするのは、梅干しをみて、つばを出さないようにするようなものだ。
「ぜんぜん違うよ。」
そうだよな。