だしを自分でとると男は料理に開眼する!?

男が料理を始める場合、試してみたらいいと思うのは「だしを自分でとること」です。だしは、料理の中心であるために、だしを自分でとることにより料理を体系的に理解するのが容易になり、料理がおもしろくなるからです。筆者 高野の友人や知人でも、「料理にハマるきっかけはだしを自分でとったこと」と言う男性は何人もいます。

今回は、男が料理を始めるにあたってだしを自分でとるのがいい理由、およびかつおだしのとり方・使い方、およびかつおだしを使った料理を紹介します。

だしを自分でとると男は料理に開眼するの?

だしを自分でとることにより男が料理に開眼することについて、筆者 高野は「まちがいない」と思っています。

その理由は、まず高野自身が料理に開眼したきっかけが、自分でだしをとったことたからです。また、高野の友人や知人で料理がうまい男性に「料理にハマったきっかけは何だった?」と尋ねると、「だしを自分でとったこと」との答だったことも何度もあります。さらに、料理を始めようとしていた友人の男性に「だしを自分でとってみなよ」と勧めたところ、それがきっかけとなってその友人は見事に料理にハマりました。

ただし、ツイッターで最近次のような投稿を見ました。

これも1つの見識であり、今回紹介している高野の考えはあくまで1つの意見として参考にしてもらえたらと思います。

また、女性については、男性と同様にだしをとると料理に開眼するかどうかわかりません。女性は、社会で置かれた境遇が男性とは異なるため、料理についての考え方も男性とは異なる場合が多いと思うからです。

だしを自分でとると男が料理に開眼する理由

だしを自分でとることにより男が料理に開眼するのは、

1. だしは料理の中心だから料理が理解しやすくなる
2. 料理を自分で構想したときの失敗を減らせる

の2つの理由があると筆者 高野は思っています。

1. だしは料理の中心だから料理が理解しやすくなる

だしは料理の中心です。というよりもむしろ、「料理とはだしをとることだ」と言ってもいいほどです。

料理の歴史を想像してみると、まず最初は、生食および焼くこと、発酵させることのみが料理の方法だった時代が長く続いたことでしょう。ところがそのうち、「鍋」が発明されることにより「煮る」ことができるようになったと考えられます。鍋の発明は、日本なら縄文土器が作られるようになった1万5,000年くらい前だったでしょうし、他の地域も似たようなものなのではないでしょうか。

鍋にさまざまな材料を入れて煮込んだものが「料理」だった時代は、それからしばらく続きました。その後、1,000年くらい前、鉄の鍋と油によって炒めたり揚げたりができるようになり、料理のバラエティはさらに広がることになりますが、鍋で煮込むだけの料理は、日本の鍋料理をはじめとして世界中に現在でも残っています。

鍋に入れたさまざまな具材からから溶け出すうまみは、煮ることをそれまで知らなかった人類にとって大きな衝撃だったでしょう。この、「具材のうまみが煮ることによって水に溶け出すこと」が、「だしをとる」ことの意味そのものです。だしは、現在では単体で取出されて扱われることもありますが、もともとは料理と不可分の存在です。

このような、だしの料理における位置づけが、だしの素を使ってしまうと理解しにくくなります。だしを「料理とは別の、外から加えるもの」と、どうしても思ってしまいがちだからです。だしが理解できないことは「料理が理解できないこと」とイコールだといってもいいでしょう。

特に男性の場合には、自分を振り返ってみても、「理解できないことには興味が持てない」ことが多いのではないでしょうか。男性が料理を長く続けるためには、料理を少しずつでも理解して、興味を持ち、おもしろいと思うことが不可欠だと筆者 高野は思います。このことが、男はだしを自分でとった方がいいと高野が思う第一の理由です。

2. 料理を自分で構想したときの失敗を減らせる

料理を自分で構想したときの失敗を減らせることも、だしを自分でとることにより男が料理に開眼する理由だと高野は考えます。

料理の最大の楽しみは、レシピを見てその通り作るのではなく、何をどのように作るかを自分の頭で構想し、その通りに作ることだと思います。自分の頭で構想する料理はまさしく「創造行為」であるわけで、創造行為に大きな喜びがともなうことはいうまでもないことでしょう。

ただし、料理を自分の頭で構想する場合には「失敗」のリスクがあります。だしを自分でとることにより、大きく失敗するリスクを減らすことができます。その理由は、

・本筋を外さずに料理が構想できるようになるから
・多少の失敗があってもとりあえずだしがおいしいから

の2つです。

本筋を外さずに料理が構想できやすくなるから

だしを自分でとることにより、料理の本筋を外さずに料理を構想することが容易になります。本筋を外さずに構想した料理は、それほど大きな失敗もしにくくなるといっていいでしょう。

だしを自分でとると本筋を外さずに料理を構想するのが容易になるのは、だしをとることが料理の基本を理解することにつながるからです。料理の基本的な理解をふまえて構想したものは、突飛なものになる可能性も少なくなるといえるのではないでしょうか。

