疲労回復に絶大な効果があるニラは、まずは豚肉、それにレバーなどとの取り合わせが、栄養面でも最強だ。
しかしニラは、イカなどの魚介類といっしょに炒めても実によく合うのである。
一昨日までで、冷蔵庫の残り物もだいぶ処理ができたから、昨日は商店街へ買い出しに行った。
料理初心者だった頃は、昨日の記事に書いた通り、その日の分の食材だけ、メニューを綿密に考えながら買い物していたものだけれど、最近は、冷蔵庫にあるものをうまく使えるようになってきたから、あまり考えずにまとめ買いして、料理する段になってから、何を作るか考えるようになっている。
昨日は魚屋へ行ったら、真っ茶っ茶の色をした、いかにも新鮮そうなスルメイカがあった。
活きのよさはお墨付きであるようで、女将さんも、
「お造りにしたらいいよ」
と太鼓判を押す。
若大将も、
「塩辛もいいですよ」
と、さらにダメ押しするくらいだから、よほど自信があるのだろう。
それで値段は250円なのだから、スルメイカは本当に安いのだ。
魚屋でそのスルメイカを買い、次は八百屋へ向かった。
季節の野菜をあれこれカゴに入れていると、ふと、ニラに目が止まった。
「ニラは、イカと炒め合わせてもうまい・・・」
しかしイカは、活きがいいからお造りと塩辛にするつもりにすでにしていて、若大将から皮の剥ぎ方も聞いている。
迷ったのだが、結局ニラも、買うことにした。
あとで分かったことなのだが、これはぼくの体が、ぼくにメッセージを発していたのだ。
この時は意識はしていなかったけれど、あとになり、ぼくはぐったり疲れを感じるようになった。
おそらく体は、
「疲労回復に効果があるニラを買え」
と、ぼくに告げていたのである。
体が発する声が聞ければ、体の方もそれほどひどいことにはならないのではないかとぼくはおもう。
さて疲れながらも、仕事のほうは何とかこなし、晩酌の支度をすることと相成った。
これはこの間も書いたことだが、ひとり暮らしの場合には、酒が好きなら、飲みながら支度をするのがオススメだ。
晩酌を、この時点で始めてしまえば、支度を急ぐ必要もなくなる。
多めに作ったおかずを取り分け、それを肴にのんびりやれば、料理がとても楽しくなる。
ただしこれは、ひとり暮らしの特権なのである。
家族がいると、家族は料理が出来上がるのを待っているから、こうして先に一人で勝手に飲みはじめ、のんびりやるというわけにはなかなかいかないのではないだろうか。
冷蔵庫にキャベツが余ったのが入っていたから、まずそれをおひたしにすることにした。
塩ゆでし、水にとって絞るだけのおひたしは、多くの野菜に対応できる、最も手軽な料理の仕方である。
上にかけるものを変えれば、味も変わるというわけだ。
昨日は削り節にポン酢醤油をかけた。
薄く切ったナスは一つまみの塩で揉み、5分置いたら水で洗ってよく絞る。
削り節にショウガ醤油で食べる。
そしていよいよ、イカを捌く段である。
胴から中身を引き抜いてみると、わたの色を見ておどろいた。
鮮やかな赤銅色だったのだ。
ぼくはこれまで、活きのいいイカのわたがオレンジ色なのは見たことがあったが、赤銅色は初めてで、さすが魚屋が太鼓判を押すだけのことはある。
実はこの時までは、イカのわたは使わないつもりでいた。
オイスターソースで炒めるつもりにしていたから、わたが入るとちょっとクドすぎることになるのだ。
しかしこのわたは、捨てるにはあまりに惜しい。
塩辛にするには時間がないし、少し考え、炒りつけることにした。
わたをわた袋からしごき出し、ここに酒とみりん、味噌を小さじ1ずつ、おろしショウガ小さじ1/2を加えてよく混ぜる。
これを弱火にかけたフライパンで、サッと炒りつける。
これは最高に、「ヤバい」食べ物になった。
これだけで、ご飯は間違いなく何十杯でもイケるし、酒も何百杯でも飲める。
あとはイカを捌いていく。
胴に軟骨が入っているから、途中で折らないよう、まっすぐ引きぬく。
中身は目から上を切り落とす。
足の根元に硬いクチバシがあるから、それを取り除く。
あとは、胴は5ミリ幅くらいの輪切りに、足はぶつ切りにする。
