月1回の執筆料が入金された。となると俄然、昼から飲みたくなるのである。
もちろん酒は、毎日昼も飲んでいる。しかし普段はその後も仕事をしなくてはならないから、せいぜい1~2杯しか飲めず、欲求不満がたまるのだ。
金が乏しくなってくれば、やはり仕事を優先せざるを得ないから、昼酒を満喫するには金のあるうち……。
それは今だ!
というわけで、きのうは大阪・生野コリアタウンへ行ってきた。
生野コリアタウンは、昼酒を満喫するには持ってこい場所なのだ。
大阪・生野は、以前は「猪飼野(いかいの)」と呼ばれ、古くからコリアンが住む場所だ。何しろ奈良時代よりはるか前、古事記・日本書紀の神話の時代から、朝鮮から渡ってきた渡来人は、多くがここに住み着いてきたそうだ。
元々は、百済からの渡来人が多かったため「百済郡」と名付けられ、現在の平野川も、元は「百済川」と呼ばれていた。その後、渡来人たちが豚を飼うすぐれた技術を持っていたことから、「猪飼野」と呼ばれるようになり、1973年に住居表示が実施されるまで、それはつづいた。
1910年に日韓併合が実施されると、今度は日本人として、この猪飼野に、朝鮮から人が渡ってきた。1923年に済州島から大阪へ直行の船便が就航したため、その数はかなり多かったらしい。
そのような歴史を経て、現在では生野は日本最大のコリアン集住地となっている。日韓併合直後に来た人の場合だと、現在では4代、5代となるそうだ。
人が集まるようになれば、市場ができる。それが生野コリアタウンで、ここは日本における在日コリアン文化の中心ともいえるところだ。
この生野コリアタウンへは、以前「コリアタウン祭」のときに一度来た。それでここが、酒を飲むのにゴキゲンな場所だと分かったので、今回また来ることにしたのである。
生野コリアタウンへ行くには、JRまたは近鉄の鶴橋で降りる。
鶴橋駅の周りから、市場はすでに広がっている。
生野コリアタウンは、鶴橋駅から見ると東南の方向だ。入り組んだ市場の中を、とりあえず東南へ進んでいくと、アーケードが切れるあたりに南北に通る大通りに出る。大通りを少し南へ行くと、コリアタウンの入り口が見えてくる。
コリアタウンの中は、コリア調の装飾がほどこされた門や街灯が設置され、異国情緒は満点だ。
韓流ブームの影響で、若い観光客の姿も目立つ。
お店は韓国の雑貨や食品を売る店など多数。
食品店は中で座って食べられるイートインのところも多く、ここで買った食べ物をつまみながら、酒を飲むわけである。
まず目指すのは、コリアタウンのちょうど真ん中、中央門の下にある「豚まん王子」。
ここは僕の知り合いがやっていて、豚まんが超ウマイのだ。
豚まん王子のちょうど向かいにゲストハウスがあり、1階がオープンテラスになっていて、ビールを注文できるようになっている。
コリアタウンで買った食品は何でも持ち込み可能だから、ここで豚まんをつまみながらビールを飲むのは、最高に気分がいい。
その豚まん、1個200円。
豚まん王子の豚まんは、僕がこれまで食べた豚まんの中で、1番ウマイ。
皮はふっくらとしていながら、中の餡は超ジューシー。濃厚なコクがあり、豚まん王子はスープや香味油など、日々改良を重ねているそうだ。
豚まん王子の営業は、毎週土曜日、11時~3時ごろまで。たまに休みのこともあるから、王子のツイッターで確認するのがおすすめだ。
豚まんを食べ終わり、さらにお店を物色する。
豚まん王子のさらに東、百済門の近くにある「豊年キムチ」に入ることにした。
店頭では、キムチやチヂミ、ヤンニョムチキンなどを売っている。
ここは前に、コリアタウン祭のときに一度来た。まずお店のロケーションが非常にいいのだ。
イートインのお店というと、普通は食べる場所は奥にある。するとどうしても、奥まった感じがするところ、この店は角にあって、2方向に開いている。
なので開放感があり、道行く人を眺めながらビールを飲むと、最高に気分がいい。
次に、これは今回はじめて知ったことなのだが、1,000円のバイキングになっていて、キムチやナムル、キムパ、チヂミなど各種……、
みそ汁やテールスープにご飯……、
などはすべておかわり自由、さらに肉の焼いたのもついたのが、1,000円ポッキリなのである。これには目を丸くした。
早速皿をもらい、キムチやナムル、キムパ、チヂミ……、
水キムチ……、
テールスープ……、
などを取り、骨付き肉の味つけ焼きをだしてもらった。
どれも非常においしくて、酒のツマミに異常になり、ビールが進むこと、進むこと……。
ここには結局、たまたま出くわした友達と合流し、2時間以上も長居してダラダラとビールを飲んだ。
しかしこの豊年キムチ、1,000円でこれだけのものが食べられるというのは、あまりに安すぎると思う。しかもお酒を注文していれば、一応はバイキング終了は15時半になっていはいるものの、知らずにそれ以上いても嫌な顔をされることは一切なかった。
昼酒をするには超絶におすすめであるのはもちろん、酒が飲めなくてもご飯もあるから、コリアタウンに来たときには、絶対に寄ったらいいと思う。
お店をでて、フラフラと豚まん王子のところへ戻ると、もう終了間際で、プリンが2つだけ残っているとのことだった。豚まん王子は、豚まんだけでなく、プリンも作るのだ。
そこでデザートに食べてみると、これが絶品。
濃厚だけれどクドくなく、カラメルソースも甘すぎず、飲んだあとには打って付けのやつだった。
生野コリアタウンでの昼酒、本当に満喫した。
まさに「酒飲みのパラダイス」といえる場所で、また金が入ったら、ぜひ来たいと思っている。