「酒のシメはやはりラーメン」という人は多いはず。ラーメンは、酒を飲むと足りなくなりがちな水分とアミノ酸を補給する効果がある。また炭水化物も麺ならば、酒で疲れた胃にもスルスルと入りやすい。
となるとやはり、「できれば初めからラーメン屋で飲みたい」と思うことにもなるわけだ。餃子や、そのほか1~2品をつまみながら酒を飲み、最後にラーメンでシメるというコースは、完全なるゴールデン。
ところがこれができる店が、意外にそう多くはないのである。
まず最近の、新手のラーメン屋の場合だと、酒を飲むことそのものが想定されていないことが多い。酒は、あっても缶ビール。つまみは全くないか、あってもトッピングのメンマやチャーシュー、煮玉子などを盛り合わせたものだけなど。
これは、若い人が酒を飲まなくなっているからなのだろう。僕のような酒飲みは、今や日本では絶滅危惧種となっているようだ。
それでは街の古い中華屋が、酒を飲むのに適した場所かといえば、そうでもない場合もある。中華料理は中華鍋でそのたびに作るから、一度にたくさん作ったほうが効率がいい。なのでどうしても一品の量が多く、それに比例して値段も高い場合があるのだ。
そういう店だと、一人で何品も注文することはできない。複数で行けば、それは解消できるのだが、街の中華屋のなかには一品の値段が高いのに、一人か二人で座るしかないカウンター席だけの店もある。
そういう店は、要は酒飲みを顧客として意識していないのだろう。
新しかろうが古かろうが、ラーメン屋で酒が飲めるか飲めないかは、店の考え方次第なのだ。
その点、酒を飲むのにうってつけのラーメン屋は、新宿なら、古いところではまず「岐阜屋」。ここは「酒飲みのための中華屋」といって全く過言がない店だ。
それからもう一つが、この歌舞伎町にある「博多食堂・濃麻呂」。
ここは比較的新しい店でありながら、酒飲みにとっては非常にゴキゲンなラーメン屋なのである。
まず特筆すべきは、ラーメンが大変うまい。
博多ラーメンなのだが、ここの博多ラーメンがこれまで僕が九州以外で食べた博多ラーメンの中で一番うまいのは、以前このブログに書いた通りだ。
圧力釜を使わずに、15時間炊きつづけるのだそうだ。
そのあいだ丁寧にアクを取るそうだから、並大抵の手間ではない。
そしてもちろん、「食堂」の名の通り、ラーメンだけではなくて酒のつまみが充実している。
ちょっとした居酒屋くらいのメニューがある。
さらにこのメニューには書いていないのだけれど、モツ鍋のコースもあるらしい。
ちなみに昼は、これと同じくらいの定食のメニューがある。
きのう頼んだのは、まず「生ビール+餃子セット」800円。
生ビールは単品なら500円、餃子は350円という設定だ。
この餃子、ちょっと小ぶりながら8個入りで、王将がある京都に比べて餃子の値段が高めに設定されがちな東京で、この値段なら安いのではないかと思う。
味は、博多風なのだろうか、ちょっと揚げ餃子のようにカリッと仕上げられている。酢醤油に柚子こしょうで食べるようになっていて、ビールのつまみになることこの上ない。
餃子が焼き上がるまで、辛子高菜を無料でサービスしてくれる。
これも気が利いている。
それから先日行ったとき、「酢モツ」350円というのも頼んでみた。
モツを茹でたのがサッパリと酢で和えられ、これも柚子こしょうが添えられていて、大変うまい。
けっこう凝ったメニューもある。
「キクラゲの卵炒め」550円。
たっぷりのキクラゲと卵にメンマが加えられていて、味つけはたぶんラーメンダレと、カツオ節。ラーメン屋がこれを中華風ではなく和風に仕上げるところに、センスのよさを感じた次第。
シメは、もちろん博多ラーメン。
当然替え玉はおかわりする。
この店、酒を飲みながらの食事をする店として、満足度はかなり高い。
ただし残念なのは一つには、イチイチ食券を買わないといけないのが面倒くさい。でもそれは、きのうも店長が一人で店をまわしていたから、人手の点から考えても仕方がないことだと思う。
それから席が、カウンターの他には2人がけのテーブル1つだけしかない。なので3人以上の大人数で来るには向いていない。
でもそれもまあ、お店の設定なのだから、仕方がないところである。
しかしもちろん、一人か二人で食べに来るには、酒飲みにとっては打ってつけ中の打ってつけ。
ぜひ行ってみた方がいいのではないかと思う。
博多食堂・濃麻呂
- 住所 東京都新宿区歌舞伎町1-11-3 九石・新歌舞伎町ビル 1F
- 電話 03-6380-3993
- 営業時間 11:30~15:00/18:00~翌1:00
- 定休日 月曜日(+臨時休業)