多少の失敗があってもとりあえずだしがおいしいから

それから、多少の失敗があったとしても、だしを自分でとっていればとりあえずおいしく食べられることが多いです。それは、だしの素などの化学調味料を使った場合と比較して、だし自体がおいしいからです。極端にいえば、自分でとっただしならば、醤油をちょこっと入れただけのものが「おお~」と唸るほどおいしいと思います。

以上のように、だしは料理の中心だから料理が理解しやすくなること、および料理を自分で構想したときの失敗を減らせることの2つの理由で、だしを自分でとることにより男は料理に開眼し、ハマりやすくなると筆者 高野は思います。だしを自分でとってみることは、男性が料理を始める際には絶対におすすめです。

だしを自分でとるためには、もっとも簡単なかつおだしでも10分程度の時間がかかります。料理を「労働」と捉えるならば、余計な時間が10分かかるのは損失です。しかし、だしを自分でとることによって料理が面白くなり、料理を「趣味」ととらえられるようになれば、余分に時間がかかっても「楽しい時間が増えた」だけのことになります。男性、特に一人暮らしの男性が料理を継続するためには、「料理をいかに趣味にできるか」が大切ではないかと筆者 高野は思っています。

かつおだしのとり方

それでは、もっとも簡単にだしをとることができる「かつおだし」のとり方を紹介したいと思います。ここで紹介する方法でとったかつおだしは、よほど繊細な吸物は別として、うどんやみそ汁、煮物などに使うためにはパーフェクトにおいしいです。

1. だし用のかつお節を購入する

かつお節は、料理に振りかけて使うための「花かつお」と、だしに使うためのやや厚めに削ったものとの2種類があります。スーパーで、まあどちらでもよいですので、かつお節を購入します。削ったかつお節は挽いたコーヒー豆とおなじで、袋を開封すると急速に劣化して風味が飛びます。ですので、できるだけ少量を購入し、密封して冷蔵庫で保存します。

2. お湯を沸かしてかつお節を煮出す

400ccのだしをとるなら450ccの水を火にかける

一人分のうどんなどとして適量な400ccのだしをとる場合には、450ccの水を鍋に入れて火にかけます。50ccは、蒸発したりかつお節にしみ込んだりしますので、それでちょうどよくなります。(上の写真は、3回分のだしをとるために水は多めになっています)。

かつお節の分量は水100ccに対して3グラム

お湯が沸いたら一度火を止め(火をつけたまま入れるとかつお節が飛び散ることがあるため)、だし殻を取出しやすいように鍋に据えたザルの中にかつお節を入れます。かつお節の量は「水100ccに対して3グラム」が標準で、400ccなら12グラムです。12グラムのかつお節の分量は、購入したかつお節が70グラム入りならば「その6分の1ていど」、小分けの小さなパックで売っている花かつおは2グラム入りのものが多いですから、「その6袋分ていど」などと、目分量で判断します。(上の写真は、水の分量が多いのでかつお節の分量も多いです)。

煮出す時間は2~10分

かつお節をザルに入れたら再び火をつけ、煮立ってきたら弱火にし、出てきたあくをスプーンなどでていねいにすくいながら煮出します。煮出す時間は、薄く削った花かつおなら2~3分、厚めに削っただし用のかつお節なら8~10分で、だいたいはかつお節の袋に所定の煮出し時間が書いてあります。

3. だし殻をしずくを切ってとり出す

煮出し時間が経過したら、鍋からザルを取外して絞らずにしずくを切ります。だし殻のかつお節は、酢醤油に一味とかわさび醤油とかでそこそこおいしく食べられますが、かつお節を買うのはだし殻を食べるためではありませんので別に捨ててもかまいません。

かつおだしは、冷蔵庫に入れておけば2~3日は持ちます。1回で、2~3日で使い切れるくらいのだしをとれば手間が省けます。

かつおだしの使い方

かつおだしを料理に使う際には、酒とみりん、醤油またはみそで味をつけるのが基本です。

調味料の選び方

酒は「料理酒」、みりんは「みりん風調味料」がミツカンなどから販売されています。しかし、これらは、酒税がかからないため価格は安いものの、料理酒には塩分が含まれているために味の見立てが狂いますし、みりん風調味料もアルコールに水飴などで甘みを加えたもので本来のみりんとは異なります。せっかくきちんとだしを取ったのですから、調味料もそれなりにきちんとしたものを使いましょう。

酒は、スーパーのお酒売り場で安めの日本酒を買うのがいちばん安いと思います。いくつかのメーカーから、コクを強めて料理に使いやすくした『料理用清酒』が販売されていますので、価格はやや高めながらそれでもいいのはもちろんです。

みりんは『本みりん』を使います。本みりんは、さまざまなメーカーが販売しています。

醤油やみそはふつうのでいいです。中の上くらいのものを買えば全く問題ありません。ただし、みそは「だし入り」のものもあります。だしを自分でとる際には、だしの入っていないものを購入しましょう。

