在日コリアン風の吸い物、これは衝撃の味なのだ。カツオだしといえば「和食のキモ」ともいえるものなわけで、これにニンニクを合わせることは、正直僕もこれまで考えたことが一度もなかった。
ニンニクは魚のだし自体にはとてもよく合い、僕も煮干しだしにニンニクを入れてわかめスープを作ったりはしていた。でもカツオだしには合わないだろうと、ハナから決め付けていたのである。
ところがこれが、本当によく合う。プーンと香るカツオの風味に、ニンニクの風味が混ざったものは、ほとんど「快感」ともいえるくらいの魔力。
考えてみたらカツオのたたきは、ニンニクを薬味にするわけだ。カツオの控えめな味とクセのあるニンニクは、日本でも相性がよいものとして認められていたことになる。
さてそういうわけで、このカツオだしとニンニクの魅力がどうしても忘れられず、きのうもまた在日コリアン風吸い物にした。具は、豚肉と菜の花、豆腐とネギ。
豚肉の吸い物は、まあ「肉吸い」なのであって、関西ではわりとポピュラー。上の具の組み合わせも、和風の肉吸いとして全くおかしくないと思う。
ただ肉吸いを和風で作ると、実は一味足りないのだ。これは肉としょうゆの相性がよくないからで、カツオだしは肉としょうゆを接合する役割を果たすのだが、まだそれだけだと力が足りない。
そこで登場するのが「生卵」なのだ。すき焼きを生卵で食べるのと同様、肉吸いの場合も卵を割り落としたり、卵かけご飯を添えたりする。
ところがニンニクは、肉としょうゆを強力に結びつける作用がある。1かけ入れれば、卵がなくても味のバランスが完全に整うのだ。
作るのはまったく難しことはないし、時間もかからない。
コツといえば菜の花を煮過ぎないことくらいだから、初心者でも大きく失敗することはないと思う。
鍋に、
- 水 3+2分の1カップ (3カップのだしが取れる)
- ニンニク 1~2かけ (たたき潰して薄皮を取る)
を入れて中火にかけ、煮立ってきたら一旦火を止め、ザルを据えて、カツオ節15グラム(2.5グラム入りパックなら6袋くらい)を入れて、弱火をつける。
30秒くらい小さく煮立てながら煮出し、火を止めて2~3分置き、だし殻を軽く絞ってとり出す。
(ニンニクは入れたままでいい)
この3カップのだしに、
- 酒 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 薄口醤油 大さじ2 (濃口醤油なら小さじ2)
- 塩 少々 (このあと豆腐が入るから、ちょっとだけ強めにしておく)
で味をつけ、
- 豚うす切り肉 150グラム (きのうはバラ。食べやすい大きさに切る)
- 豆腐 2分の1丁 (食べやすい大きさに)
- 長ねぎ 10センチくらい (斜め切り)
を5分くらい、弱火で煮る。
火を少し強めて(=強めの弱火)、菜の花・1パック(長ければ半分くらいに切る)を、まず茎、つづいて葉を入れて1分ほど、ちょっと食べ応えが残るくらいに硬めに煮て、最後に味をみて塩加減する。
器によそい、韓国粗びき唐辛子(一味唐辛子)をたっぷりかける。
これうま過ぎて、マジで泣けますよ。
あとは、ジャガイモご飯。
鍋に、
- 研いで15分くらいザルにあげておいた米 1カップ
- ジャガイモ(中) 1個
- 水 1カップ
- 酒 小さじ1
- 塩 小さじ4分の1
を入れて、普通に炊く。
この豚肉と菜の花の吸い物・在日風、飲み過ぎてしまうのも仕方がないのは言うまでもないことだ。
しかしここまで酒に合ってしまうと、飲まないのは酒に失礼というものなのだ。
「失礼じゃないよ。」
そうだよな。