「結婚しない」と決めるのも賢いかもしれないのである。

四条大宮 てら 京都・大阪の飲食店

昨日は四条大宮で外飲みをし、30前後の女性何人かとあれこれ話す機会があった。

四条大宮 てら

話をしながら、「結婚しない」と決めるのも賢いかもしれないとおもったのである。

 

 

ずいぶん前にもらった28歳未婚男性からのコメントで、ずっと引っ掛かっていることがあった。

ぼくが、

「今の若い人が、『自分は金もない、定職もない、彼女もいない、家も車もない、だから不幸だ』と思うことが多いのではないかと、ぼくは想像する」

と書いたことに対し、

「『金もない、家も車もない~が不幸だとも<思わない>』というのが自分の感覚ですし、周りの友人と話していてもそういった傾向が強いと感じます」

とのことで、さらに

「家や車や家族を持つことも、せっかくの自分の人生の身軽さを捨て去る選択に思えます」

とのことなのである。

 

このコメントを見たとき、ぼくはすぐにはピンと来なかった。

それはぼくが「若い人は心の底では、結婚し、子供を作りたいと望んでいるのではないか」とおもい込んでいたからだ。

でも昨日、30前後の女性何人かと話をして、若い人のなかには、負け惜しみなどではなく、「結婚しない」と考えている人がいるのだと実感した。

ぼくはそれも、今の時代、一つの「賢い選択」だとおもうのである。

 

実際のはなし今の時代、景気がすぐに上向くとはおもえない。

政府の政策で「景気がよくなっている」といわれるが、ぼくから見れば、政策はすべてカンフル剤のようなもので、抜本的な取り組みが全くされていないから、景気は一時的によくなったとしても、次にはさらに、前よりもっと悪いところへ落ちるのではないかとおもう。

そういうなか、たとえば「住宅ローンを組む」などというのは大きなリスクを抱えることになってくる。

10年後ですらわからないのに、20年、30年のローンを支払いつづけるなど、想像を超えることだろう。

 

そのような時代に「身軽に生きる」ということは、たしかに検討の余地がある。

人ひとりが生きていこうと思うなら、そう難しいことではない。

ぼくも定職につくこともなく、フリーの仕事をしているが、何とかうまい酒を飲み、生活に幸せを感じることが今のところは成り立っている。

ぼくの場合はバツイチだし、もう今さら「結婚したい」とも思わないわけだけれど、若い人が、やはりそうしてリスクのすくない生活の仕方をえらぶのも、「理解できるな」と思うようになったのだ。

 

「幸せ」は、「おいしい酒を飲む」ことで、ぼくの場合はかなりのところ満たされる。

毎日の自炊でも、けっこうな幸せを感じるし、それからあとは、週に一度の新福菜館三条店。

 

昨日もまずはビールにキムチ。

新福菜館三条店 ビール

 

それから餃子を肴にビールを飲み、餃子とビールはおかわりする。

新福菜館三条店 焼き餃子

 

最後に大盛りラーメンを食べ、あまりにうまくてノックアウト。

新福菜館三条店 大盛りラーメン

さらに帰って2時間ほどぐっすり寝ると、たまらない満足感があるのである。

 

夜は外に飲みに出かけた。

酒の「うまさ」は、飲みながらの人との会話によっても大きく左右されてくる。

 

いつも行くバー「スピナーズ」が昨日は休みだったから、まず行ったのは、イタリアンバル「ピッコロ・ジャルディーノ」。

ピッコロ・ジャルディーノ オリーブのオイル漬け

ビールにオリーブのオイル漬けをたのみ、常連さんやお店の人とあれこれ話す。

ちょうど20代後半の女性がいたから、「結婚」をどう考えているのか聞いてみた。

すると答えは、

「いい相手が見つかればしてもいい」

とのことだった。

 

ただし相手の条件は、

「きちんと貯金している人」

とのことである。

これはもっともなことなのだが、この瞬間にぼくは相手の資格をうしなった。

それから、

「仕事はつづけ、子供はいらない」

とのことだった。

これも今は多くの女性が思っていることなのだろう。

 

ピッコロでビールを2杯飲んだあと、昨日はそれから立ち飲み「てら」へ、ちょうど居合わせた田村正和似の男性と連れだって流れた。

田村正和似の男性も、てらへは時々行くのだそうだ。

 

