「マーボーにあさりを入れよう……」
これは先おととい、マーボー・トマ玉を作る時点で思い付いていた。思い付いた瞬間に、マーボーとあさりが最高の相性であることが確信できた。
だいたいあさりは、キムチチゲに入れるのだ。マーボーとキムチチゲは、どちらも豚肉を使ったピリ辛の汁物で、系統としてはおなじもの。あさりがキムチチゲに合うのなら、マーボーに合わない道理はないのである。
それで実際に作ってみたこの「マーボーあさり豆腐」、だいたい250回くらいは死ぬほどウマかった。
味をひとことで表現すれば、「キムチチゲ」。キムチは入っていないのだが、あさりのだしで、完全にチゲっぽい味になる。
キムチも買えば、それなりの値段がする。ところがこのマーボーあさり豆腐は、キムチを入れずしてキムチチゲの味になるわけだから、「お得である」と言ってもいい。
あさりの相手は、まず豆腐。これはマーボーにもキムチチゲにも使われるわけだから、言うまでもなく欠かせない。
それにあとは、ニラを加えた。あさりなどの貝類は、青ねぎやあさつきなどと酢味噌であえる「ぬた」が合うことから分かる通り、ネギやニラなどとの相性が抜群だ。
それから、最後に少し酢を入れる。マーボー自体、酢を入れて「甘辛酸っぱい」味にするとウマイのだが、あさりの場合、上の酢味噌で分かる通り、特に酸味はよく合うのだ。
作り方は、普通にマーボーを作る要領で豆腐を煮込み、一番最後のトロミをつける直前に、あさりを入れる。
あさりは火を通し過ぎると縮むから、入れてからはモタモタせずに、一気に仕上げてしまうことがポイントだ。
それからいつも加えるカツオ節は、ここでは入れなくていい。あさりのだしがあるからだ。
- あさり 1パック (200~300グラム)
は、
- 水 2分の1カップ
- 塩 小さじ2分の1
くらいの塩水に30分~1時間くらい浸しておいて、砂抜きする。
そのあと水を4~5回替えながら、両手でガシガシあさりの殻をこすり合わせてよく洗う。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- 豚ひき肉 150グラム
を入れて中火にかけ、スプーンなどで押しつぶしながら5分ほど、水気が完全に飛んで少し焼色がつくくらいまで、じっくり炒める。
- サラダ油 大さじ1
- ニンニク 1~2かけ (みじん切り)
- 豆板醤 大さじ1.5
を加え、弱火で2~3分、じっくり炒めて味をひき出す。
- 酒 大さじ1.5
- みりん 大さじ1.5
- しょうゆ 大さじ1.5
- コショウ 1~2振り
を加え、1~2分弱火で炒めて肉に味を含ませる。
- 水 1.5カップ
- 豆腐 1丁 (2センチ大くらいに切る)
を入れて、火を強めて煮立ったら弱火にし、フタをして10分くらいコトコト煮込む。
洗ったあさりを加え、フタをしてあさりの殻が開くのを待つ
殻が開いたら、
- 長ねぎ 5センチくらい (みじん切り)
を入れて、味をみて塩加減し、
- 片栗粉 大さじ2
- 水 大さじ2
の水溶き片栗粉を混ぜながら少しずつ加えてトロミをつけ、
- ゴマ油 小さじ1
- 酢 小さじ2
を垂らして火を止める。
粗挽きコショウをたっぷりかける。
これは、たまらん……。
あさりのだしで、深いコクがある。
おなじマーボーでも、入れる具によって味が大きく変わるのが、おもしろい。
そしてこのマーボーあさり豆腐、言うまでもないけれど、鬼のように酒に合う。
僕はどんな料理を作っても、酒に合ってしまうのだから、飲み過ぎないことは不可能だ。
「あきらめるのは良くないよ。」
そうだよな。