キムチ味・韓国式の料理にどっぷりハマっているのである。抜け出せそうな気配はない。
ハマりやすい性格だというのは自覚していて、何かにハマってしまわないよう、日々気をつけてはいる。
松嶋菜々子が好きすぎるから、テレビを持っていたころは、ドラマなどは死んでも見ないようにし、CMに松嶋菜々子が一瞬でも映ったら、すぐにチャンネルを替えるようにしていた。
料理もおなじ。鍋が好きすぎるので、東急ハンズの鍋売り場へはぜったい行かない。
それだけ気をつけていたつもりなのに、今回韓国式料理にハマってしまった。
これは言い訳すれば、最近できた友達が悪いのだ。
在特会などによる、在日コリアン差別へのカウンターに参加するようになり、在日コリアンの友達・知り合いがたくさんできた。すると彼らといっしょに食事をしたり、彼らがツイッターに投稿した自作料理の写真を見たりするようになるわけだ。
するとそれらが、非常にうまそうだったり、実際にうまかったりする。
韓国料理は、韓国へも10回以上は行っているし、たくさん食べてきてはいる。でも在日コリアンが作る料理は、韓国で生まれた人が作る料理とは、またちがうのだ。
まず韓国の韓国料理とくらべ、唐辛子とニンニクの量が少なく、味がマイルド。
韓国へ旅行に行って、日本に帰ってくると、しばらくは、味覚が変化してしまい、日本の料理をただ「塩辛い」としか感じられなくなったりする。ところが在日コリアンの料理を食べても、そのようなことはまったくない。
実際、在日コリアンが家で作るメニューを見ると、日本っぽい料理と韓国っぽい料理が同居していたりする。
また日本で普通に食べるメニューが、ちょっと韓国的になっていたりするものもある。
たとえばカレーの付け合せに、キムチを使う。これを初めてみたとき、ちょっとした衝撃だった。
ところが実際に試してみると、カレーとキムチはどちらも唐辛子が入っているし、といって辛さの種類はちがうから、キムチがカレーの幅を一気に広げるようなところがあり、じつにうまい。
これまでは、韓国料理と日本料理は、別のものだと思っていた。ところが在日コリアンの料理に触れて、その考えが変わりつつある。
「韓国料理と日本料理は、連続的につながったものなのかもしれない」
と思うようになったのだ。
歴史的には、朝鮮半島と日本とは、古来から密な人の行き来がある。
料理の仕方についても、たがいに影響を与え合い、受け合っていたとしても、何もおかしいことはないだろう。
さらにいえば、韓国の料理は、
「日本がそうであったかもしれない世界」
を示しているのではないかという気もするのだ。
日本では、奈良時代に肉食が、そして鎌倉時代に、ニンニクやニラが禁止された。
肉とニンニクは、世界の料理を見てみても、使わない地域はないのではないか。ところが日本は、それらを使わずに料理をしないといけなかった。
日本料理が、世界に類を見ない特徴を持っているのは、そのような、類を見ない制限があったからではないかと思う。
それにたいして朝鮮半島では、もちろんべつに、肉もニンニクも禁止されることはなかった。それらをのびのびと使い、しかも料理の仕方は、日本と近い。
その料理を見ると、
「日本ももし、肉とニンニクが禁止されなかったら、あのような料理を作っていたのではないか」
と、おれなどは思ったりする。
在日コリアンの友達に感化され、おれは、「日本がそうであり得た世界」の扉をあけ、向こうをのぞき見てしまったのかもしれないと思うのだ。
そこに広い地平があるのを知ってしまえば、つい足を踏み入れてしまうのも、仕方がないというものだ。
というわけで、長々と言い訳したが、きのうもキムチ味。
さんまのキムチ煮。
これが、マジでうまいのだ。
日本だと、まずさんまはあまり煮ない。塩焼きし、大根おろしにすだちでアッサリと食べるのが定番だ。
煮る場合には、山椒や梅干しなどを入れる。さんまのクセが、日本の基本調味料である砂糖としょうゆだけでは抜けないからだ。
ところがこれが、
「だったらキムチでいいじゃん」
という話。
クセのあるさんまとキムチは、最高の相性なのだ。
一度食べたら、もうやみつき。さんまを煮るには、キムチなしには考えられないようになる。
本当にうまいから、ぜひ試してみてもらいたい。
きのうはさんまと一緒に、もやしやニラなどを煮た。ここに豆腐や大根などを入れても、非常にいい。
味つけは、きのうはキムチに加え、コチュジャンを使った。
コチュジャンは、韓国産の辛いものより、スーパーなどで売っている甘めのやつが、味が決まりやすいと思う。
それからきのうは、さんまは2尾使った。
おれはいつも、翌日の昼と2食分を作るからで、1尾にし、鍋のあまった場所に豆腐を入れても問題ない。
さんまは頭と尾びれを落とし、腹を割いてワタをかき出し、さらに背骨についている血合いを包丁の先でこすり落として、よく洗う。
食べやすいよう、3~4等分にする。
鍋に、
- ゴマ油 大さじ1
- キムチ 100グラムくらい
を入れ、弱火で2~3分、じっくり炒める。
さらにキムチの上にさんまを乗せ、途中で1回ひっくり返し、やはり弱火で計5分ほど、火を通す。
(さんまは鍋肌に直接触れるとくっつくので注意)
- 水 2カップ
- 酒 大さじ2
- コチュジャン 大さじ2くらい
を入れ、落としブタをして、中火で10~15分煮る。
最後に、玉ねぎともやし、えのき、それにニラを加え、サッと煮る。
皿に盛り、ひねり潰したゴマをふる。
旬まっ盛りのさんまが、また脂が乗っていて、あまりにうまくて100回死んだ。
あとは、わかめスープ。
3カップ分つくるには、
- 水 4カップ
- 細かく刻んだウインナーソーセージ 3本
- 乾燥わかめ たっぷり
を火にかけて、弱火で30分くらい、わかめがトロトロになるまで煮て、
- 酒 大さじ1
- オイスターソース 小さじ1
- しょうゆ 小さじ1
- 塩 少々
で味つけする。
それに、ご飯。
酒は、冷や酒。
きのうも、酒を飲みすぎて、今朝はちょっと残ってしまった。
でもさんまがうますぎたから、それも仕方ないのである。
「人のせいにしすぎだよ。」
そうだよな。