祇園祭還幸祭のおみこしは三条会商店街で見るのがおすすめ

祇園祭還幸祭 京都名所

祇園祭還幸祭

祇園祭は宵山や山鉾巡行など見どころは山ほどあるが、やはり一番見るべきは、還幸祭のおみこしだ。おみこしは神様を運ぶものだから祭の中心であるのは言うまでもなく、またこれが京都のはんなりとしたイメージとは違い、男っぽさ満載のものすごい迫力なのだ。還幸祭のおみこしを見るのなら、三条会商店街がおすすめのスポットだ。

 

 

祇園祭は日本を代表する祭の一つであるわけで、見どころはほんとに多い。7月1日から始まって、それが31日まで、まる1ヶ月にわたって様々な行事が続けられる。

その中でも、特に多くの観光客を呼び寄せるのは、まずは宵山、それから山鉾巡行だろう。

宵山は、京都の中心地8キロ四方にわたって交通が封鎖され、巨大な縁日となるわけで、これをあれこれ見て歩くのは楽しい。また趣向がこらされた山鉾も、まさに「動く美術館」の風情である。

 

おれも例年は、宵山も山鉾も見物するのだが、今年はあれこれあったし、天気もイマイチだったので、結局パスすることになってしまった。

しかし絶対に外せないのは、還幸祭のおみこしなのだ。

祇園祭還幸祭

祇園祭の行事のなかで一つだけを見るとするなら、この還幸祭だとおれは思う。

 

何しろ、ものすごい迫力なのだ。

祇園祭の様々な行事は、ほとんどがいかにも京都らしい、上品ではんなりとした風情がある。山鉾巡行にしても、まあもちろんあれだけの大きなものを動かすから、それなりの迫力はあるけれど、動きはわりとゆっくりで、辻回しなども時間がかかり、のんびりしている。

 

ところがおみこしだけは、違うのだ。おれは5年前に京都へ来て、初めて還幸祭のおみこしを見て、
「京都にも荒くれ男どもがこんなにいたんだ」
と驚いた。

当時はまだ刺青の規制がなく、上から下まで柄が入った、明らかに「その筋」と分かる人もたくさんいた。

その男衆が、野太い声で「ホイットー、ホイットー」と声を上げながら、町中を練り歩く。ちょっと「コワイ」という印象すらあるほどだ。

 

おみこしこそ、お祭の中心だ。普段は神社にいる神様が、お祭の期間中だけ、おみこしに乗って町へ出る。

お祭は、要はすべて、その神様を迎えるための行事である。祇園祭でも、宵山も、そして山鉾巡行も、還幸祭のおみこしの「前哨戦」という位置づけだ。

 

だからおみこしにこそ、京都の人達の想いが集まるのではないだろうか。

おみこしを見ずして、お祭を見たことにはならないのではないかとおれは思う。

 

 

さてその還幸祭、まずは午前中に「みこし弁当」を受け取るところから始まる。

みこし弁当

みこし弁当は、還幸祭のおみこしを担ぐ男衆、およびそのまわりの人たちが食べるためのもので、非売品。それをおれは、いつもお世話になっている八百屋のご主人のご厚意で、毎年分けてもらっているのである。

 

おみこしの時間ごろに味がなじむようになっているから、夜、おみこし見物に出かける直前に食べる。

みこし弁当

これが、激しくウマイのだ。

 

竹の皮をあけると、ごま塩のかかったご飯に、梅干しとたくわんというシンプルな弁当が現れる。

みこし弁当

 

梅干しは、昔ながらのちょっと塩味がきついタイプ。

みこし弁当

 

たくわんは、強い歯ごたえがあり、甘めに仕立てられている。

みこし弁当

 

そして特筆すべきは、ご飯である。

みこし弁当

 

やや硬めに炊き上げられ、それが時間が経って、竹の皮のおかげだろう、ほどよく水分が抜けている。

ごま塩の塩加減も絶妙で、噛むほどに味が増す、素晴らしいものなのだ。

 

しかもこのみこし弁当、猛暑のさなかでも2~3日は腐らないのだそうだ。竹の皮や梅干し、ごま塩のお陰だろうが、昔の人の知恵は、大したものだと感心する。

 

みこし弁当を食べ終わったら、いよいよおみこしの見物に出かける。

祇園祭還幸祭

このポイントだが、三条会商店街内、黒門通角にある八坂神社御供所前がおすすめだ。

 

おみこしは、中御座と東御座、西御座の3基ある。これら3基は、四条の御旅所を出たあとすぐ、それぞれ別の道をねり歩く。

これらが再び合流するのが、三条会商店街の大宮通からなのだ。

だから三条会商店街の大宮通より東にいれば、おみこしを3基とも、全て見ることができる。

 

しかもここは観光客がそれほど来ない上、道が狭いから、おみこしを間近で見ることができる。

遠くからおみこしがやってきて、、、

祇園祭還幸祭

 

それがだんだん近づいてきて、、、

祇園祭還幸祭

 

目の前までやってくるわけである。

祇園祭還幸祭

 

さらに、黒門通角にある御供所前では、おみこしが3基とも、「担ぎ上げ」をする。

通常は肩で抱えるおみこしを、両手を一杯に伸ばした上で抱え、それを大きく上下に揺らすもので、これが、すごい迫力なのだ。

 

もし気が乗れば、そのままおみこしの後をついて、八坂神社まで行ったらいい。

八坂神社階段下では、集結した3基のおみこしが一緒に担ぎ上げをするそうで、これがまたすごい迫力なのだそうだ。

 

しかしおれは、まだ八坂神社まで行ったことはない。

祇園祭還幸祭

毎年、男衆の食事の世話をした女衆の、八百屋での打ち上げに呼んでもらっているからだ。

 

心尽くしの、ごちそうの数々。

祇園祭還幸祭

 

ハモ寿司やら、、、

祇園祭還幸祭

 

タコとこんにゃくの煮物やら、、、

祇園祭還幸祭

 

小芋をうす味で炊いて青柚子をかけたのやら、、、

祇園祭還幸祭

 

なすを青く煮たのやら、、、

祇園祭還幸祭

 

話も弾み、12時頃まで長居して、おみやげまでもらって帰ってくるわけである。

 

祇園祭は、今年は還幸祭しか見られなかったが、それでそれなりには満足した。

でも来年は、また宵山や山鉾も見られたらと思うのは、言うまでもない話である。

 

◎関連記事

祇園祭のお神輿は、山鉾巡行とは打って変わって荒々しいのである。

山鉾は野趣にあふれて素朴なところがいいのである。

宵山は、面白いものはちょっと寂れたあたりにあるのである。

嵐山に穴場中の穴場があるのである。(琴ヶ瀬茶店)

金がなくても遊ぶからこそいいのである。(新福菜館三条店、南禅寺の桜)
 

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