きのうは長門市で、昼飯に海鮮丼を食べた。
これが、じつにうまかった。
海鮮丼は、新鮮な魚を食べるには手頃なやり方。山陰の観光地では、これを目玉にする店も多い。
山陰は、基本的に魚が新鮮だから、どこの海鮮丼を食べても、そうまずいことはない。でももちろん、魚の鮮度には、やはり多少の高低はあるのである。
きのうの昼に食べたのは、長門市の191号線沿いにある「いさ路」。
ネットでの評判がよかったから、行ってみたのだ。
長門市には、近くに漁港がある。いさ路はそこで獲れた地元の魚だけをつかっているから、その日の朝に水揚げされた、口から火を吹くほど新鮮な魚が食べられるという仕掛け。
12時10分ほど前に到着したのだけれど、店内はほぼ満員。日替わりランチは売り切れていた。地元のおじさん・おばさん達が、団体で何組も来ているようだった。
舌の越えた地元のおじさん・おばさんに支持されているのなら、まちがいないのだ。長門市に行ったときには、ぜひここに来るのがおすすめだ。
値段は1,680円。海鮮丼としてはやや高めだけれど、その価値は十分ある。死ぬほど新鮮な海鮮丼など、そうしょっちゅうは食べられないのだから、200~300円高くたって、どうってことはない。
刺身の量はたっぷりで、しかもすべてコリコリだ。山かけも入っていて、これをマグロと一緒に食べるとまたうまい。
さらに特筆すべきなのは、あらの吸い物。
完全に澄んだ味がして、ゆずの風味がきかせてある。
魚のダシは、どうしても魚臭くなってしまいがちなのだ。それがここまで澄んでいるのは、魚がそれだけ新鮮だからこそできる技だ。
萩から長門市を経由して下関まで、海岸沿いの道をすすんだ。下関のホテルにチェックインしたら、いざ食事。
下関ももちろん魚はうまいのだが、昼に最高の海鮮丼を食べ、もう魚欲は満足していたから、韓国料理を食べることにした。
下関には、「グリーンモール」という名前の韓国飲食街がある。
僕は7年前にここに来て、大変おいしかったから、また来ることにしたのである。
ただしグリーンモールの韓国料理店は、7年前に比べると、ずいぶん減っていたように思った。
人に聞いた話だと、30年前くらいからの韓流ブームで韓国から日本にやってきた人たちは、韓流ブームがやや落ち着いたのと、韓国が経済的に大きく成長したためにあまりメリットがなくなって、韓国へ帰った人も多いそうだ。
しかし7年前に僕が来た、韓国家庭料理の店「シオン」は、健在だった。
グリーンモールのいちばん端に位置するにもかかわらず、ここはお客さんがきちんと付いているようで、きのうも常連さんが、会社の部下を連れてきたとおぼしき20人ほどの団体さんが、大騒ぎしながら楽しそうに飲んでいた。
まずビール。
それからキムチ、焼きのりと……、
イカのキムチ。
ここは、料金が安いのも特徴だ。
ただし量は多いから、一人ではなかなか色々頼むことはできないが、きのうはふさえもんがいたから安心だった。
海鮮チヂミも頼んでみた。
これがザルに乗っていて、切られていない。どうしたのかと思ったら、海鮮が入っているから、うまく切れないとのことだ。
辛さは、辛さなし・ちょい辛・普通の中からえらべる。青とうがらし入りの「普通」をたのんで見たけれど、辛いのがまったくダメな人は別として、異常に辛いわけではないから、これをたのむのがおすすめだ。
味が付いているとのことで、タレはなしで食べるのだが、ゴマ油がほんのりきいて、しかも余計な味はついていない。
素材の味が生かされた、大変うまいチヂミだった。
その頃には、酒はマッコリ。
マッコリは、度数はビールより低いから、多少飲んでも翌日の運転に差し支えることはない。
最後にシメとして、「ホルモン鍋」900円とキムチ鍋「800円」の、どちらをたのむか迷った末、ホルモン鍋をたのむことにした。女将さんに聞いたら、「本当に鍋で、コンロにかけて出てくる」とのだったのだが、値段も900円だから、一人用の小さな鍋なのだろうと予想した。
すると出てきたのは、差しわたし30センチはあろうかという鍋になみなみと入ったホルモンと、ニラ、もやし。
ここの女将は、前に来たときもそう思ったのだが、コセコセとせず豪快な人なのだ。
火をつけて、女将が自ら混ぜてくれる。
スープもきちんと肉から取ったものでコクがあり、ホルモンもぷりぷりだ。味つけも強すぎず加減がいい。
完全にノックアウトされ、お腹も超いっぱいになった。
シオンは間違いなくいい店だ。だいたい、女将さんが、「小股の切れ上がった女」という感じで、いいのである。
下関の駅からは、徒歩10分ほど。機会があれば、絶対に行ったほうがいいのではないかと思う。