醤油ベースの麻婆豆腐に中華麺を入れて煮込んだもの。麺に麻婆が絡んだのは、ほんとに死ねる。
「麻婆ラーメン」は、鶏がらだしを使い、ラーメン以外の中華料理もいろいろ出す関東のラーメン屋では定番メニューの一つなわけで、これはその家庭版。
まず具が、肉と豆腐だけでは栄養バランスが悪いから、野菜が少し入っている。
それから麺を、わざわざ別鍋でゆでるのは、何杯も出すラーメン屋では効率的だが、1杯しか作らないうちなどでは超面倒。
そこでチャンポン用のゆで麺を使い、スープで煮込むことにした。
具が多めに入っていること、麺を煮込むことから、「チャンポン」と呼んでみた次第。
麻婆豆腐は、一般的なレシピでは甜麺醤などみそを使う。でも今回は、新宿の中華料理店「岐阜屋」に習って醤油ベースの味つけとした。
これがまたスッキリとした味になり、酒によく合うのである。
スープは顆粒の鶏がらだしなどは使わずに、干し椎茸のもどし汁。
オイスターソースを合わせると、要は植物系の昆布と魚介系のかつお節とちょうどおなじ話になって完璧なバランスで、さらにそれがパワーアップされた感じになるので、非常におすすめ。
炒め物をつくる際、煮汁を煮立てるとか、ピーマンや青菜をシャッキリ炒めるなどのときを除いては、おれはだいたい弱火でやる。ほとんどの場合に弱火でまったく問題なく、薄切り肉をつかう場合など、むしろ弱火のほうが火の通りすぎを防げておいしくできる。
中華料理屋が強火を使うのは、味のためというよりも、「早く作るため」なのではないか。商売だから、効率は直接お金に換算できる。
それに料理屋なら、おなじものを大量に作るから、野菜を切るなどの下ごしらえもあらかじめしておける。洗い物も、別の人がやったっていいだろう。
ところが家庭で料理する際には、炒めるのと野菜を切ったりするの、さらに使った調理器具を洗ったりなどのことを、一人で同時に並行させないといけなくなる。
その場合、火が通る時間がゆっくりになる弱火のほうが、作業を並行させるにはやりやすいのだ。
弱火でじっくり火を通すというのは、炒めるというよりは「焼く」に近く、ちょうど鉄板焼きのイメージだ。
鍋をガチャガチャ振り回してまぜる中華屋のイメージは、家庭では捨てたほうがラクなのではないかと思う。
まずは干し椎茸のだしを取る。
鍋に、
- 水 2カップ (どんぶり1杯分のだしが取れる)
- 干し椎茸(中) 3枚 (サッと洗う)
を入れ、フタをして中火にかけ、煮立ったら火を止めて15分くらい置いておく。
それから木綿豆腐も下ゆでする。
豆腐・2分の1丁(200グラム)を1.5~2センチ角に切り、塩・1つまみを入れた水に入れて中火にかける。
沸いてきたら火を止めて、そのまま鍋の中に置いておく。
こうすることで、豆腐の水が抜けて味がしみやすくなり、身が締まって扱いやすくなる。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- 豚ひき肉 150グラム
を入れて弱火にかけ、スプーンで押しつぶしてほぐしながら5分くらい、水気が「ジュージュー」と弾ける音が収まってくるまで焼く。
麻婆は、ひき肉の水気をよく飛ばすことが、おいしく作るための最大のコツとなる。
- 豆板醤 大さじ1
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- ショウガ 2センチ大ほど (みじん切り)
- 長ねぎ 5センチほど (みじん切り)
を加え、さらに2~3分じっくり炒める。
- 酒 大さじ2
- みりん 小さじ1
- 醤油 大さじ1
- オイスターソース 大さじ1
を加えてまたさらに2~3分炒め、ひき肉によく味をつける。
中火にし、
- 干し椎茸のもどし汁
- 下ゆでした豆腐 (よく湯を切って)
- もどした干し椎茸 (水気を絞って石づきの先端を落とし、5ミリ幅くらいに切る)
を加え、煮立ってきたら弱火にもどして、5分くらいコトコト煮る。
味をみて、必要なら塩を加える。
中火にし、中華麺を加える。
写真では麺はフライパンのまん中に入っているけれど、片側に寄せて入れると盛り付けるときやりやすい。
1分ほどしてふたたび煮立ってきたところで、ざく切りのニラ・3分の1把を加え、ひと混ぜしたら、
- 片栗粉 大さじ1
- 水 大さじ1
の水溶き片栗粉を加えてトロミをつける。
- 粗挽きコショウ とてもたっぷり
- ゴマ油 小さじ1
- 酢 小さじ1
を加え、ひと混ぜして火を止める。
どんぶりにまず麺を、つづいて具を盛り付ける。
これはたまらん、、
醤油ベースの麻婆と中華麺は、黄金の組み合わせ。
麺が汁の味を吸い、さらにトロミで絡まったのは、ほんとに死ねる。
それでこれが、初めにも言った通り、酒が進んで進んで仕方がないのだ。
飲み過ぎないよう、十分注意してもらいたい。
「飲み過ぎたよね。」
そうだよな。