【川崎多摩区 かもめ食堂のカツカレー】老夫婦離れしたセンスと味

入院している84歳になる父が、「いつ急変があってもおかしくない」と主治医の先生から電話があり、川崎の実家に泊まり込んでいる。病院通いやらさまざまな連絡やら手続きやら、忙しいといえば忙しいもののそれほどではないのだが、これがエラクくたびれるのである。





 

急変がいつあるか分からないうえに、あつかう物事の性質が「穏やかな死を迎えさせる」というあまり前向きとはいえないことだからだろうか、頭の芯が疲れる感じで、一日が終わるとヘトヘトになる。しかも誰もいないガランとした実家で一人酒を飲むくらいではその疲れが取れず、夜もどうも眠りが浅い。介護をしている人などは、これが毎日続くのだろうから、大変だなとつくづく思う。

それでこれは「気晴らしが必要だ」と思い至り、「ならば料理」といいたいところなのだけれど、実家で料理していても気晴らしにはなりそうもない。そこで昼飯を、適当な場所で済ませてしまうのではなく、ネットで調べ、「これ」という店に行ってみることにした。

ここ、川崎市多摩区にある「かもめ食堂」は、その記念すべき第一弾ということである。

 

「かもめ食堂」は映画のタイトルなのだそうで、そのせいだろうか、全国にかもめ食堂はいくつもあるらしい。ここもその一つとなるようで、看板や店内のインテリアが水色と白、それにナチュラルウッドでまとめられているところなど、明らかに映画を意識していると思われる。

経営しているのは老夫婦と思われる二人で、それに若い、アルバイトと思われる男性が一人。老夫婦の奥さんのほうが、外国人観光客にたいして英語で接客していたから、ハイカラな老夫婦なのだろう。

映画を意識しているとはいえ、店内のインテリアはさわやかで気持ちがいいし、店内・店外のメニューも写真が多用されていて、このセンスは老夫婦離れしている。

じっさいここは最寄り駅がなく、わりと辺鄙な場所にポツンとあるにも関わらず、お客さんはけっこう来ていて、地域の人気店となっているようだ。

 

メニューのラインナップは、洋食系の定食が中心。

 

そのなかで、カツカレーを注文した。

 

ネットによれば、この店のカレーは評判がいいらしい。僕もカレーは好きなのだが、やはり「カレーは飲み物」なのであり、それだと食事として物足りない。しかしそこにカツを乗せると、きちんと噛みごたえのある料理になる。

値段は770円。カツカレーとしては手頃だし、ランチタイムはご飯の大盛りが無料となる。このあたりの商売のやり方も、老夫婦離れしていると思う。

 

それでこのカツカレー、大変うまかった。カツはさっくりと揚がり、それがタテばかりでなくヨコにも切られて一口サイズになっているのが食べやすい。

ゴロンとしたじゃがいもとニンジンが入れられているのも、また泣かせるところである。

カレーの味は、まさに王道。辛すぎたり甘すぎたりすることなく、コクも十分。

カレーを飲食店で出すのは、意外にむずかしいのではないかと思う。既成のカレールーがよくできていて、家で作るカレーがおいしいからで、それと差別化するために、「変わったカレー」を出す飲食店も多いはず。

でもこの店のカレーは、家のカレーとおなじ王道で、でありながら家で作るカレーより明らかにスッキリとしていてうまく、この老夫婦、料理の腕もかなりのものではないかと見た。

 

レジでお金を払う際、厨房内にいるご主人に向かって「おいしかったです~」と声をかけたが、帰り際にていねいに「ありがとうございました」とは言うものの、それにたいしては特別な返事はない。

変にチャラチャラと一見の客に媚びないところ、この老夫婦、腹が座っていてなかなかいいと思いながら店を出た。











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