おれは、
「料理は新しいメニューにチャレンジするのが楽しみ」
と思うタイプ。
「これはイケるはずだ」と思ったものを実際に作ってみて、それが成功したときの喜びは、何物にも替えがたい。
といってもやったことがないものを作るのは、失敗のリスクがある。そこでそれが本当にうまいかどうか、事前にできる限り点検はする。
きのうはサンマを買ってあった。
サンマの食べ方は色々あるが、「なめろう」が、最もおいしい物の一つであるのはまちがいない。
このなめろうに、キムチを入れたらうまいのではないかと思ったのだ。
まずサンマは、キムチと合う。サンマをキムチと煮込んだり、汁にしたりしたらうまいのは、経験済みだ。
なめろうの味つけであるみそ、特に八丁みそが、キムチと合うのも分かっている。ねぎや青じそもキムチと合うし、ここに卵を落としてゴマでも振れば、味つけとしては完璧だろう。
ただ、生のサンマが、キムチと合うかどうかは自信がなかった。
しかし似たような料理として、カツオのたたきをキムチで食べたことがあり、それは実にうまかった。
ここまで点検して「イケる」となれば、あとは実際にやってみるだけである。
まずはサンマを三枚におろす。
三枚におろしたサンマに、
- 八丁・赤出しみそ 大さじ1くらい
- 青ねぎ 1つまみ
- キムチ 1つまみ
- おろしショウガ 1センチ大
- コチュジャン 小さじ2分の1(省略も可)
を加え、包丁でよく混ぜながら、「ザク、ザク」と切っていく。
身をどの程度細かくするかは、好み次第。ただキムチもあるからあまり叩いてしまわずに、1センチ大くらいのコロっとした身が残るくらいにした方が、食べ応えがいいと思う。
適当な形にまとめて青じそを敷いたご飯に乗せ、まん中をへこませて卵の黄身を落として、ひねり潰したゴマを振る。
これは、マジで、うまい。
ひとことで言えば、「ユッケのサンマ版」といった趣きだ。
まず生のサンマとキムチは、完璧に合う。
またコッテリとしたピリ辛のみそ味が、卵の黄身と最高の相性で、酒もご飯も進むことこの上ない。
これはここ数年、おれが作ったものの中でも、1~2を争う出来だと思う。
あとは、うす味の豚汁。
鍋に、
- 水 2+2分の1カップ
- 頭とワタを取りのぞいた煮干し 1つまみ
- 1センチ厚さくらいの短冊に切ったジャガイモ 1個
- くし切りにした玉ねぎ 2分の1個
- 短冊に切った油あげ 2分の1枚
を入れて中火にかけ、煮立ったら弱火にし、10分弱、ジャガイモが柔らかくなるまで煮る。
食べやすい大きさに切った豚こま肉・100グラムを入れ、まだ肉の色が変わらないうちに、すかさず、
- 酒 大さじ2
- 淡口醤油 大さじ1
を肉の上からかけて、肉の下味を兼ねて味つけする。
肉の色が変わったら火を止めて、みそ・大さじ1くらいを味を見ながら入れる。
それに、農家のおばさんの古漬け。
酒は、常温。
またしても、うまいものを作ってしまった。
やっぱりおれは、料理の天才なのである。
「一人で喜んでいれば世話ないね。」
ほんとにな。