スルメイカは安く、また捌くのもそう難しくない。
さらに「あっさり」と「こってり」の2つの顔を持ち、どちらも酒に、よく合うのである。
自炊をするとなると、やはり「安い」というのは大事なことになってくるわけだけれど、スルメイカはその点、優等生である。
最も新鮮なものでも200円くらい、100円台で売っていることも少なくなく、1パイで十分お腹が一杯になる。
丸ごとのイカを買うと、どうしても捌かないといけなくなるから、やったことがない人にとっては、途轍もなくハードルが高いように見えるだろうという気持ちは分かる。
ただイカを捌くのは、他の魚にくらべれば圧倒的に簡単で、勇気を出して1~2度やってみれば、まちがいなく誰でも、あっさりとできるようになる。
イカの最大の特徴だと思うことは、
「とにかく酒に合う」
ことだ。
酒のつまみの代表は、乾き物としては「スルメ」なわけだが、イカの尋常ではない酒への合い方を思えば、それも当然なのである。
イカには胴とゲソのあっさりとした味と、ワタのこってりとした味との2つの顔がある。
そのどちらもが、それぞれちがった趣で酒に合うというのだから、たまらないのだ。
スルメイカを買う場合には、やはり新鮮なものを選ぶ必要がある。
新鮮なスルメイカは色が茶色で、茶色が濃ければ濃いほど、より新鮮であることになるのだけれど、鮮度は素人にはなかなか分からないから、お店の人に、
「これは塩辛にできますか」
と聞くのがよい。
スーパーでも、塩辛にできるレベルのスルメイカが入ってくる。
何ならお店の人に捌いてもらい、ワタまで持ち帰ってくるようにするのも悪くはない。
スルメイカを捌くには、まずは胴から中身を引き抜くことになる。
片側で、胴と中身が接続されている部分があるから、まずはそれを、指を届くかぎり中に入れて外していく。
つづいて胴と中身を両手で持って、グイと引っ張って中身を胴から引き抜く。
意外に力が必要なのだが、ちぎれることはないから、畏れずにやる。
またワタが多少胴に残ってしまっても、それも食べられるのだから、気にする必要はないのである。
胴の、中身と接続されていた部分に細長い軟骨が入っているから、入口のあたりを指で剥がしてまっすぐに引き抜く。
これはまっすぐ引き抜かないと、よく途中で折れてしまうから、注意が必要だ。
それから中身は、目の下のところで切る。
足の根元に硬いクチバシが1対あるから、それを指で取り除く。
以上をもって、スルメイカの解体はめでたく終了という次第である。
解体したイカの残りは、ゴミの日まで、ビニール袋に入れて冷凍庫に放り込んでおけば臭わない。
さてこのスルメイカを、どうやって酒の肴に仕立てあげようか、考えるわけである。
これは飲みながらやるのがオススメだ。
スルメイカを最も簡単に食べようとするなら、サッとゆでるか炒めるかして、ショウガ醤油で味付けすることである。
スルメイカだけ使うので問題は全くないが、昨日は冷蔵庫にあった水菜とシメジ、玉ねぎを合わせ、ゴマ油と輪切り唐辛子で炒めることにした。
合わせるのは、ニラはもちろんのこと、ネギ、ブロッコリー、アスパラガスなど、わりと味が強めのものなら、何でもイケる。
さらに下にそうめんを敷いて、味を吸わせることにする。
それからイカは、やはり「ワタをどう使うか」が、考える場合の大きなポイントだ。
まずはゲソだけ塩辛にする手がある。
塩辛は、本式の作り方では2~3日かけるのだが、即席で30分ほど漬け込むのでも十分おいしいものになる。
ただ昨日は、このあいだやった「ワタ炒め」がとてもおいしかったから、今度はゲソを加え、ふたたびワタ炒めにすることにした。
ここには味を吸わせるために、麸を入れることにする。
ここまで考えれば、あとは作るだけである。
まずはゲソワタ味噌炒めを先にやる。
ワタ袋の側面に包丁で切れ込みを入れ、器にワタをしごき出す。
ここに酒とみりん、砂糖、味噌それぞれ大さじ1、おろしショウガ小さじ1を加え、よく混ぜ合わせた上、ぶつ切りにしたイカゲソを入れ、さらに混ぜ合わせておく。
味噌は何でもいいけれど、やはり赤だし味噌がうまい。
それから麸も、水でもどして絞っておく。
ゴマ油と輪切り唐辛子少々を入れたフライパンを強火にかけ、煙が立ってくる頃になったら、漬け込んだゲソを入れる。
間髪入れずに麸を入れて、ひと混ぜしたら火を止める。
新鮮なイカは生でも食べられるのだから、火を通すのは一瞬でやるのが最大のポイントだ。
それから次に、ショウガ焼きを作る。
イカの胴は、5ミリ幅くらいの輪切りにしておく。
水菜はざく切り、シメジはバラし、玉ねぎは5ミリくらいの厚さに切った。
酒と醤油、おろしショウガそれぞれ大さじ1を混ぜ、合わせ調味料も作っておく。
ショウガをがっぽり入れるのが、味のポイントになる。
これも一瞬の勝負になる。
やはりゴマ油と輪切り唐辛子少々を入れたフライパンを強火にかけ、煙が立ってくる頃になったら、まずはイカ、ひと混ぜしたら、つづいてシメジと玉ねぎ、ひと混ぜして、さらに水菜、2~3混ぜし、合わせ調味料を入れる。
2~3混ぜし、調味料がなじんだら、火を止める。
火を止めてから味を見て、塩気が足りなければ塩を加える。
ゲソワタ味噌炒めには、青ねぎを振る。
濃厚なコクがあり、酒の肴にはもちろん、ご飯のおかずにも絶対いい。
味をたっぷりと吸った麸が、またたまらないという企画である。
ショウガ焼きは固めにゆでた、温かいそうめんの上に乗せる。
ショウガが効いたさっぱりとした味も、また酒にはよく合うのである。
味を吸ったそうめんも、言うまでもなくうまい。
あとは、とろろ昆布の吸物。
お椀に削り節ととろろ昆布、青ねぎに醤油を入れ、お湯を注ぐ。
厚揚げの焼いたの。
ショウガに青ねぎ、ポン酢醤油。
レンコンの甘酢浸し。
酢1対みりん1、塩と輪切り唐辛子少々の甘酢に、うす切りにしたレンコンを30分ほど浸しておく。
酒は日本酒。
昨日もツイッターでぶちぶちと呟きながら、2時ごろに寝た。
「酒に合うものばかり作るから、酒が進むんじゃないの。」
たしかにそうなんだけどな。
◎関連調味料
イチビキ 名古屋八丁赤だし 500g
520円(アマゾン・送料無料)
◎関連記事
コメント
高野さんのブログを見て、最近よくイカの炒め物をします。さばくのは意外と簡単だし、さっと出来ておいしい!!こちらでは白いかを使いますが・・・。