青椒肉絲をチャンポンに仕立てたという話。言うまでもない王道で、死ぬほど酒に合う。
サトイモのさっぱり煮込みのために買った豚肩ロースかたまり肉が、まだ100グラムほど余っていたのだ。
となれば、青椒肉絲。そしてそれを、チャンポンにするのがいい。
中国料理では、細切り肉をけっこう使う。いやもちろんそれが不味いと言うつもりは決してないのだが、僕などは、「べつに薄切り肉で問題ないじゃん」と思うのだ。
実際豚肉とピーマンを炒めるにしても、食べやすい大きさに切った薄切り肉と、1センチ幅くらいに切ったピーマンを使うので、味的に細切りより落ちるとは思えないし、むしろ食べ応えがあってそちらの方がうまいとすら思う。
これはおそらく、中国では薄切り肉をつかう習慣があまりないからではないかと思うのだ。
薄切り肉は、アメリカやヨーロッパなどでは手に入れられないそうだし、肉を丸ごと料理せず、すき焼きやしゃぶしゃぶなど、サッと火を通す料理をすることが多い日本で編み出されたものではないのか。
日本の料理職人なら、普通ならなかなかできないかたまり肉を薄切りにする技も、難なくこなせておかしくないという気がする。
中国の、あの大きくて四角い包丁では、肉を薄く切るのは無理だろう。
それで、かたまり肉を火を通しやすいように小さくするため、中国で採用されたのが、「細切り」ではなかったかと思うのだ。
だから薄切り肉があるのなら、わざわざ細切りにする必要はないというのが僕の意見。
しかしきのうは、かたまり肉が中途半端に残っていたから、「ならば青椒肉絲」となるのである。
きのうはそれを、さらにチャンポンに仕立てることにした。
炒め物をチャンポンに仕立てるのは、酒飲みならぜひやるべきだ。
酒飲みなら、晩になったらとりあえず飲み始め、さらに料理を作る際にも飲みながらやるはずだ。すると飯を食べるころには喉が乾いて、たっぷりの汁気を欲しているはず。
なので汁気たっぷりのチャンポンは、酒飲みの自炊メニューとして王道だといえると思う。
さらにチャンポンは、袋麺の中華麺を使ってもそれなりにおいしくできるから、麺をわざわざ別にゆでるラーメンと比べて作るのがラク。
ゆで麺より、焼きそば用の蒸し麺を使って汁気をたっぷりと吸い込ませた方がむしろおいしく、ここにさらに強めのトロミをつけ、麺のコシより「汁の運び」で勝負するのがおすすめだ。
ピーマンは、シャキシャキしていることは必要なのだが、炒め足りないとちょっと青臭い。
しかし究極の選択として、炒め足りなくて青臭いピーマンと、炒め過ぎてクッタリしてしまったピーマンと、どちらを選ぶかと言われれば前者だから、最適な炒め加減をめざすには、炒め足りない方からスタートし、徐々に最適に近づけていくようにするのがいいと思う。
まずは干し椎茸のだしを取る。
鍋に、
- 水 2+2分の1カップ (2カップのだしが取れる)
- 干し椎茸(中) 3枚
を入れ、フタをして中火にかけて、煮立ったら火を止めて15分くらい置いておく。
それから肉も下味をつけておく。
豚かたまり肉(きのうは肩ロース)100グラムくらいを、繊維にそって4~5センチ長さ、5ミリ角くらいの細切りにし、
- 酒 小さじ1
- おろしショウガ 小さじ1
- 塩 小さじ4分の1
- コショウ 1~2ふり
をもみ込んで、片栗粉・小さじ1くらいをまぶしておく。
フライパンにサラダ油・大さじ2分の1を入れて強火にかけてよく熱し、まず、
- 玉ねぎ 4分の1個 (タテの薄切りにする)
を20~30秒炒めたら、次に
- ピーマン 2個 (タテに5ミリ幅くらいに切る)
を入れ、20~30秒炒めて皿にとり出す。
あらためてフライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
を入れて弱火にかけ、2~3分、ニンニクがきつね色になり始めるくらいまでじっくり熱する。
下味をつけた肉を加え、そのまま弱火で、肉の色が変わるまでじっくり炒める。
肉の色が変わったら、
- タケノコ 4分の1本 (5ミリ角くらいの細切り)
- もどした干し椎茸 (汁気をしぼり、石づきの先端だけ切り落として5ミリ幅くらいに切る)
を加え、1~2分炒めて油をなじませる。
- 酒 大さじ2
- みりん 小さじ2
- 薄口醤油 大さじ2 (絶対に薄口である必要がある)
- オイスターソース 小さじ1
- コショウ 1~2振り
を加え、弱火のまま2~3分煮て味を含ませる。
- 干し椎茸のもどし汁 2カップ
を加え、中火にして煮立ってきたら弱火にもどして2~3分煮て味をなじませ、味をみて塩が足りないようなら加える。
中火にし、煮立ってきたら中華麺(ゆででも蒸しでも)1人前を入れ、入れてからカッキリ1分、箸でほぐしながら煮る。
1分たったら火を少し弱め、
- 片栗粉 大さじ2
- 水 大さじ2
の水溶き片栗粉をスプーンで入れては混ぜしてトロミをつけ、ここで麺だけをとり出して、どんぶりによそってしまう。
最後に、
- とり出しておいたピーマンと玉ねぎ
- ゴマ油 小さじ1
を入れる。
中火で20~30秒混ぜて、ピーマンにトロミが絡んだらどんぶりによそう。
好みで粗挽きコショウや酢をかけてもいい。
これは、たまらん・・・。
汁を吸い、トロミがばっちり絡んだ中華麺は、マジでうまい。
またそれに、しゃきしゃきピーマンとやわらかな肉が、ほんとに最高。
ただしこれは、酒のシメとして打ってつけなばかりでなく、これ自体が死ぬほど酒に合うのである。
おかげできのうもさらに酒が進んでしまい、結局また飲み過ぎるのも、仕方がないというものだ。
「いい気になるとひどい目見るよ。」
そうだよな。