ブログ読者の福島県農家の人から、採れたての桃を送ってもらった。
福島の桃は、食べるに決まっているのである。
1ヶ月くらい前、おっさんひとり飯のフェイスブックページに、
「福島の桃食べますか?」
とメッセージが入った。
その人のページを見ると、一応本名は書いてあるものの、詳しい情報などはなく、どういう人だかよく分からなかったので、
「おいしそうですね!」
とだけ答えたのだが、そうしたら、先日その人から改めてメッセージが入り、
「住所が分からなかったので、桃をPiPi宛に送りました。オーナー様とお分けください」
とのこと。そして翌日であるきのう、喫茶店「PiPi」に荷物が届いたのである。
お礼の電話をしたとき聞いたら、送ってくれたのは福島県の農家の人で、この桃は、自分のところで作ったものなのだそうだ。
早速一つを食べてみる。
でかい!
皮を剥き・・・、
食べる。
まだ熟れていないから少し硬いが、それでもうまい。
福島県は、山梨県に次ぐ、全国2位の桃の名産地だそうである。
以前フェイスブックで、福島の知り合いが桃を食べる話を書いていて、いかにもうまそうだったから、ぜひ食べてみたいと思っていた。
きのうはそれで終わったのだが、きょうになり、そのことをブログに書く段になり、ハタと考え込むこととなった。
「そういえば、放射線はどうなんだっけ・・・?」
まずぼく自身について言えば、
「福島の人が食べているのであれば、ぼくも食べる」
という立場である。もしそれが、仮に放射線で汚染されていたとしても、関係ない。
だいたいぼくは、タバコを吸う。有害物質の筆頭とされるタバコを吸う人間に、微量の放射線による危険を云々する資格はないだろう。
しかしブログに書くのであれば、単にぼく自身のことではなく、福島県産の桃の安全性が実際のところどうなのかを、もう少し詳しく知る必要がある。ぼくのことはいいとして、例えば子供も、食べても大丈夫なのだろうか。
それでネットを調べ始めたのだが、「福島 桃 安全性」などと検索すると、出てくる記事の半分以上が、安全性に疑問を呈するものだ。「検査方法に問題がある」のがその理由となっている。
それでその検査方法について、ちょっと詳しく調べてみた。
福島県の農産物の放射線検査は、「ふくしまの恵み安全対策協議会」という、生産者団体、流通業者、小売業者、消費者団体、および福島県によって設立された団体によって行われ、その検査結果がホームページで公表されている。
このホームページによれば、まず米については、現在福島県では、生産者による全量全袋の検査が行われている。それにより、放射線量が基準値を下回り、安全性が確認されたものだけが出荷される。
それから野菜や果物などについては、まず県による抜き取り(モニタリング)検査が行われる。
本来はそれに合格したものは、出荷してもいいはずなのだが、さらに生産者は、自主的に網羅的(スクリーニング)検査を行い、安全性を確認しているのだそうだ。
桃についての検査結果を見てみると、この2ヶ月で、3500点にも上る自主検査が行われ、その全てにおいて、基準値100ベクレル/kgに対し、放射線の検出は25ベクレル/kg未満だったとなっている。
つまり現在のところ、「福島県産の桃は安全である」と言い切っていいのだろう。
全く、涙ぐましい努力である。
この検査をするために、どれだけの余計な時間と費用がかかるのだろうと思う。
この検査を疑うことは、もちろんできる。検査の方法など、細かくつつけば、いくらでも疑問は見つかるだろう。
でも農家の人達は、抜き取り検査に加えて、さらに自主的に網羅的な検査までを行っている。
さらにその上、どこまでやれば、信用されるというのだろう。
もちろんそれは、国に責任があることだ。国が事故処理をきちんと行わず、さらに情報を隠すから、疑う気持ちが湧いてくる。
安倍首相が桃をみずから食べて見せ、安全性をPRするなど、何の意味もないことだ。
そんなことをすればするほど、余計に疑いたくもなるだろう。
ぼくに桃を送ってくれた農家の人が、
「福島の桃食べますか?」
と聞いてきたとき、どんな複雑な想いがあったのだろうと、今、思う。
もしかしたら「危険だから食べたくない」と、言われるかもしれないとも思っただろう。
それに対して、メッセージではすぐに答えられなかったけれども、今ははっきり答えたい。
福島の桃は、食べるに決まっているのである。
「甘くなるのが楽しみだね。」
ほんとにな。
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