イカは捌いてあるのを買ってきてもいいけれど、それほど難しい話でもなし、わたも使えるわけだから、まるごと買ってくるのがオススメだ。
スーパーでも、それなりに新鮮なのが売っていることがあるから、鮮魚コーナーの担当者に「塩辛にできるか」と、聞いてみるのがいいと思う。
捌いたあとの生ゴミは、冷凍庫に入れておけば臭わない。
ここでいよいよ、捌いたイカと、ざく切りにしたニラを炒め合わせるわけなのだが、これは本当に、一瞬でやるのが最大のポイントだ。
イカもニラも、火を通し過ぎるとダメになるから、「炒める」というよりは、「和える」つもりでやるのがいい。
調味料も、あらかじめ合わせておく。
酒とみりん、オイスターソースが大さじ1、砂糖と醤油、おろしショウガと酢、それに片栗粉が小さじ1。
フライパンを強火にかけ、ゴマ油と輪切り唐辛子少々を入れて、煙が立ってくる頃になったら、まずイカ、ひと混ぜしたら、つづいてニラを入れる。
2~3混ぜしたら間髪をいれずに合わせ調味料を入れ、さらに2~3混ぜして火を止める。
火を止めてから味を見て、塩が足りなければ加えて混ぜる。
ゆでたそうめんの上に乗せると、そうめんに味が絡まり、またうまい。
イカとニラは、本当によく合うのである。
飯は酒をのみ、ツイッターで呟きながら、2時間ほどかけチンタラ食べる。
食べているうちに、足がじんわり、ポカポカとしてきて、早くもニラが、効果を発揮しはじめているのを感じる。
一晩寝たら、前日の疲れは完全にとれ、今もまだ、足はじんわり、ポカポカとしている。
やはりニラの、疲労回復効果は絶大なのである。
「疲れが取れるとほんとに嬉しそうだよね。」
年をとると、疲れが抜けなくなるからな。
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残り物を処理するには、何でも入れて煮てしまうのが最も簡単なのである。
スピナーズで盛り上がって長居して、そのあと帰ってニラの味噌鍋を食べたのである。
コメント
飲みながらのツマミ作成、最高ですね。
我が家は「父ちゃん、おなかすいた〜」と言われつつ調理しておりますので不可です。
こんばんは
高野さんが「ニラ」が疲れを取る食材NO1と毎日のように連呼するので、
夏の疲れか、とても体がダル重いので今晩「ニラ」たっぷりの
餃子をリクエストして作ってもらいます。
ニンニクがダメなの「ニラ」とキャベツ多目の餃子でオイラも疲れを取って
元気回復したいです!
放浪の旅のブログも楽しみにしてます
一つ質問ですが最近ギターは?このごろあまり書かれてないので・・・
ギターは最近全然弾かなくなっていて、部屋の隅にしまわれてしまっています。
前の彼女に勧められて始めたということもあり、彼女と別れたら、急激にやる気がなくなってしまって・・・ww
おーm(_ _)m
では、放浪の旅にぜひ背負って行って新しい恋を爪弾いて下さいませ(^_−)−☆
さるキーワードでここにたどり着きました。
高野さんとは同級生でしょうか?こちらはS43年4月小学校入学・家族借金持ちリーマン23居住活字がメシの種のおっさんです。
同じ時代の同じ空気を吸って同じテレビを見て同じ(ような)ものを飲み食いしてきたと思います。ですから、書かれていること、(ほぼ)共感できます。
ただ「『今の日本はダメダメ』ばかりいうのは無責任」という指摘は結構刺さりますね。
ぼくは昭和37年生まれですよ。
高野さん♪こんばんは^^
料理本を出版されている有名な方とは知らずに
先日は失礼致しました^^
ニラとイカ♪とっても美味しそう~(*^^*)
今度、作ってみますぅ^^
おはようございます
烏賊のワタ、私も大好物です。家人に任せておくと確実に捨てられるのでワタだけは自分で調理します。特製塩辛です。酒と塩だけで味つけし、なじんだ頃にスダチを絞りごま塩を振り掛けます。このゴマ塩が重要だと気づきました。ゴマの香ばしさが塩辛と(ワタと)良くあうのです。朝食時に白飯のオカズにすると2杯は軽くいけます。3杯目も欲しくなりますが、食べすぎなのでやめます。しかしそれほど特製烏賊塩辛は旨いです。烏賊を入れないので、塩辛というよりもワタそのものです。