てらでは行く回数を重ねるごとに、常連さんと話しやすくなっている。

立ち飲みてら

ぼくは関西流のやり取りは、まだまだ上手くできないけれど、お店にいるのはとても楽しく、居心地がいいのがうれしいのである。

てらでもやはり、30前後の女性何人かが、「結婚」についての話をしていた。

「早く結婚したい」という女性もいたが、一人は、

「結婚には必要性を感じない」

と話している。

 

その女性は、

「結婚は、男性がいないとできないことでもあれば考えなくはないけれど、自分は仕事もしているし、たとえばAV機器の配線なども全部一人でできてしまうし、男性なしで困ることが全くない」

と言う。

「よほど『その男性の才能に惚れ込む』ことでもないと、結婚はしないと思う」

とのことだった。

その女性はかなり可愛く、服装もおしゃれだったから、もしその気になって相手を見つけようとおもったら、瞬間に見つかるのではないかとおもう。

ぼくは話を聞きながら、「仕事に夢中になってしまった結果、婚期をのがす」のではなく、明確な「意思」として、「結婚しない」と決める世代が育っているのを実感した。

 

てらでは色々食べたけれど、昨日初めて食べたのは、鶏天おろしポン酢200円。

立ち飲みてら 鶏天おろしポン酢

皮はさっくり、中はモチモチ、これも大変うまかった。

 

件の女性のグループとは、ぼくと田村正和似の男性も一緒に話をしたりもした。

四条大宮 てら

 

チェブ夫はまた、女性にしっかり抱きかかえられ、一人でいい思いをしていたのである。

立ち飲みてら

 
 

さて結婚せず、ひとり暮らしをしていても、まず「食」についての幸せは、それなりのものを手に入れられる。

ただ人間、男性なら女性、女性なら男性との関わりも必要だ。

ぼくは昨日、それをこうした立ち飲み屋やバーが、提供しているのを改めて感じた。

しかしその関わりは、ぼくが以前思っていたような、「彼氏・彼女を見つけるため」としてではなく、もっと「淡い」形で成り立っているのが、ぼくは昨日よくわかったのである。

 

というわけで、「出会いの場としての酒場」についてなのだけれど、ぼくは以前あるバーで、女性が、

「結婚もしたくはないし、さらに彼氏もべつにいらない」

と言うのを聞いたことがある。

彼氏ができ、いちいち待ち合わせなどを約束するのが「煩わしい」のだそうだ。

しかしこれは、「結婚しない」とおもう若い人にとっては当然のことなのかもしれない。

さらに付き合う相手ができてしまうと、やはり「結婚」をどうしても意識することにもなるだろう。

 

そういう、「結婚相手も、彼氏もいらない」という考えの女性が、男性と関わりをもつための場として、酒場は打ってつけであることが、ぼくは昨日、よくわかったのである。

酒場のカウンターでは、男性と女性は一対一でなく、多くは複数でのやり取りになる。

だからそこでは、相手と深い関わりになってしまうのを避けながら、淡い形で、恋愛願望を発散させることができるのだ。

ぼくは昨日、酒場の意義をはじめて理解したような気がした。

 

実際「スピナーズ」でも「てら」でも、30代の女性は多い。

昨日はてらで、狭い店内にギュウギュウにはいった十数名のお客さんのうち、十名ほどが女性だった。

もちろん彼氏を「募集」している女性もいるが、多くはそれを求めていない。

酔いながらワイワイと話をし、男性の腕をたたいたり、可愛い顔をしてみせたりするだけで十分なのだ。

 

だから男性の側も、酒場で本当に楽しむためには、「特定の相手を探す」ことを目的にするのを捨てる必要があるとおもう。

捨てて初めて、お客さんの女性と気安く話せることになるのだ。

昨日も夜が更けてから、たぶんぼくと同じくらいの年だろう、いかにも「ハントしにきた」というギラつかせた目をした男性が、ずいぶん酒に酔って、てらへ来た。

その男性のまわりから女性がサッと移動したのは、言うまでもないのである。

 

それがわかって、昨日はぼくも、てらでの時間を今までになく満喫できた。

考えてみればぼく自身も、下手に彼女を作ってしまい煩わしい思いをするよりは、そうやって女性と淡くやり取りできれば、とりあえずは十分なのである。

 

てらには1時を過ぎるまでいて、ぼくと田村正和似の男性はさらに飲み直すことにした。

四条大宮 en

行ったのは地中海バル「en」。

行ったら「熊の男性」とぼくが呼んでいる男性がいた。

熊の男性と田村正和似の男性は、どちらも大宮の常連さんだが、顔を合わせたのは昨日がはじめてとのことで、「そんなこともあるのか」とぼくはおもった。

 

