きのうは、サバのみそ煮。これは、八丁みそを使うのがコツだ。
ダラダラすることにかけて、人後に落ちないとは思っている。何しろおれのダラダラ加減はかなりのものだ。テキパキする人から見たら、光の速さで後退していると映るにちがいない。
これは、一人暮らしであることも大きい。小うるさい嫁でもいたら、こうまでダラダラさせてもらえないだろう。
ダラダラしたいだけダラダラできるということは、じつに幸せなことである。
さらにおれは、酒を飲む。酒は、ダラダラするために飲むものだ。だいたい酒を飲むと、2時間でも3時間でも、おなじ場所に座っていられる。これは酒を飲んでいないかぎり、できない芸当といえるだろう。
ダラダラと、酒を飲む。それで、「これ以上は飲めない」というところで寝る。
ただし寝る前に、歯みがきと歯間ブラシだけはするのである。これは歯が弱くなっている五十男の悲しいところだ。
一つだけ残念なのは、酒がそれほど強くないこと。そのため朝から飲むことができない。
ダラダラするなら、起き抜けに缶ビールの1本や2本、「プシュッ」と開けるのは常識だ。じっさい世の中には、そうして暮らしている人はたくさんいる。
朝から飲むには、飲みながら仕事ができなければならないわけだ。酒が強い人は、それができる。
ところがこちらは、飲めば眠くなって仕事どころではなくなる。仕事をしなければ、生きていくことはできない。
なのでもし生まれ変わったら、酒が強いか、仕事をしなくていい身分か、どちらかになりたい。
これは神様には、ぜひ考えてもらいたいところだ。
さてきのうは、食事の支度をしながらの酒で、一つ、かなりの発見があった。
食事の支度をしながら飲む際、つまみは冷蔵庫に入っている前日の残り物とか、だし殻の昆布と削りぶしとか、そういう適当なものにする。いまは季節柄みかんがあるから、それをつまみにすることも多い。
このみかんのつまみが、なかなかいいのだ。酒が焼酎の場合だと、ちょうどサワー感覚のさっぱりとした味になる。
ツイッターでそうつぶやいたら、返信があった。
夏みかんに醤油をかけると、焼酎にじつに合うというのだ。
そこで早速、みかんに醤油をかけてみた。
なるほど、うまい!
酢の物感覚。
ウソだと思うなら、試してみ!(^o^)@unspiritualized pic.twitter.com/TulhFG3nXM— 高野 俊一 (@shunichitakano) November 2, 2015
これがオドロキ。超ウマイ。
みかんと醤油など、水と油だと思うだろう。ところがじつに、じつにいい味になるのである。
しかし、その理由は、すぐに分かった。「みかんと醤油」といえば、要は「ぽん酢」だ。
水と油どころか、王道中の王道なのだ。
たぶんさらに、削りぶしをかけて食べるとうまいのではないかと思う。
そうやってみかん醤油をつまみに飲みながら、つくった料理は、サバのみそ煮。
そろそろサバが、おいしい季節になりつつある。
サバのみそ煮は、要はみその煮汁でサバを煮るだけだから、たいして難しいことはない。ゴボウでも一緒に煮れば、最高だ。
ただ一つ、最大のコツがあるのである。
それは、八丁みそを使うこと。
八丁みそのサバのみそ煮と、普通のみそで作ったサバのみそ煮は、全くちがったものになる。八丁みそのサバのみそ煮を「大人」とすれば、普通のみそのサバみそ煮は、「幼稚園生」といってもいいほどだ。
なぜなら普通のみそは、本来煮込むことができない。みそ汁でも、みそは火を止めてから最後に入れる。
これは普通のみそが、煮立てると風味が飛んでしまうからだ。
普通のみそのサバみそ煮は、この、本来は煮込むことができないみそを、無理やり煮込んだものなのだ。
ところが八丁みそは、いくらでも煮込める。「煮込めば煮込むほどおいしくなる」とまで言われる。
なので煮込む料理には、使うみそは、八丁みそ。
サバのみそ煮も、当然そうだという話なのである。
八丁みそは、「赤出しみそ」が使いやすい。
煮込み料理はもちろんのこと、料理のベースなどにもなり、使い出がとてもあるから、常備するのがおすすめだ。
あと煮魚のコツをもう一つあげるとすれば、「煮時間を守る」こと。魚は煮過ぎると、パサパサになってしまう。
サバの場合は、煮時間は10分。それを過ぎたら、何があっても火を止めることが肝心だ。
鍋に、
- だし昆布 10センチくらい
- 細切りにしたショウガ 2センチ大くらい
- 皮にバッテンに切込みを入れたサバ 半身分
- 洗って3ミリ厚さくらいに切り、5分ほど水にさらしたゴボウ 1本
- 水 1+2分の1カップ
を入れ、あらかじめ混ぜ合わせておいた調味料、
- 八丁赤出しみそ 大さじ3
- 砂糖 大さじ1
- 酒 大さじ2
- みりん 大さじ2
を加えて、落としブタをして強火にかける。
煮立ってきたら、強めの中火、落としブタの下まで煮汁が沸き上がってくる火加減を保ちながら、10分煮る。
皿に盛り、好みで青ねぎや一味をかける。
八丁みその、コッテリとした濃厚な味が、たまらない。
あとは、水菜と鶏肉の吸い物。
削りぶしを切らしていて、煮干しでだしを取ったのだが、これがまったく、悪くなかった。
3+2分の1カップの水で、
- だし昆布 10センチくらい
- 頭とわたを取った煮干し 1つまみ
をあまり煮立たせないように弱火で10分くらい煮て、
- 酒 大さじ3
- みりん 大さじ1
- 淡口醤油 大さじ2
- 塩 少々
で味つけする。
弱火のまま、まず鶏肉と油あげを少し煮て、それからシメジ、最後にざく切りの水菜を入れて、火を止める。
それに、白めし。
酒は、栄川。
福島の酒・栄川がまたうまく、つい飲み過ぎるわけである。
おかげできょうも、酒が残っているのだが、ダラダラするには、そのくらいのことは仕方ないのだ。
「バカだよね。」
ほんとだな。
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