マーボー豆腐の、豆腐のかわりにトマトを入れたというだけのもの。これが「中華風ミートソース」とも言いたくなるあまりに黄金すぎる味になり、絶対にオドロク。
中華料理に、トマトはよく使われる。トマトと卵炒めやトマトと卵の中華スープは「代表料理」ともいえるものだし、酢豚にもケチャップが使われることがある。
しかしきのう何気なく、マーボーの具をトマトにしてみたのである。
そうしたら、これがビックリ。あまりにも黄金すぎる味なのだ。
ひとことで言えば「中華風ミートソース」のような味。しかもきのうは生のトマトを入れたから、さわやかな酸味がついて本当にタマラナイ。
これは、絶対に試してみるべき。極端な話をすれば、丸美屋のマーボー豆腐の素を使ってもいいはずだと思う。
目からウロコが5枚くらい落ち、定番おかずのローテーションに組み込まれることになるはずだ。
さてそのマーボー、丸美屋の素を使うより、自分で作ったほうがウマイのは知れた話。だいたい料理は自分で作れば、自分の好みの味にいくらでもできるのだから、うまいのは決まっているのだ。
マーボーは、定番のレシピとして陳建一に代表されるものがある。豆板醤に加えて「甜麺醤」を使うのが、日本流マーボー豆腐を考案したお父さんである陳建民以来の基本で、ここに陳建一は納豆の親玉である豆鼓(ドウチ)、それに中国式山椒・花椒(ホワジャオ)を加えている。
甜麺醤は豆味噌に砂糖やごまを加えたもので、この豆味噌は、日本でいえば八丁味噌。要はこのマーボーは、「味噌味」なのだ。
味噌味に、文句をつけようという気はサラサラない。しかし「酒に合う」という観点で考えた場合には、「醤油味の方がいい」ということに、多くの酒飲みは同意するのではないだろうか。
マーボーも、上の味噌ベースとは異なる、醤油ベースの味つけで作ることがもちろんできる。これが実に酒に合い、さらにご飯にだって決して悪いことはないから、酒飲みの面々は、作ってみるのはおすすめだ。
マーボーを作る際には、とにもかくにもひき肉をよく炒めるのが最大のポイントだ。最低でも5分くらい、肉汁が完全に飛び、さらにちょっと焦げ目がつくくらいにじっくり炒める。
それからトマトを入れる場合には、これを煮くずさず、形を残すようにしたほうが見栄えがいいのではないかと思う。
きのうはトマトを煮ている最中、余裕をぶっこいて皿など洗ってしまったら、トマトを溶かしてしまったから、トマトを煮ているあいだは皿は洗わないのがおすすめだ。
まずは干し椎茸のだしを取る。
鍋に、
- 水 1+4分の1カップ (1カップのだしが取れる)
- 干し椎茸(中) 2枚
を入れ、フタをして中火にかけ、煮立ったら火を止めて15分ほど置いておく
フライパンを弱火にかけ、
- サラダ油 大さじ2
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- 豆板醤 大さじ1
- 長ねぎ 5センチくらい (みじん切り。長ねぎの青いところ20センチくらいでも問題はまったくない)
を2~3分じっくり炒めて味をひき出す。
豚ひき肉・150グラムくらいを加え、5~10分、スプーンで押しつぶしてほぐしながらじっくり炒め、完全に水気を飛ばす。
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ1
- 薄口醤油 大さじ1
- オイスターソース 小さじ1
- コショウ 1~2振り
を加え、さらに弱火で2~3分炒めて味を含ませる。
- もどした干し椎茸 (汁気をしぼり、石づきの先端だけ切り落として5ミリ幅くらいに切る)
- 小松菜 2分の1把 (ざく切り。青みのために入れる)
を入れて1~2分炒め、油がなじんだところで、干し椎茸のもどし汁・1カップを入れ、2~3分弱火で煮て味をなじませ、小松菜と椎茸に火を通す。
味をみて塩加減し、トマト・1~2個(大きさにより8~12等分のくし切りにする)を入れて、1~2分、「温める程度」という感覚で煮る。
トマトがやわらかくなってきたら、すかさず、
- 片栗粉 大さじ1+2分の1
- 水 大さじ1+2分の1
の水溶き片栗粉を、スプーンで入れては混ぜしながらトロミをつけ、ゴマ油・小さじ1を入れ、ひと混ぜして火を止める。
皿によそい、花椒ではなく「粗挽きコショウ」をたっぷりかける。
これは本当にウマイのだ。
トマトのさわやかな酸味が利いたさっぱりとしたピリ辛味に、粗挽きコショウがまたよく合う。
ご飯だって、ばくばくイケる。
しかしこれは、本当に酒に合うのだ。
これを肴にしてしまったら、飲み過ぎないことはまずできないのではないかと思う。
「飲み過ぎるのは自分だけだよ。」
そうだよな。