「魚介のアヒージョ」を食べ、ワインをさらに2杯飲んだ。

四条大宮 en 魚介のアヒージョ

アヒージョは言うまでもなく、オリーブオイルにパンをひたして食べるのだ。

 

enを出て家に着いたら、もう3時になっていた。

またしても深酒したのだが、これはぼくにとって必要なことだから、仕方がないのである。

 

「ぼくにもこれは必要だな。」

チェブラーシカのチェブ夫

お前はほんとに満喫したよな。

 

 

◎食べログ

ピッコロ・ジャルディーノ

立飲みてら(食べログ)
 

◎関連記事

ぼくは酒を飲むために生きているのである。

お店は「くり返し通う」のがおすすめなのである。

一人暮らしは気楽なものなのである。

やはり20代は若いのである。

ぼくの幸せは、これなのである。

コメント

  1. わさび より:

    とても深く、興味深い話でした。

    私も個人で密に関係を持ちたいと
    いうよりは、
    行き当たりばったりで
    飲み屋であった人と
    そこでだけ話して、ひとしきり
    盛り上がって
    楽しくやれればいいと思っています。
    それが楽しみでもあり、救いでもあります。

    やっぱり一人は気楽ですからね。
    たまーに寂しくなった頃、
    夜な夜な出掛けるのが
    なんだか程よい気がします。

    おっさんはお酒強くて羨ましいです。

  2. まるぽ より:

    私も結婚したくないし、子供もいらない派でした。
    でも既婚者の人はやたらと結婚と子供の良さを話してくるんですよね〜(^_^;)
    正直、人それぞれだから価値観を押し付けないで欲しいなぁと思っていましたが、実際結婚して子供が出来たら、今までに味わったことのない新しい幸せな感情が芽生えたのですw
    たぶん本能的な部分が満たされたのかもしれませんね。
    自分でも意外でした(*^_^*)

  3. うーちゃん より:

    結婚するから幸せ、子どもがいるから幸せ、女性が社会で働くまでは幸せというものは一律で決められていたように思います。
    だから、必死に結婚しようとした。しなければ、自らを不幸だと感じ周りからも思われ、また生活していくこともできなかった。
    それが、女性の社会進出とともに、自立できるようになり、自由を手に入れると、活動領域は広まり、様々な経験ができるようになると
    幸せの価値観も多種多様になってきた。
    一律で単調だった幸せの定義が、多種多様なものへと変化をとげた。

    そして世間の風潮として、それを認めろとなるわけだから、今は個人が幸せならなんでもありな世の中だと思う。

    誰かと比べることは必要ではないし、比べることができないほど千差万別なのである。

    つまり、結婚しないと決めることはなんら新しいことではなくなっているし、結婚退職はスムーズに転職するための嘘にすらなっていたりする(笑)

  4. にほんしゅ より:

    わたしも結婚は面倒くさいです。
    ひとりだとなんでも自由に決められますもの。

    籍をいれずに一緒に住まずに、
    信頼関係を築いていくことのできる人がいればいいのですが。

    お酒をのみに入ったお店ではひとりにしておいて欲しい派ですね(^^ゞ
    会社勤めのストレス解消にきているので、そっとしておいて欲しいです。

  5. じょー より:

    初めて書き込み致します。
    同世代、バツ一、再婚する気なし、ギター弾きの大阪人です。

    この夏頃から高野さんのブログを拝見しています。
    時に文学的で、時にエロ親爺で、時に哀愁に満ちていて…
    似た環境の者として、とても共感します。

    今回の「結婚しない」云々の件も本当に共感出来ます。
    というか、自分も疑問に感じていた部分をかなり納得させて頂きました。

    会った事もないのに、高野さんと酒を飲み交わしたい衝動に駆られます。
    (大阪のおっさんとは気が進まないでしょうけど…)

    これからも拝読致します。
    無理なさらず更新お願い致します。

  6. 半頭ヴォン より:

    初コメです。結婚するか否かは、人生の時間軸で見るなら、結婚してから起きる「良いこと」「悪いこと」の振幅が大きいか小さいかの違いであると感じており、ここに幸福度の尺度は挟めないと思います。しかし相手の人生に干渉することは間違いでしょう。ここが鍵かと。
    でも今回のチェブ夫・・・彼が一番の幸せ者かも。

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