【四条大宮 来夢来人 3】南果歩似の女性がきた。

2016/07/20

【四条大宮 来夢来人 3】反撃の甲斐もなく、三浦理恵子似の女性が落とされた。」のつづき

翌日も、僕は「来夢来人」に出かけていった。厚い木の扉をあけると、きょうもお客は誰もいない。

いつもの通り、カウンターの入口に近いいちばん端の席にすわり、ハーパーの水割りを注文する。

藤竜也似のマスターは、すぐにグラスに、アイスピックでかち割った氷を入れ、ウイスキーと水を注いで、僕の前へもってくる。

 




 

「きょうは、どうなるんでしょうね?」

僕が訊くと、マスターは、ちょっとムッとしたかのように押し黙る。

それはそうだ。どうなるもこうなるもない。女性がここに現れれば、そのあとから近藤真彦似の男性がやってくる。そして、その女性をモノにして去っていく。

近藤真彦似の男性を上回るナンパ師が現れないかぎり、それが続いていくだけの話だ。





 

と、思っているところに、階段をトントンと降りてくる音がして、入口の扉のまえで止まった。それから扉がしずかに開いて、ドアノブをにぎった女性の上半身が、扉のすきまから見えた。

「こんばんは。営業……していらっしゃいますよね?」

鈴が転がるかのような、かわいらしい声でそう尋ねるその女性は、短めのヘアスタイルで、南果歩にちょっと似ている。

「営業してます。いらっしゃいませ」

マスターが答えると、おずおずと店の中に入ってきた。

 

「常連さん……なんですか?」

南果歩は、入り口のすぐ近くにいる僕に、そうたずねる。

「え、いや……、常連とまではいかないんですが、ここ数日は毎日来ています」

前ぶれもなく話しかけられ、僕はちょっとドキドキしながらそう答えた。

「あ、スミマセン、いきなり話しかけちゃって。私、こういう店はじめてなので、どうしたらいいかわからなくて……」

南果歩に似た女性は、両手を口に当てながらそう詫びて、

「ど……、どこに座ったらいいですか?」

と、マスターにたずねる。

「どの席でもお好きなところへどうぞ」

マスターにそう言われ、僕から席を2つ空けたところにすわった。

 

「何を注文したらいいかも、よくわからないんですよ……」

南果歩は、マスターに手渡されたおしぼりで手を拭きながら、メニューをながめる。

「何がおすすめになりますか?」

「最近は、『ミモザ』なんていうのを頼む女性も多いですよ。シャンパンがベースなので、それほど強くありませんし、オレンジジュースで割ってあるので、あまりお酒を飲まない人でも飲みやすいです」

マスターがそう答えると、

「じゃあそのミモザ、お願いします」

ニッコリと笑いながら注文した。

 

マスターは、シャンパングラスにシャンパン、続いてオレンジジュースをそそぎ、かるく混ぜて、南果歩の前に出した。

「あ、これおいしいですね。わたし今度から、どこへ行ってもこれ頼むことにしよう」

一口飲んで、南果歩は、ふたたびニッコリしながらそう言った。

「お兄さんは、何飲んでいらっしゃるんですか?」

南果歩に、またしても前触れなしにそう訊かれ、

「こ、これですか?バーボン・ウイスキーI.W.ハーパーの水割りです。僕もこれが、バカの一つ覚えで、どこへ行っても頼んでいます」

と、答えて笑った。

南果歩も、ニッコリと微笑んだ。

(つづく)










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