反和食の基本「やきそば」の作り方とウスターソースの考え方

「反和食」とは、時代遅れになったクソな和食をアップグレードし、現代の食生活に合ったものにしていくことです。反和食を身につけることにより、栄養は十分で、しかも一人暮らしなど少人数の家庭でも作りやすい料理法を身につけることができます。

今回は、反和食の基本「やきそば」の作り方と、ウスターソースの考え方について見ていきましょう。

反和食・味つけの基本は「ウスターソース」にあり

反和食の料理では、鎌倉時代に当時の権力によって実質的に禁止されたため、和食では使われることがない「にんにく」を使うことが前提であることは、こちらの記事で紹介しました。

反和食の簡単レシピ ~鍋物ににんにくを使用する

十分な栄養を備えるため、および料理を手軽に作るために欠かすことができないにんにくは、和食の料理に問題なく加えることができます。

それでは、にんにくを加えた和食である「反和食」は、どのような味つけをすればいいのでしょうか?
そのヒントは、文明開化とともに使われるようになり、今でも根強い人気を保つ「ウスターソース」に見ることができます。

反和食の原点はウスターソース

肉食が禁止されていた江戸時代が終わると、日本人は肉を食べるようになりました。それに伴って使われるようになったのが「ウスターソース」です。

ウスターソースは、イギリスの「リーアンドペイリン社」が開発したもので、イギリスではステーキにかけて食べるものだったようです。日本では爆発的なヒットをし、とんかつやお好み焼き、やきそばをはじめとし、さまざまな料理に使われるようになっています。

ウスターソースが肉食の開始とともに日本で使われるようになったのは、和食調味料の代表である「醤油」が肉には合わないからだと考えられます。
魚は、醤油だけかけて食べても問題なくおいしいのに対し、肉は、醤油をかけるだけでは全くおいしくありません。

そこで、醤油にかわって肉料理に使われるようになったのがウスターソースです。

ウスターソースは、「反和食」を考える場合の「原点」であるといえます。

ウスターソースは醤油が原料

醤油にかわって使われるようになったウスターソースなのですが、衝撃の事実があります。

それは、「ウスターソースには原材料として醤油が使われていた」ということです。

このあたりの事情については、近代食文化研究会著『お好み焼きの物語』に詳しく書かれています

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この本は、日本の近代における洋食やお好み焼き、ウスターソースなどの起源について、文献をもとにして実証的に詳しく書かれていて、とても面白いです。日本の食文化の歴史について興味がある人は、ぜひ読んでみたらいいと思います。

ウスターソースの原材料として醤油が使われていたというと、

「え、だってウスターソースは、イギリスが原産なんでしょ?」

と思う人もいますよね?

そのイギリス原産、リーアンドペイリン社が製造していたウスターソースにも、なんと、最初は中国で生産された醤油、そのうち日本の醤油が、第二次世界大戦により醤油の調達が難しくなる以前までは使われていたことが、上の『お好み焼きの物語』に書かれています。
イギリス人にとって見れば、ウスターソースは、東洋の調味料を使った一風変わった味だったからこそ人気を博したのかもしれません。

醤油が原料であるために製造が容易だったからでしょう、ウスターソースは日本でも盛んに製造されるようになります。さらには、洋食店やお好み焼き店などでは、醤油を使用して自家製のウスターソースを作ってもいたようです。

ウスターソースを作るためのレシピは、日本で初めて近代的料理学校「赤堀料理学校」を開いた赤堀峰吉によれば、次のようなものでした。

「酢一升三合、醤油一升、味醂二合五勺をベースに玉葱などの野菜と唐辛子胡椒などのスパイスを入れて煮たもの」

「醤油とみりん(砂糖)」は、和食の基本調味料です。
そこに、調味料としてみれば「酢とスパイス」を加えたものがウスターソースであることになります。

醤油(とみりん)に酢とスパイスを加えるやり方は、なにもウスターソースに限ったことではありません。
餃子は酢醤油にラー油で食べますし、韓国料理でも、甘辛い味噌ダレ「チョジャン」は、味噌と砂糖に唐辛子と酢(すでに甘みと辛みがあるコチュジャンを使う場合は酢)を合わせたものです。
また、日本の「おろしトンカツ」も、ポン酢(=醤油+柑橘類の甘みのある酢)に大根おろし(=辛み)で食べますので、やはり醤油と甘み、および酸味と辛みであるといえます。

この、

「和食調味料+酢とスパイス」

は、和食をアップグレードし、反和食を考えていく際の基本的な図式だといえます。

醤油とみりんに「酢とスパイス」および「魚介味とにんにく」が反和食の基本

調味料については、反和食の基本的な構成は上でみた通り「醤油とみりんに酢とスパイスを加える」となりますが、料理を全体としてみると、和食から反和食へアップグレードするためにもう少し必要なものがあります。

豚玉(豚肉と卵)のお好み焼きを例に取ると、調味料はウスターソースを使いますが、その他に、小エビやイカ天、かつお節、魚粉などの「魚介系の材料」と、たっぷりの「ネギ」を加えるのが一般的です。

日本人は、ラーメンにも魚介ダシを加えることからもわかる通り、肉のうま味があっても魚介系の味がないと「コクが足りない」と感じることが一般的です。
したがって、日本人がおいしいと思える反和食料理には、魚介ダシを使用していない炒め物などの場合には、魚介系の材料を加えることが必要です。

