【四条大宮 来夢来人 4】浅香唯似の看護師がいる病室で、意識がもどった。

2016/07/20

女性の話す声が聞こえてくる。

「もう朝か……」

ぼんやりとした僕の頭は、徐々に眠りから目覚めていった。

女性は、2人で話しているようだ。

「それで、その後どうしたの?」

「それがさ、あの男、あっくん、『2人で飲みに行こう』っていうから行ったのに、お酒がからきし弱くてすぐに潰れちゃったから、置いて先に帰ってきたわよ……」

 




 

「合コンか何かの報告なのかな……」

僕はそう思いながらも、まだウトウトとしていた。でもそのうちに、

「この女性は誰なのだろう?僕はどこにいるのだろう?」

と思い始めた。家ならば、一人暮らしなのだから、女性がいるはずがない。

 

そこで、ゆっくりと目を開けてみた。白い天井、白い壁。明るい陽の光がさし込んでいる。

女性の顔が、すぐ間近にみえた。浅香唯にちょっと似ていて、目を大きく見開いている。

「高野さん!?気がつきましたか?よかった~。ちょっとちょっと、先生呼んできて!」

女性2人は、看護師だった。僕は病院にいるらしい。

「川べりで、ぐっしょりと濡れて横たわっているのが発見されて、すぐにここに運び込まれたんですよ。水を大量に飲んでいて、何とか一命はとりとめましたが、3日3晩、意識がありませんでした。でもよかったです~、意識がもどって」

浅香唯に似た看護師はでそう言って、キラキラとした目僕を見つめた。

 

すぐに先生がきて、診察を受けた。

「幸い呼吸停止の時間がそう長くはなかったため、脳波も正常、後遺症などが残ることはないと思います。あとは体力が回復したら、退院ですね。どこか、体に異常を感じることはありませんか?」

僕は、とにかく体中がダルかった。そう言うと、

「そうだと思います。1週間ほどゆっくり休んで、体力を回復してください」

と先生は答える。

それからどうも、頭のなかの、右側、ちょっと上あたりが、痛いというか痒いというか、ムズムズする感じがした。

「右側の上、ですか……。脳波は正常なんですが……。つづくようなら、あらためて検査してみましょう」

先生は、そう答えた。

 

先生が出ていったあと、僕は浅香唯似の看護師と、病室で2人になった。

「大事にいたらず、本当によかったです。川で溺れて亡くなったり、後遺症が残って半身不随になったりする方もいますからね……」

浅香唯似の看護師は、相変わらず僕を見つめ、心配げな顔をしながら話しかける。

「でもあんな川べりで、何をしていたんですか?」

 

そういえば、僕は来夢来人で、南果歩似の女性を近藤真彦似の男性に持っていかれ、土砂降りの雨のなか、歩いて行ったら川があり、そこに入っていったんだ。でも川に入って、僕は何をしようとしたのだろう……?

考えたけれど、よくわからなかった。ただ着物をきた、初老の男性の姿がみえ、何か声が聞こえたことだけ思い出した。

 

僕が考えこむ様子を見て、

「あ、いいですいいです、無理して思い出さなくて」

そう言いながら、浅香唯似の看護師は申し訳なさそうな顔をする。そして、

「私が担当看護師ですから、もし何かあれば、いつでもナースコールを押してくださいね!」

と、ふたたび僕を、キラキラとした目で見つめながらそう言い残し、病室から出ていった。

 

僕は自分の、何かが変わったような気がした。

でもそれが何なのかは、そのときはまだわからなかった。

(つづく)










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