沖縄・高江でのヘリパッド建設工事阻止行動 参加1日目 ~米軍基地内で工事を阻止した

INADA 沖縄での社会運動

高江抗議

きのうは沖縄・高江で、米軍基地ヘリパッド建設工事の阻止行動に参加した。いま高江での行動は、舞台を米軍基地内にうつしている。

 

建設工事の阻止行動は、これまで米軍基地の外で行われた。工事のための砂利や機材が運ばれるトラックや作業員をのせた車が、基地の外の道で検問を張ったり、車でバリケードを築いたりして、基地のなかに入れないようにすることが目的だった。

米軍基地は、もちろん関係者以外立ち入りは禁止。ゲートには軍警がいて、もし許可なく米軍基地内にいるところを軍警に見つかれば、即座に捕まることになる。

 

ところが3日前から、行動の舞台は米軍基地内に移っている。高江の米軍基地は、広大な「やんばるの森」の一部を占有している。基地の境界には金網が張ってあるところもがるが、森はあまりに広いから、ただふつうに森であるところも多い。ほとんどの場所には金網など張られておらず、誰でも自由に出入りできるのだ。

もちろん軍警に見つかれば、逮捕される。でも高江は訓練地域で、しかもまだ建設中。米軍兵士が駐留しているわけでもないし、米軍としてもまだそれほど重視しているわけではないようだ。管理は防衛省の機関である「防衛局」にまかされて、軍警は敷地内にはほとんどいない。

 

現在ヘリパッドの建設工事は、「H」という基地内の区域で進行中だ。またHへ機材を運ぶため、道路の建設が進んでいる。

阻止行動は現在、この米軍基地内での工事を直接止めることが目的となっている。その方法は、建設現場に「座り込む」ということだ。

 

工事現場に行くためには、森の中のけもの道を40分ほど歩かなければならない。そこで僕は前日ワークマンで、底の分厚い防水の作業靴を買った。

作業靴

 

座り込み開始

N1裏

高江米軍基地の「N1ゲート」ちかくにある行動拠点「N1裏」に、6時に集合。40名ほどのプロテクターが3つのグループに分かれ、7時に出発。行動の現場へ向かう。

ぬかるみでツルツル滑る斜面も多く、慣れれば大したことはないのだろうが、1日の大半を座って過ごし、運動といえば30分ほど歩くだけの僕にとっては、一苦労なのである。

 

現場につくと、工事現場に座り込む。

高江 座り込み

 

買ったばかりの新品の靴は、すでにドロドロ。

高江 座り込み

 

防衛局員は、「ここは提供施設区域内です。速やかに退去してください」とくり返す。

高江 座り込み

 

しかし「退去してください」といわれたくらいで、立ち去るわけにはいかないのだ。

だいたい本来、県に取るべき許可を取らずに、違法に工事を進めているのは防衛局だ。県も工事に抗議をし、県民の大多数は、この違法工事に反対している。

阻止行動は、「しないでください」といわれて、「はいそうですか」とやめていては、何もできない。ただし逮捕だけは避けなければいけないから、ギリギリのところで引くというさじ加減が必要となってくる。

 

防衛局員の後ろには、機動隊の隊員も待機している。しかしここは、米軍基地内。治外法権の場所なのだ。

基地の外なら、こうして座り込みをしたりすれば、すぐに機動隊がやってきて、力ずくで排除される。しかし治外法権の基地内では、日本の警察は基本的には、警察権をもっていない。なのですぐには排除にやってこない。

だいたい米軍兵士が、自動車事故程度ならもちろんのこと、強姦殺人などの凶悪な犯罪を犯しても、日本の警察は捜査することができないのだ。なのでこちらの抗議行動も、本来は排除や逮捕などの手出しはできないはずで、機動隊は、防衛局員の後ろでとりあえず静観するということになっている。

 

座り込み中の娯楽

高江 座り込み

座り込みは、7時半から夕方まで、工事ができる時間を丸々つぶしてしまうことを目的に続けられる。そのあいだはとにかく暇だから、新聞を読んだりなど、それぞれが暇のつぶし方を考える。

 

ある人が、現場でツイキャスを中継していた。

防衛局員は、ただひたすら突っ立ったり、おなじ文言を壊れたロボットのようにくり返したりしている。その姿が高江の大自然のなか、あまりにミスマッチでシュールに見え、まるで何かのプロモーションビデオのように思えたので、いっそのこと、ここでプロモーションビデオを作ろうということになった。

 

ラップができるプロテクターが呼ばれた。

INADA

 

パフォーマンスのタイトルは、「INADA」。ちょうど建設工事の視察と市長との会談に訪れた稲田防衛大臣をのせたヘリが、上空を飛んだからだ。

稲田防衛大臣をのせたヘリ

 

「INADA」大袈裟太郎 Free Style in TAKAE

 

排除と撤収

僕たちは、こうしてそれぞれに楽しみを見つけながら、座り込みを続けたのだが、それも終わるときが来た。

警察は、治外法権の場所だから迂闊に動くことはできないものの、それでも米軍との交渉により、一定の警察権は得ているようだ。ただし基地外でのように即座り込みの排除にでるのではなく、まず防衛局員が対応し、それから説得の手をつくした上で、それでも効果がなかったから警察に排除を依頼するという段取りが必要らしい。

 

午後3時半ごろだっただろうか、70人ほどの機動隊がやってきて、こちらを排除にかかった。

高江 座り込み

 

止まっていた建設機械は、ふたたび動き出し、工事が再開。

高江 座り込み

 

警察は、米兵に対しては、凶悪犯罪を犯しても手出しをしないくせに、こういうときだけエラそうにしてくるのは、まったくおかしくてヘソで茶を沸かしちゃうぜという話なのだが、仕方がない。きちんと言うべきことは言うにせよ、ここで度を越して抵抗すると、逮捕される危険がある。

プロテクターは座り込みをやめ、最後は撤収することとなった。

 

それでもきのうは、7時半から3時半まで、8時間にわたって工事を止めた。

阻止行動はそれなりの成果を上げられたと言うことができると思う。

 

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