昨日は何を食べようか考えたら、即座に「鶏もも焼きおろしポン酢」が一択で思い浮かんでしまった。
ほかのメニューもあれこれ考えて見たけれど、ぼくの体はどうしてもそれが食べたいと言うから、結局それを食べたのである。
「鶏肉が食べたい」とおもったのは、一昨日食べたのが魚で、「肉が食べたいけれど、豚肉までコッテリしなくていい」ということだったとおもう。
ぼくの場合、食べたいものを考えはじめるのは、まずは「肉か魚か」というところからで、肉を選ぶと、次の選択は「豚肉か鶏肉か」ということになる。
牛肉は、高いから選択肢に入れていないのである。
それで鶏もも肉を買っては来たのだけれど、もも肉おろしポン酢は、わりと最近、食べたばかりだ。
多少はちがった料理が食べたいという頭もあるから、料理を作りはじめる段になり、またいつも通り酒を飲み、他の料理法もあれこれ考えてみたのである。
まずは鶏もも肉は、焼くのでなく、煮るのもうまい。
卵でとじれば「親子丼」という話になり、これは日本のゴールデンメニューである。
それからおなじ焼くにしても、味つけは、おろしポン酢でなくてもいい。
水菜が冷蔵庫に入っていたから、これを生のまま下に敷き、オリーブオイルとレモン汁のドレッシングをかけるというのも、またうまい。
また「てり焼き」という手もある。
醤油味の、甘辛い鶏もも肉がうまいのは知れた話だ。
さらに焼いたあとに残る鶏の脂で、ソースを作るのも悪くない。
バターにレモン汁を加えると、洋風の味わいになるわけだ。
しかし昨日、ぼくの体は、それらの提案をいずれも拒否し、
「どうしても、もも焼きポン酢醤油が食べたい」
と言い張るのである。
仕方がないから、言うことを聞き、それを作ることにしたわけだ。
鶏もも肉を焼くときは、ゆっくりと弱火でやるのが肝心だ。
弱火でフタをせずに焼くことで、皮はパリッと、中はジューシー、「これだよね」という加減になる。
塩は表と裏に、小さじ2分の1くらいずつ、あらかじめすり込んでおく。
皮目から焼けば、鶏の脂がすぐに出るから、油をひく必要もないのである。
15分くらいして、皮がこんがりとキツネ色になったのを見てひっくり返す。
裏側は、わりと早く火が通るのだが、やはりこんがり、キツネ色に焼き色がついたら火を止める。
食べやすい大きさに切り分けて、軽くしぼった大根おろしとネギをふる。
ここにポン酢醤油と、一味をかけるという話である。
鶏もも肉を焼く前と後とで、サイドメニューも3品作る。
これもあらかじめ、酔っ払った頭で、念入りに考えてあるのである。
まずは炭水化物をどうするかということがある。
酒だけだと、あまりに飲み過ぎてしまいがちだし、また痩せすぎてもしまうので、炭水化物は意識的にとるようにしている。
鶏がこってりした味つけなら、ご飯を敷いてどんぶりにしてもよかったのだが、それができなかったから、とろろ昆布のにゅうめんにすることにした。
とろろ昆布のにゅうめんは手軽だし、汁物も兼ねるので、献立にくわえやすい。
とろろ昆布を敷いたお椀に、固めにゆでたそうめんを温かいまま入れ、お湯をそそぎ、うすくち醤油で味つけする。
いつもなら、ネギを入れるところだが、昆布だしだけだとネギは強すぎるなとおもい、ゆずの皮をのせることにした。
それから冷蔵庫に残っている水菜を使いたかった。
水菜は生のまま、サラダにするのが手軽だけれど、昨日ぼくの体は洋風味を嫌がるのだ。
そうなると、おひたしか煮びたしということになる。
煮びたしだと、にゅうめんとかぶることになるから、おひたしにすることにした。
水菜をおひたしにするとして、ちりめんじゃこをくわえ、ポン酢醤油をかけることをまず思いついた。
でもそれだけだとパッとしないから、何かくわえたいところである。
しばらく考え、思いついたのが、油揚げなのだ。
油揚げをこんがり焼いて、できるかぎり細く切ってくわえたら、いかにもうまそうではないか。
さらにもう一つ問題があり、ポン酢醤油が、鶏もも焼きとかぶるのだ。
味つけは、すべてのメニューでちがうようにしたいところだ。
そこで鶏もも焼きには一味をふるから、こちらはおろしショウガでいくことにした。
おろしショウガと油揚げ、それにポン酢醤油は、黄金の取り合わせなのである。
冷蔵庫に卵があるから、それも使いたい。
卵は鶏肉との取り合わせもいい。
シメジも冷蔵庫に余っていたから、それと炒め合わせることにした。
味つけは、バターと醤油、それに卵は、少し甘めの味がいいから、みりんも加えることにする。
・・・と考えていたのだけれど、料理をしながら、大根の皮が余ったのである。
せっかくだから、それも入れることにした。
フライパンは中火で熱してバターを溶かし、細く刻んだ大根の皮を炒める。
大根がしんなりしたら、シメジを加えてさっと炒め、みりんとうすくち醤油で味つけ、溶き卵を入れて大きめにまとめる。
皿に盛ったら、七味をふる。
ポン酢には一味、甘めの味には七味があうのである。
というわけで、昨日も料理に2時間かかり、ようやく食べる段に行き着いた。
酒はもちろん、月桂冠の冷や酒だ。
鶏もも焼きおろしポン酢。
さっくり・アンド・ジューシーである。
昨日の料理は、体のわがままに振り回されっぱなしだったのだが、やっただけの甲斐はあった。
体がよろこんだこと、よろこんだこと・・・。
しかしおかげで、昨日もまた飲み過ぎた。
布団に入った記憶はおぼろげなのである。
「しかしおっさんは、暇だよね。」
ほんとだよな。
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コメント
きつね色?黄金色? なんと形容したらいいのか・・・・見事な焼き色ですね。
はじめまして。
とろろ昆布にゅうめん、とてもおいしそうに見えて、昨日家で飲んだ〆に作ってみました。
簡単にできて、酒にも合うし、すばらしいメニューですね。
これからも楽しみにしています。
家族がいない日のご飯は簡単に済ませることにしていたのに、この記事見てあまりに美味しそうで自分のためにがんばって作ってしまいました。美味しかったあ