【エスニック・マーボー豆腐】中華料理の甘辛すっぱさとは似て非なる味で、55,673回は死ぬ

反和食レシピ

この頃すっかり、タイ・ベトナム系のエスニック味にハマっているのである。

といっても僕はこれまでタイ料理を熱心に食べ歩いたことはなく、あくまで適当。なのだが、中華のピリ辛味と似たようなものでありながら、根本的にちがうところがあると思えておもしろい。

なにしろすでに、僕の基本調味料にはナンプラーが加わっているほどなのだ。

 

「エスニック味」と僕が呼んでいるのは、あのトムヤムクンとかの甘辛すっぱいやつのこと。

甘辛すっぱい味自体は、世界の料理の味つけで王道中の王道であるわけで、日本だったらポン酢に紅葉おろしとか、からし酢味噌がそれにあたるし、中国でもマーボー味も、控えめながら甘辛すっぱい味といえるわけで、酸辣湯などはその辛いとすっぱいを増幅したものである。

ヨーロッパでも、トマトソースは玉ねぎの甘みと唐辛子の辛み、それにトマトの酸味が合わさったものなわけだし、インドでも、辛いのはもちろんのこととして、かならずフルーツやヨーグルト・トマトなどで甘味と酸味をつけるはずで、べつに甘辛すっぱい味はタイやベトナムだけに限ったものではない。

 

それではタイやベトナムのエスニック味は、それらと何がちがうのか。

「ナンプラーを使うこと」と思うかもしれないが、たしかにナンプラーは、すこし入れるだけでいきなりエスニック調をかもし出すから、エスニック料理にとって重要な調味料であることにはちがいない。
でもあのエスニック調の独特なバランスは、べつにナンプラーが必須なのではなく、オイスターソースでも置き換え可能であることを、僕は「しょうゆを入れ忘れたマーボー味」で経験した。

ナンプラーはエスニック味にとって、日本のしょうゆや、ヨーロッパのトマトのように、主要な調味料であるのでなく、オイスターソースや、日本ではかつおだしなどと同様「魚介の風味づけ」であるというのが僕の意見。

 

それではエスニック調の料理にとって、それを特徴づける「主要な調味料」とは何なのかということになるわけだが、もちろんタイやベトナムではトマトも使うし、ココナッツミルクなども使うのだが、「ない」のではないかと思っているのだ。

それが証拠に、上のマーボー豆腐では、いつも作っているマーボーからしょうゆを抜いたら、エスニックぽくなった。
またチリソースからケチャップを抜けば、タイやベトナムで使われるスイートチリソースになる。

つまり何か一つ、日本ならしょうゆとか、ヨーロッパならトマトとか、そういう調味料があるのでなく、甘辛すっぱい味そのものが、タイやベトナムの料理を特徴づけているのではなかろうか。

 

いやこれは、タイやベトナムの料理をまったく知らない素人の意見である。
でも、
「味つけの中心が、そうして空洞のようになっているならおもしろい」
と思っていて、現在中華の味から、しょうゆやみそ・ケチャップなどを抜きまくり、あれこれと試している真っ最中なのである。

 

ちなみに沖縄の料理では、しょうゆは使わないことも多いし、その分、唐辛子ソースである「コーレーグースー」をかけたりする。
これは東南アジアの影響なのではないかと、僕はちょっと思っている。

 

というわけで、きのう作ったのは、平たくいえばマーボー豆腐からしょうゆ(およびみそ)を抜き、甘みと酸味を増幅した「エスニック・マーボー豆腐」。

ここにゴーヤーを加えると、またたまらなくウマイのだ。

 

作り方は、マーボー豆腐とまったくおなじ。
ただみりんと酢をドバっと入れればいいだけだから、簡単だ。

 

フライパンに、

  • サラダ油 大さじ1
  • にんにく 1~2かけ(みじん切り)
  • 豆板醤 大さじ1
  • 玉ねぎ 4分の1個(みじん切り。エスニックには、やはり長ねぎではなく玉ねぎだろう)
  • 豚ひき肉 100グラムとか
  • 木綿豆腐 200グラムなど(好みの大きさに切る)

を入れて中火にかけ、5分くらい、豚肉と豆腐、それに玉ねぎの水気を飛ばしながらしっかり炒める。

 

  • ゴーヤー 2分の1本(タテ半分に切り、スプーンでわたをかき出して、2ミリ幅くらいに切る)

を加えてひと混ぜしたら(写真はゴーヤーを炒めるのを忘れたのである)、

  • 酒 大さじ1
  • みりん 大さじ2
  • ナンプラー 小さじ1
  • 水 200cc

を入れ、フタをして弱火でコトコト5分くらい、ゴーヤーがやわらかくなるまで煮る。

ゴーヤーがちょうどいい加減になったら、

  • 片栗粉 大さじ1+2分の1
  • 水 同量

の水溶き片栗粉を、まぜながら少しずつ加えてトロミをつける。

  • 酢 大さじ2

を加え、ひと混ぜしてさらに盛る。

 

好みでレモン汁(ポッカレモン100)などを少しかけても、とてもいい。

 

マーボーが非常にさわやかな味になり、55,673回くらいはまちがいなく死ねる。

 

そしてこれが言うまでもないことだが、酒に合いまくりなわけである。
ここまで酒に合ってしまえば、もう「飲み過ぎない」などということは、まったく思い出すこともないから不思議である。

 

「不思議じゃないよ」

そうだよな。

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