調味料の分量

だしを使った醤油味の料理には、大きく分けて「吸物」と「煮物」があります。

・吸物 …具材といっしょに汁を飲むもの
・煮物 …汁は、具材に味をつけるだけの役割で飲まないもの

吸物も煮物も味のつけ方はさまざまにありますが、とりあえず、次のように覚えておくといいです。

・吸物 …かつおだし200ccに対し、酒 小さじ1、みりん 小さじ1、醤油 小さじ2分の1、塩 小さじ4分の1
・煮物 …かつおだし200ccに対し、酒 大さじ1、みりん 大さじ1、醤油 大さじ1

みそ汁の場合には、かつおだしにみそだけでもいいですが、醤油味の場合と同様に酒とみりんを少しずつ加えると、コクが出てまたとてもおいしいです。

にんにくを加えると非常にウマイ

かつおだしを使った吸物・煮物もみそ汁も、特に具材として肉を使う場合には、にんにくを入れると非常にウマイです。にんにくは好みがありますが、筆者 高野は必ず入れます。

和食の代表ともいえるかつおだしとは、にんにくは合わないような気がする人も多いでしょう。高野も以前はそうでした。しかし、食べてビックリ。かつおだしとにんにくは非常によく合います。

だいたい、かつおのたたきににんにくを使うことが多いことから、かつおとにんにくの相性のよさは証明されているといえるでしょう。

ただし、にんにくを料理に使う際には鉄則があります。それは、

「にんにくといっしょに一味唐辛子やコショウなどの香辛料を多めに入れること」

です。日本人が一般的にうどんなどに入れる一味の量の、2~3倍を入れると思っていいです。

にんにくは、チューブのものはおいしくないので、生のものを使う必要があります。また、すり下ろすと味が強く出ますが、それだと慣れない人にはキツイかもしれないので、1かけをコロンと丸ごとか、または軽く押しつぶし、風味が出るくらいにしておくことがおすすめです。

かつおだしを使った料理

かつおだしは、さまざまな料理に使えます。とりあえず、思いつく限りのものを作ってみると、料理が楽しくなると思います。ここでは例として、かつおだしを使った料理を3品紹介します。

豚肉の肉吸い

『肉吸い(にくすい)』は、関西の料理で「肉を入れた吸物」です。難波千日前にあるうどん屋『千とせ』で、二日酔いだった吉本新喜劇の俳優 花紀京が「肉うどんのうどん抜き」を注文したことが発祥だといわれています。関西では、「肉」といえば「牛肉」ですので、肉うどんや肉吸いにも牛肉が使われます。しかし、関東出身の筆者 高野は豚肉が好きなので、肉吸いにも豚肉を使います。

具材として、「肉とネギ」は必須として、豆腐やしいたけ、青菜などを入れてもまたうまいです。ご飯を添える場合には卵かけご飯にするのがポイントで、この卵により、ちょうどすき焼きを生卵で食べるのと全くおなじ話で、味が完全に整います。

肉吸いも、上で紹介した通り、にんにくと多めの一味を入れると大変うまいです。にんにくを入れる場合には、にんにくで味が整い、卵はむしろ邪魔になりますので、ご飯はふつうのご飯がいいです。

【作り方】

1. かつおだし400ccを煮立て、

・酒 小さじ2
・みりん 小さじ2
・醤油 小さじ1
・塩 小さじ2分の1(味を見ながら)

で味付する。

2. だしの味が決まったら、

・豆腐 4分の1パック(食べやすい大きさに切る)
・長ねぎ 5センチくらい(斜め切り)
・しいたけ 1個(石づきの下の部分だけ落としてタテ半分に切る)
・小松菜 1株程度(ざく切り)
・豚コマ肉 100グラムくらい(食べやすい大きさに切る)

を入れ、軽く煮立つくらいの弱めの火で豚肉に火が通るまで5分くらい煮る。(火が強いと豚肉が固くなるので注意)。

3. 器によそい、一味をかけて食べる。

お雑煮

お雑煮も、もちろんかつおだしで作れます。

【作り方】

肉吸いとおなじ要領でかつおだしに味をつけ、お餅としいたけ、小松菜、鶏肉を弱めの火で5分くらい煮る。

鍋物

鍋物も、かつおだしで作るとおいしいのはもちろんです。

【作り方】

肉吸いとおなじ要領でかつおだしに味をつけ、好きな具を弱めの火で5分くらい煮る。

まとめ

男が料理を始める際にはだしを自分でとってみるのがおすすめです。「料理はしているけれど別にそれほどおもしろくない」という場合にも、もしだしを自分でとっていなければ、とってみたらいいのではないでしょうか。料理は、人類の歴史数十万年のなかで、すべての人間が関わることによって形作られてきた比類なき超巨大文化です。だしを自分でとることは、その広くて深い文化を紐解くきっかけになってくれると筆者 高野は思います。

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