「関西流社交術」の極意を見たのである。

2013/12/21

 
昨日は「スピナーズ」と「てら」、そして「餃子の王将」で外飲みをした。

立ち飲みてら

そこで若い男性のお客さんが女性と話すやり方を見て、ぼくは「関西流社交術の極意を見た」と思ったのである。


 
仕事が思うように進んでいない上、今度の日曜には忘年会があり、土曜日と2日連続で飲むことになるだろうからと、今週の平日は外に飲みには出かけずに、「仕事に励もう」と考えていたのだけれど、そうは問屋が卸さないのだ。

さすがに4日連続で家で飲むと煮詰まってしまい、外に出たくて仕方がなくなってしまった。

ぼくはこういう時、あまり抵抗しないことにしているのである。

体が「どうしてもこうしたい」と言った場合、理性があれこれ難癖をつけたとしても、体の言うことを聞くことで、最終的には悪いことにはならないと思っているからだ。

 

そこでぼくはダウンを着こみ、寒い中、いつも行くバー「スピナーズ」への道をトボトボと歩いた。

酒場へ向かう道中では、「行ったら誰がいるだろう」「今日は何が起こるだろう」とあれこれ思いを巡らし、多少の緊張を感じるのが楽しいところでもある。

 

スピナーズの店内へ入ると、松下奈緒に似ている女性の脇の席が空いていたから、ぼくはそこに座ることにした。

スピナーズ 生ビール

生ビールを注文し、今日も料理があったから、さらに「スピナーズポテトサラダ」と「ローストビーフ」を頼んだ。

 

スピナーズポテトサラダは、サイコロ状のジャガイモがゴロゴロと入っていて、その歯ごたえを楽しむようになっている。

スピナーズ 料理

普通のポテトサラダとは違うから、あえて「スピナーズ」と銘打ったもののようである。

ローストビーフはフライパンを使って作るそうだが、これが外はこんがり、中はジューシーで、実にうまく焼けている。

スピナーズ 料理

かけられているソースは、しょうゆなど和風調味料を使うようだが、これもまたよく肉に合っている。

 

横にいた松下奈緒とは、「料理」の話をした。

産地直送の大根を大量に買ったのが、煮物だのおでんだのを作っても使い切れなかったので、あえてちょっと洋風に、スペアリブと一緒にトマトソースで煮たのだそうだ。

トマトソースは煮込むと独特のエグみが出てきて、これがニンニクやローリエ、ハーブなどを使えばきれいに取れるが、和風調味料だけだとうまく味が決まらないのはぼくも経験がある。

ぼくの結論は、「和風料理にはトマトは煮込まず、フレッシュトマトをさっと煮るくらいにする」ことだった。

ところが煮込んだトマトは「ハチミツ」を入れると、そのエグみがきれいに取れ、まろやかな味になるとのこと。

それを聞いて、「ぼくも今度やってみよう」と思った。

 

スピナーズでは生ビールを2杯飲み、話も一段落したから、店を出ることにした。

大宮通を南へ下り、途中の店に後ろ髪を引かれながらも、錦小路を東へ曲がり、立ち飲み「てら」へまっすぐ向かった。

 

てらでは常連さんの女性客3人が並んで立っているところの、隣の場所が空いていたから、ぼくはそこに入れてもらうことにした。

立ち飲みてら

3人のうち2人とは、ぼくはそこそこなじみも出来て、「乾杯」もしてもらえるようになっている。

頼んだ料理は、豚天・・・、

立ち飲みてら 料理

 

鶏天おろしポン酢・・・、

立ち飲みてら 料理

 

それにスパサラ。

立ち飲みてら 料理

いつも同じものばかりを頼むのだが、これらはどれも大変うまく、定期的に食べないと気が済まないから仕方がないのだ。

 

てらではぼくは、常連のお客さんが話すのを「聞く」ことが楽しみだ。

関西流の「社交術」を垣間見ることができる気がして、とても興味深いのだ。

 

どの飲み屋にも、「コアな常連さん」がいて、話の輪を作っているものだと思うけれど、このコアな常連さんは、おもに「いつも一人で来る人」なのだと思う。

誰かと一緒に来る人は、もっぱらその一緒に来た人と話すことになるわけだが、一人で来るお客さんは、話し相手が切実に必要だ。

そこでお店で、一人で来ているお客さん同士が知り合って、「常連さんの輪」ができることになるのだろう。

ところでこの常連さんは、お店では親しくしているけれど、基本的に「他人」である。

仕事なども別だから、共通の話題も少ないし、また他人のプライバシーにあまり深入りし、その人のことを根掘り葉掘り聞くことも礼儀に反する。

そこでそういう他人同士が、親しく話ができるような「作法」が必要であることになる。

 

他人同士を取りむすぶ作法として、まずは「礼儀」や「マナー」がある。

これらはもちろん、他人同士が守らないといけないことだが、目的があくまで「他人に迷惑をかけない」「不快な思いをさせない」ことだから、それだけでは他人同士が「親しくなる」には不足である。

そこで礼儀を一歩踏み越えた、新たな作法が必要になるのであり、それが「社交」なのだろう。

目的は、「相手を喜ばせること」になると思うが、関西ではこの社交の技術が大変発達しているとぼくは思う。

 

