昼めしを食べようと思い、スマホのグーグルマップで「沖縄そば」と検索したら、この店が筆頭に上がってきたのだ。食べログでの評価も3.54と高いから、行ってみることにした。
行ってみた結果、この「八重そば」は、名護市に来たらぜひとも行ってみるべき店だと判明した。
まず奮っているのが、場所が名護市の飲み屋街にあること。
飲み屋街には、本土でもラーメン屋とかがよくあるから、もっともだと思うかもしれないが、この店はお昼間11時～15時のみの営業なのだ。酔っぱらいは、付近をまだ一人も歩いていない。なので閑散としたお昼間の飲み屋街に、この店はぽつんと一軒、営業しているのである。
これがなぜなのか、理由はよくわからない。
物事にとんちゃくしない性格なのか……。少なくとも「マーケティング」などということを、まったく考えていないことは間違いない。
にもかかわらず、評価は非常に高く、営業も成り立っているのだから、もうこれだけで、この店は「本物」なのだ。
ちなみに飲み屋街の中だから、付近に駐車場は見当たらない。
しかし店の前の通りには、まだ開店していないスナックの前などに延々と路上駐車がされていたから、それでいいということらしい。
次にこの八重そばは、メニューが少ない。
三枚肉とソーキ（スペアリブ）の沖縄そば、およびそのミックスと、ジューシー（沖縄式炊き込みごはん）のみ。僕がこれまで行った沖縄そばの店の中でも、メニューの数は一番少ない。
マーケティングを考えるのなら、少しでも多くのお客さんにヒットしようと、メニューの数は増えるものだ。だからこの八重そばは、このことからも、マーケティングについてはまったく考えていないことは明らかだ。
しかもメニューは右から左へと並べられているように見え、その筆頭が「ビール」なのだ。
昼からビールを飲む人は、割合としてみれば圧倒的に少ないのだから、この店は、その少ないターゲットを目指して、営業していることになる。
であるにも関わらず、営業が成り立つところが、「スゴイ」のひとことなのである。
しかしその理由は、この店の沖縄そばを食べてみれば瞬時に明らかになる。
これは「三枚肉そば大」で、650円。まず厚さ2センチに近い三枚肉が、ゴロゴロ6個入っている。
「これはあまりに多すぎだろう」と、思わず店主に心のなかで声をかけたくなるほどだ。
それからスープ。これは豚と鶏・カツオ節・昆布を使って長時間かけて取っただしに、塩だけで味付しているそうなのだが、那覇の沖縄そばのようにカツオの風味のみが際立つことはなく、具材のすべてが絶妙なバランスを保ち、それによって分厚いコクをつくり出している。
このスープは、まじでスゴイ。
一口すするたびに100回はノックアウトされ、しまいには恍惚としてくるほどだ。
しかもこのスープはおかわり自由。ヤカンで出てくる。
うす味で、塩気も抑えられているから、スープはいくらでも飲めるのだ。
ここまで手間ひまかけたものを、ここまでサービスして出されれば、それは誰だってリピートしてしまうのに決まっているのである。
麺はきしめんのような平たいやつで、これは名護の沖縄そば独自だそうだ。
一般の沖縄そば麺に比べると、やや柔らかめのタイプで、これがスープに絡んだのは、タマラナイ。
それからジューシー。
これがまた沖縄そばに、合うこと、合うこと……。
800円、「大」でなければ650円でここまでウマイものは、そうそうは食べられないのだ。
名護へ来たら、まず駆けつけるのがおすすめだ。
八重そば
- 住所 沖縄県名護市城1-9-3
- 電話 0980-52-3286
- 営業時間 11:00～15:00
- 定休日 火曜日
