トマトと卵・豚肉が入った酸辣湯麺。トマトのさわやかな酸味、卵のマイルドな甘味が加わり、悶え死ぬことは確実だ。
「甘辛酸っぱい味」は、王道の一つだといえる。タイ料理のトムヤムクンなどは代表だし、日本でも、水炊きのタレとして使われる「ポン酢にもみじおろし」などはまさにそう。食欲を増進し、肉でも魚でも野菜でも、どんなものでもおいしく食べられるようにしてくれる。
「酸辣湯」もそういう料理の一つなわけで、豆板醤でビリっと辛みがするところに、酸味が利いたのはたまらない。
きのうはここに、トマトを入れることにした。
入れることにしたのはトマトが冷蔵庫に余っていたからなのだが、これはウマイに決まっているのだ。何しろおととい、ピリ辛マーボーにトマトを入れたら、「なぜこれを今までやらなかったのだ」と思うほどの驚愕のウマさだった。豆板醤と豚肉・トマトは最高の相性だ。
さらにきのう、冷蔵庫には「卵」も余っていた。「トマトと卵」といえば、中華風・トマトと卵炒めにせよ、オムレツとケチャップにせよ、やはり相性がいいのは知れている。ただピリ辛味に卵が合うのか自信がなく、ネットでレシピを調べてみたら、何と酸辣湯にトマトと卵を入れるのはわりと定番みたいだった。
知らないのは、よそで酸辣湯を食べたことがない僕だけということだったようだ。
それできのうは心置きなく、トマトと卵・豚肉の酸辣湯麺。
トマトのさわやかな酸味と卵のマイルドなうま味が利いて、たまらない一品だ。
入れる具は、まずトマトも卵もやわらかいので、食べ応えのあるものもタケノコと木くらげとダブルで入れる。それからトマトの赤、卵の黄にたいして、青みは小松菜。あとはコク出しとして、だしにも使う干し椎茸と、それに長ねぎ。
ニンニクとたっぷりの豆板醤で炒め、干し椎茸のだしにみりんと薄口醤油、さらにオイスターソースで味をつけ、最後にゴマ油と酢を入れて、粗挽きコショウをたっぷりかける。
作るのは、野菜を炒める前までは、弱火でゆっくりやるといい。ただし野菜を炒め始めてからは一気に作り上げないといけないから、溶き卵や水溶き片栗粉など必要なものは、全部用意してから炒めるのがおすすめだ。
トマトはきのう、麺と一緒に入れてみた。でもそれだとやわらかくなり過ぎるから、本当に最後、トロミをつけてから溶き卵と一緒に入れるのがいいと思う。
まず干し椎茸と木くらげを戻す。
鍋に、
- 水 2+2分の1カップ (2カップのだしが取れる)
- 干し椎茸(中) 3枚くらい
- 木くらげ 4~5個
を入れ、フタをして中火にかけ、煮立ったら火を止めて15分くらい置く。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- 豆板醤 大さじ1
を入れて弱火にかけ、2~3分じっくり熱してニンニクと豆板醤の味をひき出す。
一旦火を止め、豚コマ肉・100グラムくらいを広げて入れ、
- 酒 小さじ1
- 塩 小さじ4分の1
- コショウ 1振り
を肉に振りかけ、再び弱火にかけて、色が変わるまでじっくり炒める。
ここでまた、野菜を切ったり水溶き片栗粉などを用意したりしているあいだに、火を止めてしまってかまわないのだ、
- タケノコ 4分の1本 (食べやすい大きさで、2ミリくらいの厚さに切る)
- 小松菜 2分の1把 (ざく切り)
- 長ねぎ 10センチ程度 (斜め切り)
- もどした干し椎茸 (汁気をしぼり、石づきの先端だけ切り落として5ミリ幅くらいに切る)
を入れ、中火で1分くらい炒めて油を絡める。
- 干し椎茸のもどし汁 2カップ
- 酒 大さじ2
- みりん 小さじ2
- 薄口醤油 大さじ2
- オイスターソース 小さじ2
- コショウ 1~2振り
を入れ、1分ほど煮て味をなじませ、味をみて必要なら塩を加える。
- 中華麺 1人前 (ゆででも蒸しでも)
- もどした木くらげ
を入れる。
(麺は鍋の端に入れると後からよそいやすい。写真にあるトマトはここで入れない)
麺を箸でほぐしながらきっかり60秒煮たら、
- 片栗粉 大さじ2
- 水 大さじ2
の水溶き片栗粉を、スプーンで加えては混ぜしてトロミをつけて、麺だけどんぶりによそってしまう。
残った汁にトマトを入れ、溶き卵・1個分を箸で伝わらせながらまわし入れる。1分ほど弱火で煮て、卵が固まってきたところで、
- ゴマ油 小さじ1
- 酢 小さじ1
を加えてどんぶりによそう。
粗挽きコショウをたっぷりとかけ、好みで酢を追加して食べる。
これは、マジでたまらないのだ。
甘辛酸っぱい汁が絡みまくったフカフカの麺は、ほんとに死ぬ。
加えた具の相性も、言うことなし。
そしてこの酸辣湯麺は、酒にも合いまくる。
トロミが強くつけてあるから、ゆっくり食べても麺はそれほど伸びることがなく、酒をおかわりしないためにはよっぽどの意志がないとダメだ。
「言い訳は聞きたくないよ。」
そうだよな。