豚汁は普通のレシピでは、だしで豚肉と野菜を煮て、最後にみそを溶き入れることになっている。みそは風味が飛んでしまうため、煮込んではいけないからだ。
でもこの作り方には大きな問題がある。煮ているあいだ、肉にも野菜にもだし以外の味がつかないのだ。
煮ることの目的は、ただ具材に火を通すだけではない。味のついた汁で煮ることにより、具材に味をしみさせることの方がむしろ大きい。
それが証拠に、大根など火が通りにくいものを煮る場合、あらかじめ下ゆでして完全に火を通してしまう。そのあと煮るのは、味をしみさせるためだけだ。
煮ることのこのような目的を考えてみた場合、豚汁のみそを最後に溶き入れる作り方は、大きな欠陥があるといえることになる。
そこで京都の人は、それとは違ったやり方で豚汁を作るのだ。
「京都の人は」と言ったが、京都の人全員に確認したわけではない。でも京都で一度食べた豚汁が、そのように作られていると思った。そこでそのあと、京都生まれの友人に確認したら、「そうだ」と言ったからまちがいない。
京都の人は、豚汁を作る際、だしに醤油でうすく味をつけて煮て、さらに最後にみそを溶き入れるのである。
というわけで作った豚汁・京都流。
普通に作るより257倍うまいから、京都に人にかぎらず日本全国の人が、豚汁はこのように作るべき。
具材は、豚汁には普通、根菜を入れることになっている。これは冬場に体を温めるためだと思う。
でもこの豚汁には、これは京都流というわけではないが、ニンニクを入れてある。ニンニクが豚肉と作用して、体は十分温まるから、具材は何を入れてもいいのだ。
だしはかつお節で取った。でもこれは面倒なら、煮干しでもだしの素でもかまわない。
作り方
2+2分の1カップの水を煮立て、かつお節1つかみ(=ミニパック4袋分・10グラム)のかつお節を鍋にすえたザルに入れ、2~3分弱火で煮、絞って取り出す。
できた2カップのだしに、
- 酒 大さじ2
- みりん 小さじ2
- 薄口しょうゆ 大さじ1
で味をつける。
豚こま肉・100グラムくらいと、冷蔵庫に残っていたりする野菜、それに細切りにしたニンニク・1かけを入れて野菜がやわらかくなるまで煮、最後にみそを味をみながら溶き入れる。
たっぷりの一味をかける。
肉にも野菜にもしっかりと味がしみ、マジでうまい。
しかしこの豚汁・京都流、酒にもとてもよく合うのに、きょうも「朝だから」というだけの理由で、酒を飲まなかったのだ。
こんなことをしていては、ぼくはそのうち病気になるのではないかと思う。
「ならないよ」
そうだよな。