相手を喜ばせるために、まず王道なのは、「褒めること」だ。

褒められて喜ばない人は、少ないだろう。

それから人は、「自分が話すと嬉しい」から、「話題の提供」もポイントになる。

これらのことは、どこの土地でもされることだと思うけれど、さらに関西では「その先」があると思う。

それが「お笑い」で、みんなが大爆笑して喜べるよう、話を持っていけることは、関西では「能力」として評価が高いのではないだろうか。

実際、関西の小学校や中学校などでは、「おもろい男子」がクラスで女子からモテるのだそうだ。

 

大宮でも、どこのバーや居酒屋でも、カウンターではそういう「おもろい話」になり、ぼくなどはとても「腕」がなく、そこに加わることはできないけれど、話を聞いて爆笑している。

とりあえず、おかしいときに笑っていれば、相手からは、「こちらが好意を持っている」と受け取ってもらえることになる。

 

「てら」でももちろん、常連さんの間でおもろい話が連発されるのだが、ここは「強烈」なことが特徴で、おもに「下ネタ」に流れる。

昨日も、例えば誰かがふつうの話で、「立つ」という単語を使うとなると、そこから一気に下ネタに持っていかれ、それがさらにひねられ、ひねられしながら、一同は腹を抱えて大笑いすることになる。

それはさながら、バレーボールの空中戦や、ジャズの即興演奏を見るかのようで、ぼくなどは感心のあまり、目を見張るばかりである。

しかし昨日は、後から来た男性のお客さんが女性のお客さんにアプローチする様子を見て、さらに目を見張ることになったのだ。

 

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さて男性のお客さんが女性のお客さんに対し、「自分を印象づけよう」とアプローチする場合なのだが、一般的な場合とくらべて「ひねり」が必要になってくる。

男性が女性に対して「褒める」となると、「おきれいですね」というのが一つの決まり文句になる。

ただこれは、あまりうまく機能しない。

ぼくも何度か使ったことがあるが、いつも「よく言われます・・・」と返されて、相手は少しも喜ばなかったから、たぶん「何も面白くない」ということなのだろう。

 

昨日はてらへ来る前にいたスピナーズで、この「おきれいですね」の変形を見た。

最近になって来るようになっているらしいGACKT似の若い男性が、松下奈緒似の女性に対して、帰り際、
「おきれいですね、髪型が・・・」
と言い残して店を出て行ったのだ。

松下奈緒は、
「何よその『髪型が』って、失礼じゃない?」
とちょっと怒っていたのだが、松下奈緒も、ただ「おきれいですね」と言われたら、「よく言われます」と返したはずだ。

だからGACKT似の男性はどうであれ、松下奈緒に、ある「強い印象」を持たせたことはたしかであり、次回に会ったときの話のネタが、仕込まれたことにはなるわけだ。

 

さらに昨日、てらへ来てから、しばらくして嵐の櫻井くんに似た、やはり30歳前ではないかと思うのだが、若い男性が来た。

櫻井くんはぼくの隣に来て、女性常連客3人とぼくと一緒に話をはじめた。

「新顔」というわけでもないようで、常連さんの一人にはなっているようだ。

出身は京都ではなく、九州とのことだったが、あの手この手を繰り出しながら、周りの人を惹きつけていくのである。

 

櫻井くんは、流暢な関西弁を話し、さらに関西流の「おもろい会話術」も完全に身につけている。

かけられているテレビなどを見ながら、話題もうまいこと振ってきて、ほとんど初対面だったぼくなども、うまく話の輪に入れるように気を使ってくれるのだ。

またカバンの中から、あれやこれやのものが出てくる。

まず「出張から帰ってきたから」と言いながら、旅先で買ったお菓子などを、タイミングよく周りの人にふるまっていく。

 

そのうち今度は、櫻井くんはカバンから「筆ペン」を取り出した。

何をするのかと思ったら、紙によく居酒屋の看板などにあるような洒落た書体で、「立ち呑みてら」などと書きはじめる。

さらにそれから、隣にいた常連さんの女性の名前などを書き出した。

きれいに書かれているものだから、女性はみな喜ぶわけである。

 

一言でいえば「サービス精神」ということになるのかと思うけれど、ぼくは全く及びもつかないことで、「すごいものだ」と舌を巻いた。

ぼくがいつの日にか、このようなことが出来るようになるなどとは夢にも思えないけれど、「とても勉強になった」と思った。

 

閉店の時間も近くなってきたから、ぼくはお勘定をしてもらい、店を出た。

酒はもう十分だったけれど、まだ少しお腹が空いているような気がしたから、ラーメンを食べに行くことにした。

 

向かった先は、「餃子の王将1号店」だ。

餃子の王将1号店

社長さんが亡くなったと聞いたから、普段お世話になっている店だし、弔問もしたいと思ったのだ。

食べたのは、「辛玉ラーメン」399円。

餃子の王将1号店 辛玉ラーメン

帰り際にレジの女性店員に、
「社長さんのことはお悔やみ申し上げます」
と申し述べたら、
「ありがとうございます。これからもご贔屓のほどよろしくお願いします」
と、少し涙声になりながら答えてくれた。

 

昨日は家に帰って、そのまま飲み直しはせず布団に入った。

飲み過ぎると翌日に響くから、大して飲みたくもないのに無駄に飲んでしまわないよう、気を付けてはいるのである。

 

「おっさんも関西流のおもろい話に挑戦してみればいいのに。」

チェブラーシカのチェブ夫

それには10年くらいはかかると思うよ。

 

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「マナー」として書き下せないところに奥深さがあるのである。

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ぼくは酒を飲むために生きているのである。

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