やんばるの森調査隊

やんばるの森が壊され、沖縄の人の魂がけずり取られていっている

建設中の米軍施設の、工事がどの程度進んでいるかを確認するため、総勢30名ほどのプロテスターとやんばるの森に入った。「G」と呼ばれるヘリパッドのほか、今回は特に「歩行訓練ルート」の確認が目的だ。

米軍が歩行訓練をするために、G地区の近くから山を下って海岸まで、幅3メートルほどの道が作られることになっている。ルートの先の海岸は、米軍への提供水域となっていて、そこで米軍は上陸作戦の訓練をおこなうと見られている。





 

山に入ると、これまでは通れていた獣道に有刺鉄線が張られている。

有刺鉄線

 

すぐに外されないよう、防衛局員がごていねいにも縦横にぐるぐる巻きにしているから、通るためにはいちいち茂みに入り、迂回しなければいけない。

山中

 

山中を小一時間ほど歩くと、ヘリパッド建設現場に到着した。

ヘリパッド建設現場

砂利できれいに整地され、工事はだいぶ進んでいるようだった。

 

しかしそこから歩行訓練ルートへ向かおうと歩き始めると、また防衛局員と機動隊がバラバラとやってくる。

機動隊

 

今回の目的はあくまで「調査」で、工事の阻止ではないのだが、放ってはおけないようだ。おかげでまた予定のルートを変更し、ヤブをかき分け、大きく迂回しなければならなくなる。

やぶ

 

歩行訓練ルートの工事状況を確認しながら、山中を進んでいく。

進んでいく

ルート予定地にはビニールのヒモで標しがつけられ、これから木を伐採して砂利を敷きつめる準備がされている。

 

やがてきれいな海岸が見えてくる。

海岸

ここが米軍への提供水域で、上陸訓練場の予定地だ。

 

そしてその海岸へ流れ込む川の、澄み切った水が清らかなせせらぎの音を聞かせる河口。

河口

 

川を少し登っていくと、かわいらしい滝もある。

滝

沖縄の人たちは、それら海岸や滝の写真を「きれいだね~」と言いながら喜々として撮りつつも、複雑な表情を見せる。これらの自然は米軍施設ができてしまえば、すべて失われてしまうからだ。

 

「米軍が沖縄の自然を破壊している」というと、僕など本土の人間からすれば、ついそれほど大きな問題ではないようにも思えてしまう。本土でも、宅地造成などにより、山林を削り取ったり海を埋め立てたりすることは、よくあるからだ。

でも宅地造成と沖縄で進みつつあることは、根本的に事情がちがう。

宅地造成は自分たちが住むために、望んでやっていることだ。それにたいして沖縄では、沖縄の8割の人が反対する、望みもしない米軍基地建設のために自然が破壊されている。

だいたい元々、米軍に「提供されている」としている区域は、誰も提供などしていない。米軍が、武力で無理やり奪い取っていったものだ。

そこから始まり、現在の基地建設もまったく同じく、全国から機動隊を集めて、沖縄の人の声を無理やり抑え込みながら行われているのである。

 

知人が沖縄へ来て、タクシーで移動したり、食堂で食事をしたり、ホテルに泊まったりする際に、10人の人に「米軍基地建設をどう思うか」と聞いたそうだ。すると8人が反対、2人は「状況から見て仕方ないのではないか」と消極的賛成だったそうだ。

しかも反対する8人のなかには、米軍に土地を提供している地主も2人いたそうだ。

地主には、毎年多額のお金が入る。にもかかわらず米軍基地に反対するということは、沖縄の人は基本的に、お金の問題ではないのだろうと僕には思える。

 

これはべつの知人なのだが沖縄へ来て、沖縄の人から事あるごとに移住を勧められるという。「仕事も困るし」と答えると、「なんくるないさ~」と言われるとのこと。

「なんくるないさ」は「なんとかなるさ」の意味。じっさい沖縄の濃密な人間関係のなかに入ってしまえば、お互いに助け、助けられして、お金がなくても何とか暮らしていけるとも聞く。

沖縄の人の多くは、お金を儲けることよりも、豊かな自然に囲まれながら、人との交わりを深めることに生きがいを感じているのではないだろうか。

 

だとすれば、沖縄の自然を無理やり破壊することは、沖縄の人の生きがいや「魂」を破壊することだと言えるのではなかろうか。

ある沖縄人のプロテスターは、今まさに損なわれようとしている美しい海や川を見て、

「胸が苦しくなる」

と表現した。

沖縄で行われていることは、単なる自然破壊ではないのである。沖縄の人たちの存在そのものを否定する行為なのだと、僕には思えて仕方がない。

 

機動隊に邪魔されたおかげで予定が遅れ、出発地点に帰り着いたときにはまっ暗になってしまった。

まっ暗

沢の石を伝え歩いたり、崖をよじ登ったりしたために、鍛え方が足りない僕は、全身が筋肉痛、さらに転んだときにひねった膝が動かすたびに痛むのだが、そんなことに文句を言ってはいけないのだ。











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