沖縄の料理といえば、やはりゴーヤチャンプルーが有名。これを少しアレンジして洋風の味つけにすると、やさしい味で352回死ぬ。
ゴーヤチャンプルーは、沖縄にいるとき何度か食べた。
共通するのは、いずれも味つけが薄いこと。しょうゆは使っておらず、塩と、それにだしの素くらいを使っているだけ。
マリン亭のお母さんのはちょっと変わっていて、バターをコク出しに使っているが、やはりしょうゆは使っていない。
要はスパムにかなり濃い味がついているから、「味つけはそれで十分」ということだと思う。しょうゆは豚肉とは合わないから、ヘタに使ってしまうとかえって味を損なうことになる。
そこでこの本場・沖縄流を参考にして作ったのが、洋風のゴーヤチャンプルー。
要はマリン亭のお母さんの味つけである塩とバターに、ニンニクとコショウを加えたものだ。
琉球王国は中国や東南アジアとも隣接し、広く交易をおこなって独自の文化を築いたが、料理については日本の影響が大きいのではないだろうか。カツオだしやしょうゆを普通に使うし、何より中国や東南アジアでは豊富に使われるニンニクを、沖縄の料理ではまったく使わない。
だからこのゴーヤチャンプルーにもニンニクは使われないが、塩とバターとくれば、これにニンニクとコショウを加えれば、完全に洋風の標準的な味つけだ。
スパムは洋風なわけだからこの味つけは自然だし、ニンニクを使えば豚肉との相乗効果でスタミナは大幅アップ、しかも味も本場に負けず劣らず、352回は絶対死ぬ。
使う具材は、スパムとゴーヤ、豆腐と卵の基本のほかに、玉ねぎとニンジン。実際この組み合わせのゴーヤチャンプルーも一度食べたし、マリン亭のゴーヤチャンプルーもジャガイモが入っていて、これは味つけが薄い分、素材の味で味に幅を持たせるということだと思う。
それから豆腐はくずしめにし、白あえみたく、具材というより調味料に近いものとして扱うのも沖縄流。
卵は最後に上からかけて閉じ、その味と同時にポロポロにくだけた豆腐をまとめる役割を果たしている。
作るのは、フライパンに具材を順番に入れ、炒めていくだけだから非常に簡単。スパムに塩気があるから、塩を入れ過ぎないようにするのがコツといえばコツとなる。
作り方
フライパンに、
- オリーブオイル 大さじ1
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- スパム 100グラムくらい (3ミリ厚さくらいの短冊に切る。減塩タイプを使ったが、べつにそうでなくてもいい)
を入れて弱めの中火にかけ、2~3分じっくり炒めて味をひき出す。
つづいて、
- ゴーヤ 2分の1本 (タテ半分に切ってスプーンでわたをかき出し、2~3ミリ幅に横に切る)
- ニンジン しっぽのところを3センチくらい (細切りにする)
- バター 1~2センチ大
を入れて中火にし、3分くらいか、ゴーヤとニンジンが「まだちょっと硬いかな」というくらいまで火を通す。
玉ねぎ・4分の1個(タテのうす切り)を加えて1分ほど炒め、焼き豆腐・2分の1を、2センチ大くらいに手でちぎって入れて、豆腐をややくずし目にしながらさらに2~3分炒める。
味を見ながら(味を見るときには、ゴーヤなどと一緒に塩気があるスパムをに口に入れると味が狂わない)塩・少々をくわえ、粗挽きコショウ・少々をかけて、火を止める。
これは、抜群にウマイのだ。
「スパムにぎり」があることからも分かる通りスパムはご飯にも合うから、しょうゆを入れなくてもバッチリご飯のおかずになる。
そしてもちろん、この洋風ゴーヤチャンプルーは、酒にも完璧に合うのは言うまでもないことだ。
それなのに「朝だから」というだけの理由で今朝も酒を飲まなかった僕は、そろそろ酒の神様に勘当されるのではないかと怖れている。
「されないよ」
そうだよな。