歌舞伎町の真ん中にある「思い出の抜け道」。戦前の建物ものこる横丁形式のこの場所は、「まさにディープ」で大変おすすめ。
同窓会が終わってラーメンを食べ、歌舞伎町へ帰ってきた。新宿に泊まるときは、歌舞伎町に宿をとる。
歌舞伎町は、高校・大学時代に遊んだ街。思い出があるのである。
時刻はもう12時過ぎ、酒も腹も満足していた。でももうちょっと、歌舞伎町で飲みたくなった。
となれば、行くのは「思い出の抜け道」。
まさにディープで、歌舞伎町で飲むならここだ。
思い出の抜け道は、歌舞伎町のど真ん中にある。風林会館の南側。
横丁形式で、細い路地の両側に、朽ちかけたビルやバラックなどが立ち並ぶ。建物は、戦前に建てられたものもそのまま残っているそうで、こんな場所がいまだに残っているとは、まったく驚く限りである。
ここは以前はそれほど安全でもない場所で、中国マフィアによる「青龍刀事件」の現場ともなったそうだ。金城武主演の映画「不夜城」は、この街を舞台にしていて、ロケもここでされたとか。
でもその後、歌舞伎町浄化作戦がおこなわれ、いまでは若い人も入ってきて、カフェ風の店も立ち並ぶようになっている。観光客も来るそうだ。
ただし歌舞伎町の真ん中にあるここへ来るには、到着するまで5秒に1回、客引きに声をかけられるのを覚悟する必要はある。客引きは「敵」とみなして無視をして、それでもしつこかったら立ち止まり、相手を睨みつけて「うるさいな」と言うのが、散財しないためのコツだ。
思い出の抜け道に入るとすぐ、バラック造りのバーの中から、
「寄ってかない?」
と、声がかかった。
赤い提灯に「竹千代」の屋号。中を覗くと、女性が一人でやっていて、カウンター2席の店内には、お客さんは他にいない。
親の介護のこともあったから、女性としんみり話したいとは思っていた。
料金が怖かったので、「高いんじゃないの?」と聞いてみた。すると、
「全部1000円だから大丈夫よ」
との答え。
そこで、中に入ることにした。
料金のことを先に書くと、まず3品ほどのお通しが出てきて、これが1000円。ウイスキーの水割りも、1杯1000円。
ただし、こちらがお酒を頼むと、女の子も自分の飲み物を勝手につくる「自動おごり制」になっている 笑。きのうは2杯たのんだから、女の子も2杯飲み、お勘定は計5000円ということになった。
ママは竹千代さんで、夕方5時半の開店から12時までいるそうだ。そのあと朝8時まで、この女性・江梨子さんが、店番をするという。
ただし女性といっても、ママも江梨子さんもニューハーフ。この店は、「ゲイバー」ということになるようだ。
ニューハーフだと、ただの女性よりかえって話しやすいところもある。介護のことで話し込み、時間はあっという間に過ぎた。
ゲイバーだから、話題はもちろん、最終的にはシモに流れる。「ドアの外から写真を撮らせてくれ」とたのんだら、江梨子さんもきちんとポーズを取ってくれた 笑
ウイスキーを2杯飲み、3時に店を出て宿へ帰った。
「歌舞伎町欲」は満たされて、お風呂に入ってぐっすり寝た。
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