【四条大宮 来夢来人 3】大宮の男たちが南果歩に話しかけた。

2016/07/20

【四条大宮 来夢来人 3】いい雰囲気になりかけたところで近藤真彦似の男性がやってきた。」のつづき

近藤真彦似の男性は、南果歩似の女性の左隣の席へ行こうとした。すると近藤真彦の左にいた男性が、それより早く、南果歩の左隣の席にすわった。

それをみて、近藤真彦似の男性は、南果歩の右隣の席へ行こうとした。するとやはりそれより早く、近藤真彦の右にいた男性が、南果歩の右隣の席にすわった。

左右二人の男性は、すわるや否や、すぐに南果歩似の女性に話しかけはじめた。

 




 

「こんにちは」

「あ、こんにちは」

南果歩は、何が起こったのかと戸惑いながらも、それにこたえる。

「おきれいな方ですね」
「ほんと、ほんと。私がいままで見た女性のなかで、一番おきれいだと思います」
「お名前は、何とおっしゃるんですか?」

「あ、わたし、さゆりです」

「さゆりさん、いいお名前ですね」
「私も、さゆりって名前、大好きです」

大宮の常連さんであるこの男たちは、戦術を変えたようだ。近藤真彦似の男性のナンパを咎め立てるのではなく、自分たちが積極的に、先んじてナンパすることで、近藤真彦のナンパを封じる作戦に転じている。

近藤真彦似の男性は、それを見て「ニヤリ」と笑い、うしろのボックス席に一人すわった。足を組み、右手をシートの背もたれにまわして、タバコをふかしはじめている。

 

大宮の常連さんは、南果歩をとりかこみ、さらに話しかけている。

「それは、何を飲まれているんですか?」

「あ、ミモザ……です。マスターのおすすめだったので」

「それじゃあマスター、こっちもミモザお願いします」

男たちは、全員でミモザを注文する。

「お、これおいしいですね」
「ウンウン、甘いんだけど、甘すぎないところがいいですね」
「さゆりさんも、たぶん彼氏には、そんな感じじゃないのかなあ。甘いんだけど、締めるところはきちんと締める、みたいなね」
「オイオイ、会ったばかりの女性にたいして、それはちょっと失礼だぞ」
「それはそうでした。これまたスッツレイいたしました」

男性が加藤茶のモノマネをして謝ったのに、男たちは一斉に「アハハハハ」と大笑いする。

 

「このままだと、南果歩似の女性は帰ってしまうな……」

男たちが笑うのにあわせ、ニッコリと微笑んでみせる南果歩をみながら、僕は思った。

このまま南果歩似の女性が帰ってしまえば、近藤真彦似の男性のナンパを封じたことにはなるのだから、それはそれで、男たちは目的を達するわけだ。でもだいたい、南果歩と最初に話していたのは、この僕だ。せっかく仲良くなりかけていたものを、僕はこの男たちに邪魔されていることになる……。

 

僕は、男たちと南果歩の会話に、割って入った。

「そんなに一斉に話しかけられたら、疲れてしまいますよねえ?」

「ああ、そうか、ゴメンゴメン、たしかにそうだよな」

男たちは謝り、南果歩似の女性は、

「いえ、そんな……」

と、首をふる。

「よかったら、もう一杯飲みませんか?おごりますので」

僕は南果歩に、お酒をすすめた。でも南果歩は、

「ありがとうございます。でもわたし、もうそろそろ……」

帰り支度をはじめる気配だ。

 

と、そのとき、それまで押し黙ってすわっていた近藤真彦似の男性が、無言で立ち上がるのがみえた。

(つづく)










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