また、ネギは、にんにくにどうしても抵抗がある日本人が、にんにくの代用品として使うものです。反和食では、気にせずにんにくを使います。

まとめると、料理の構成を全体として考えた場合には、和食から反和食へのアップグレードは、

「醤油とみりん+酢とスパイス+魚介味とにんにく」

が基本的な図式となります。

反和食の実例[1]:醤油味のやきそば

反和食の実例として、「醤油味のやきそば」を見てみましょう。
上でみた構成の通りの調味料を使いますが、調味料の量を変えることにより、ふつうっぽい味とガツンとパンチのある味の両方を作ることができます。

やきそばの具は、ここでは豚肉のほかにはピーマンと玉ねぎを使っていますが、極端にいえば野菜なら何でもいいです。

調味料の量を変えるとガツンとした味も作れる

醤油味のやきそば1人前を作るために使用する調味料は、ふつうの味とガツンとしたパンチのある味のそれぞれで、次の表のようになります。

項 目 ふつうの味 ガツンとした味
醤油 大さじ1 大さじ1
みりん 小さじ1 大さじ1
小さじ1 大さじ1
スパイス ショウガ 1センチ大
コショウ 少々
ショウガ 1センチ大
豆板醤 小さじ1
粗挽きコショウ わりとたっぷり
魚介味 オイスターソース 小さじ1 オイスターソース 小さじ1
にんにく 1かけ 1かけ
大さじ1 大さじ1

ガツンとしたパンチのある味は、ふつうの味と比較して、みりん、酢、およびスパイスが大幅に増量されています。
また、「魚介味」は、ここでは牡蠣のエキスであるオイスターソースを使用しています。

酒は、上の話に全く出てきませんでしたが、うま味の元として常に入れます。

醤油味のやきそば レシピ

1. にんにくなどといっしょに肉を炒める

フライパンに、

  • サラダ油 大さじ1
  • にんにく 1かけ(みじん切り)
  • ショウガ 1センチ大(みじん切り)
  • 豆板醤 小さじ1(ガツンとした味の場合)
  • 豚コマ肉 100グラムくらい(食べやすい大きさに切り、塩・コショウ・酒および醤油それぞれ少々をもみ込んでおく)

を入れて中火をつけ、肉の色が変わるまでじっくり炒める。
つづいて、

  • ピーマン 2分の1個(細く切る)
  • 玉ねぎ 4分の1個(細く切る)

を入れ、1~2分、ピーマンがしんなりとし始めるまでじっくり炒める。

2. 調味料を入れてひと混ぜする

ピーマンがしんなりとし始めたら一度火を止め、

  • 酒 大さじ1
  • 醤油 大さじ1
  • みりん 小さじ1、または大さじ1(味の違いにより)
  • 酢 小さじ1、または大さじ1(同上)
  • オイスターソース 小さじ1

を入れ、再び中火をつけて調味料を煮立て、ひと混ぜして味をなじませる。

3. やきそば麺を入れて炒め上げる
  • やきそば麺 1人前

を入れ、箸でよくほぐしながら2~3分炒める。
コショウ少々、または粗挽きコショウたっぷり(同上)を振って皿に盛る。

反和食の実例[2]:塩味のやきそば

反和食では、上の調味料の構成から醤油を抜き、かわりに塩を加えることにより、「塩味」の料理を作ることもできます。和食では、煮物や汁物などに関しては、醤油を使わなければ味を整えられないため、塩味で作ることはできません。

塩味の場合には、魚介味はオイスターソースではなく、イワシの魚醤であるナンプラーを使うのがおすすめです。ナンプラーは、オイスターソースと比べて色がうすく、味もさっぱりしているからです。

具は、豚肉と長ねぎを使っていますが、上と同様、野菜ならキャベツでも何でもいいです。

やきそば麺をほぐすためには水分が必要です。
醤油を使わないとそのままでは水分が足りないので、レシピでは水と鶏ガラスープの素を加えるようにしてあります。

塩味のやきそばのレシピ

1. にんにくなどと豚肉を炒める

フライパンに、

  • サラダ油 大さじ1
  • にんにく 1かけ(みじん切り)
  • ショウガ 1センチ大(みじん切り)
  • 豚こま肉 100グラムくらい(食べやすい大きさに切り、塩・コショウ・酒および醤油それぞれ少々をもみ込んでおく)

を入れて中火にかけ、豚肉の色が変わるまでじっくり炒める。
つづいて、

  • 長ねぎ 2分の1本(斜め切り)

を入れ、1~2分さっと炒める。

2. 調味料を入れてひと混ぜする

長ねぎがしんなりし始めたところで一度火を止め、

  • 酒 大さじ1
  • みりん 小さじ1
  • 酢 小さじ1
  • ナンプラー 小さじ1
  • 水 大さじ2
  • 鶏ガラスープの素 小さじ1
  • 塩 小さじ4分の1程度

を入れ、ひと混ぜして味をなじませる。

3. やきそば麺を入れて炒め上げる
  • やきそば麺 1人前

を入れ、箸でよくほぐしながら2~3分炒める。
コショウ・少々をかけて皿に盛る。

まとめ

ウスターソースが原点といえる反和食の味つけは、和食の調味料である醤油と味醂に、酢とスパイス、およびにんにくと魚介味を加えたものとなります。「五味」のうち甘み、辛み、酸味、塩気をバランスよく含みますので、4億66回くらい死ねるほどの満足感が得られることが特徴です。

反和食の味つけのコツを覚えてしまえば、さまざまな味の料理を、いちいちレシピを見たり、使いもしない調味料を買ったりしなくても自分で作れるようになります。

ぜひ試してみてくださいNE!

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