郡司ペギオ-幸夫『群れは意識をもつ』は死ぬかと思うほどおもしろいのである(2)

2014/06/21

 
郡司氏とはじめてお会いしたのは、かれこれ15年ほど前のことだ。

群れは意識をもつ

2年ほど前に久しぶりにお会いした時、郡司氏が「決定的」とも思える突破をしたことを知ったのである。

 

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郡司ペギオ-幸夫氏はぼくより3つ年上だから今年55歳、研究室があった神戸大学へお伺いしたときは、夏だったからうす緑色のアロハを着て、オレンジのパンツを履いていた。

前著『生命壱号』についての質問をあらかじめメールで知らせてあったのだが、案内されたゼミ室で改めてそれを伝えると、郡司氏はあいさつもそこそこに、静かに本題を話しはじめた。

深い思索のあとを感じさせるその話を全ては理解できなかったけれど、郡司氏は意に介さない。そもそも人が、自分の話を理解しているかどうかなど、郡司氏にとっては関心がないかのようである。

 

郡司氏と初めてお会いしたのはかれこれもう15年ほど前のこと、『DNAの冒険』が完成し、それをお送りして「話がしたい」と申し出たのである。

『DNAの冒険』で、「生命」を見る視点について「たしかなものを掴んだ」とは思っていた。生命現象は人間にたいして「意識」や「理性」をあたえたまさにその張本人であり、人間ならだれでも「内的な体験」として知ることができるそれら意識や理性などの働きを通し、「生命とはなにか」に迫ることができるのではないか・・・。

でもそれは、自分たちの手に余るようにも感じていた。「生命」は、まだだれもちゃんと捉えきっていないものだ。一線の研究者たちがそれを見つけようと、まさにしのぎを削っている。

研究者でもない素人の自分たちがそこで何かできることがあるのかを知るために、関連しそうな研究をしている人たちに片っ端からアポをとり、話を聞きに出かけていた。

 

研究者の反応はさまざまで、全く話が通じない人もいたし、「そんなことは素人が手を出す領域ではなく、研究者がきちんと研究すべきものだ」とニベもなく言われたこともある。ある進化生物学者からは「そのような考え方は科学からはみ出すもので危険だ」とも言われた。

でも郡司氏はちがった。穏やかに、うなずきながら話を聞いてくれ、質問をしたり自分の考えを話したりもしてくれる。

郡司氏が話すことはその時もちゃんとは理解できなかったが、話を通して、氏が向かおうとしている方向は、自分たちとおなじであるようにも感じられた。

少なくとも、「このまま前に進んで悪いことはなさそうだ」とは思えたのである。

 

そのうち、「生命」や「意識」を捉えるのに、これまでの科学とは異なる、新しいやり方をしようとする一群の人たちがいることもわかってきた。「複雑系」の研究者たちだ。

これまでの科学では、たとえば「脳」なら脳を研究するのに、まず脳細胞の一つ一つを分析していく。そして十分たくさんの、さまざまな脳細胞の性質が明らかになれば、脳という「全体」も、結果として明らかになるという考えだ。

この考え方が強力であるのはまちがいなく、ここ300年ほどのあいだで、それによってたくさんのことが分かってきている。自動車にしてもコンピュータにしても、現代人にとってなくてはならない多くのものは、科学が元となって生み出されている。

 

でも「脳」などの場合には、「それだけで本当に理解できるのか」と思いたくなるところがある。

人間の脳は、全体として「意識」をもっている。でも意識が「一つ一つの脳細胞にもある」とまでは考えられないだろう。

一つ一つの構成要素にはなかったものが、それらが集まったときには出現するわけである。そうであれば、ただ一つ一つの構成要素をしらべるだけでは、「全体」を理解することはできないのではないか・・・。

複雑系の研究者たちはそのような問いを立て、それをコンピュータでのシミュレーションを利用することで明らかにしようとしている。コンピュータが登場する以前には計算ができなかった「非線形」の方程式が、構成要素と全体との関係について、興味深いふるまいをすることが分かってきたのだ。

 

そのような風景が見えてきたくらいのところで、ぼくは前職で、この「生命とはなにか」を追いかけることは断念しないといけなくなった。職場の配置転換があったからだ。

それからしばらく、会うことはなかった郡司氏とふたたび会ったのは、前職を辞めてからのことだ。

 

郡司氏の話を聞き、著書を読んで、その間、郡司氏が「決定的」とも思える突破をしたことを知った。

「構成要素と全体」にかんするこれまでとは全く異なる考え方を、最新の技術によって得られた観測事実にもとづきながら、論じはじめていたのである。

 

「郡司さんは紳士だよね。」

群れは意識をもつ

ほんとにそうなんだよな。

 

 

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