郡司ペギオ-幸夫『群れは意識をもつ』は死ぬかと思うほどおもしろいのである。

2014/06/15

 
郡司ペギオ-幸夫『群れは意識をもつ~個の自由と集団の秩序』を読んだ。

群れは意識をもつ

この本は、「死ぬか」と思うほどおもしろいのである。

 

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ぼくはひとことで言うと「科学ファン」で、前職で数学、物理、生物学の本を学生たちといっしょに自費出版したりもしている。
 

きっかけはその団体のカレッジに、大学の建築学科に通いながらダブルスクールしたことで、そこで科学のおもしろさにめざめたのである。

それまでは、数学や物理などというと「無味乾燥」としか感じていなかったのだけれど、実はそれらも人間が見つけたもので、発見の背後には様々なドラマがあることを知った。

また入り方さえ間違えなければ、数学や物理もそう難しいものでもなく、誰でもが理解できるようになることもわかった。

ちなみに上の3冊のうち『フーリエの冒険』『量子力学の冒険』は、発売以来20年以上がたつ今でも売れ続けているロングセラーで、英訳もされ、日米の多くの学校で教科書としても採用された。

 

『DNAの冒険』は、生命誌研究館館長 中村桂子先生のすすめで取り組みはじめたものだったのだが、やがてすぐ、「生物学はまだ不完全だ」と思うにいたった。

生き物は、無数の「細胞」からできている。人間なら、体には約60兆個の細胞があるそうだ。

細胞の中には、やはり無数の「分子」があり、今や分子生物学は、それら分子の一つ一つの働きを細かく明らかにするところにまで至っている。

もちろん細胞の中の分子は、一つ一つがそれぞれ働くだけでなく、たがいに強く関係していて、その関係についてもずいぶん明らかになってきているようである。

 

でもそれら分子一つ一つの働きがどんなに詳しく分かったとしても、それで「生きている」ことを説明していることになるのかと、ぼくは『DNAの冒険』製作のため分子生物学に取り組みながら、思ったのである。

生き物は、一つ一つの分子が働くだけでなく、「全体」として生きている。その全体について説明せず、ただ一つ一つの分子を追いかけているだけならば、「機械」を説明するのと同じなのではないだろうか。

 

それで『DNAの冒険』では、生物の仕組みを人間の「ことば」と対比しながら、「生きる」とはどういうことかに迫ろうとした。ことばと生き物とは、よくよく見ると多くの共通点があり、ことばも「生命現象」そのものであると思えたからだ。

それは必ずしも成功したとは言えなかったと思うけれども、『DNAの冒険』を出版してから、全くおなじような視点で、「生命とは何か」に取り組む研究者がいることを知った。

それが、「生物記号論」なのだ。

本を読み、実際に研究者にあって話を聞くうちに、分子生物学や脳科学にくらべればはるかにマイナーな分野だけれど、とてつもなくおもしろく、科学が将来、飛躍的な発展を遂げるとしたら、ここがその発火点になるだろうと思えたのである。

 

中でも特におもしろいと思える人が日本にいて、ぼくはこれまで、著書も8割方は読み、何度も話を聞いている。

早稲田大学の「郡司ペギオ-幸夫」教授で、年はぼくの2~3コ上だ。

ポストモダンの哲学を背景としているため、言うことが「とにかく難しい」のが特徴なのだが、わからないながらも、強烈に「おもしろい」と思える。

素人であるぼくが、進行中の研究を正当に評価できようはずもないが、「これは正しい方向に向かっている」と直感的に思うのだ。

 

その郡司教授が、ちょうど1年ほど前出版した著書を、少し時間差があったがぼくは今回読み終えた。

「群れは意識をもつ~個の自由と集団の秩序」。

これがまた、「死ぬか」と思うほどおもしろかった。

これまでの郡司教授の著書と異なり、まずわかりやすい。哲学の用語がほとんど使われることがなく、また自身の思考や研究の過程も書かれているので、もちろんまったく科学書を読んだことがない人にとっては、やはり難しいと思うけれども、科学にふつうに親しみがある人には十分理解できるものになっている。

さらに主張が、きちんと実験結果によって裏付けがされていくので、それはそれは、言うまでもなく、とても説得力があるのである。

 

郡司教授からちょっと聞いた話では、この本は、一度原稿を書き上げたのだが、編集者から「わかりにくい」と言われたため、ずいぶんと書き直しをしたそうだ。

そういう編集者との二人三脚で、このような傑作が生まれたのだろう。

 

ぼくは全ての人が、この本を買い、読んでみたらいいと思う。内容がすべては分からなかったとしても、科学の最先端の、もっともおもしろい部分に触れられる。

と言っても、きっと誰も買わないだろう。

 

なのでぼくがこれから、このブログにおいて、この本の「何がおもしろいのか」について、何回かに分けて書いていくことにした。

しかしまあそれは、必ずしも「人のため」というだけでもなく、自分自身が、この本をより深く、理解したいからである。

 

 

「あまり小難しくならないようにしてよ。」

群れは意識をもつ

気をつけるよ。

 

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