カツオのたたきは、キムチで食べるべきである。ニンニクを合わせるのが定番なことからも分かる通り、淡白なカツオは、クセのある味が合う。薬味は通常通りのものをたっぷり乗せ、ゴマ油とぽん酢をかける。死ぬかと思うほどウマイ。
京都の、おれがお世話になっている魚屋では、カツオのたたきは見たことがない。
初ガツオの季節に見かけるのは、カツオを蒸し上げた生利節。それから今ごろだとよく出ているのは、カツオたたきのようにサバを焼いた焼きサバ。
たぶん京都の地の人は、カツオのたたきを食べる習慣がないのだろう。
といってもそろそろ戻りガツオの季節だから、スーパーには、カツオのたたきは山のように並んでいる。
関東人であるおれは、それはカツオは好きだから、きのうは焼いたのを1本買ってきたのだ。
食事の支度を始めるまでは、普通にショウガとぽん酢で食べようと思っていた。ところが台所に立った途端、天啓がひらめいたのだ。
「キムチで食べたらうまいに違いない、、」
カツオは淡白な魚である。そのままだと味が足りないから、薬味をたっぷり乗せ、酸味のあるタレをかけ、さらに日本の料理では珍しく、ニンニクを乗せたりする。
だったら思い切って、キムチを合わせたらいいではないか。ゴマ油とぽん酢をかけ、カルパッチョ的にあしらうと、実においしそうに思われた。
しかしちょっと不安だから、ツイッターで聞いてみた。
カツオのたたき、キムチで食べたらおいしいよね?
— 高野 俊一 (@shunichitakano) August 11, 2015
すると、まず返信。
@shunichitakano ニンニクを付け合わせたりするから合いそうですね。
— ウサギ (@nekotausagi) August 11, 2015
「ですよね!」というところである。
さらに決定打がきた。
@shunichitakano カツオのたたき、キムチ載せてマヨで食べたらめちゃ美味しい!
— 李信恵 이(리)신혜 (@rinda0818) August 11, 2015
実際の経験者からの、GOサイン。
「マヨネーズ」は、要は「コッテリと油っこくて酸っぱいタレ」という意味だから、「ゴマ油にぽん酢」と全くおなじ考えだ。
このツイートで自信を得て、キムチで食べるカツオのたたき、作ることにしたのである。
薬味は、
- 水にさらしたうす切りの玉ねぎ
- 小口切りの青ねぎ
- 横にうす切りにしたみょうが
- 千切りの青じそ
と、通常通り。
玉ねぎと青ねぎがキムチに合うのは言うまでもないとして、みょうがと青じそがキムチに合うかどうかは、ちょっと考えた。
しかしみょうがは、赤だしに入れて一味を振って食べるとうまい。コッテリとしたピリ辛味は合うはずだ。青じそも、エゴマの葉と似たようなものだから、キムチは問題ないだろう。
それに、タレのぽん酢が合うのはもちろんとして、ゴマ油も絶対合う。
みょうがや青じそを薬味に使う場合、さらにゴマを振るのは定番だ。
分厚く切ったカツオたたきを冷やした皿に並べ、キムチとたっぷりの薬味を乗せる、、
ゴマ油とぽん酢をかける、、
「こ、これは、、ウマイ、、」
やはり、思った通りだった。カツオの味の足りないところを、キムチが完璧に補ってくれている。
薬味とキムチ、ゴマ油の相性も申し分ない。
これをもって、
「カツオのたたきはキムチで食べるべき」
と、めでたく決定したわけである。
きのうはあとは、ゴーヤの赤だし。
煮干しだしに酒と赤だし味噌で味をつけ、油あげとゴーヤを煮たら、お椀によそってネギと一味をかける。
万願寺とうがらしの炊いたん。
鍋に、
- 万願寺とうがらし 1袋
- ちりめんじゃこ 大さじ1
- 水 1カップ
を入れて中火にかけ、煮立ってきたら、
- 酒 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 淡口醤油 大さじ1
を加え、落としブタをして弱火の中火くらいで15分ほど、煮汁がほぼ完全になくなるまで煮る。
それに、わさび醤油の冷奴。
酒は、冷や酒。
きのうはまた、酒が一段とうまかった。何しろ新たに思いついた料理が、大成功を収めたのだ。
となれば嬉しさで、つい飲み過ぎてしまうことになる。
布団に入るときの記憶がないのも、仕方がないというものだろう。
「あきれて物が言えないよ。」
そうだよな。