【四条大宮 来夢来人 3】反撃の甲斐もなく、三浦理恵子似の女性が落とされた。

2016/07/20

【四条大宮 来夢来人 3】戦いの火ぶたは切って落とされた。」のつづき

ほどなくして、入り口のむこうから、ドタドタと階段を降りてくる音が聞こえてきた。扉があき、予感どおり近藤真彦似の男性が、両手をポケットにつっ込み、肩を怒らせて、ガニ股ではいってきた。

「美人の女性がいることを、この人はどうして嗅ぎつけるんだろう。きのう僕が一人でここにいるときは、現れなかったのに……」

僕はちょっと、不思議におもった。

 




 

しかしこの日は、近藤真彦似の男性は一人ではなかった。うしろから、険しい表情をした男たちが5~6人。

「大宮の常連さんだ……」

ドヤドヤとはいってきて、近藤真彦似の男性とは少し離れて入口のあたりにたむろし、腕を組みながら全員で、近藤真彦似の男性をにらんでいる。

 

近藤真彦似の男性は、それにはかまわず、さっそく三浦理恵子似の女性をみつけ、隣にすわった。

「すんげえカワイイっすね。ちょっとおれ、まじタイプなんすけど。おれとつき合ってくださいよ……」

そう言いながら、藤竜也似のマスターに、ハーパーの水割りを注文した。

するとうしろから、男たちが声をかける。

「なに初対面の女性にたいして、いきなり失礼なこと言ってんだよ」
「お姉さん、こいつの言うことなど聞かなくていいですからね」

それを聞いて、三浦理恵子似の女性は「合点がいった」という顔をして、大きく何度かうなずいた。

「そうか、あなたあの『伝説のナンパ師』なのね?聞いたわよ。60年にいっぺん現れて、そこいらじゅうの女をモノにしていくって」

「いやおれは、べつにそんな、大したものじゃないっすよ。ただここで、美女といっしょに楽しくお酒を飲みたいだけっす」

そう言って、近藤真彦似の男性は三浦理恵子と乾杯し、

「お姉さん、三浦理恵子に似てますよね。めちゃくちゃ色っぽいっす」

とほめる。

うしろから男たちが、

「なに歯が浮くようなこと言ってんだよ」
「お姉さん、こいつに騙されないでくださいよ」

と、あれやこれやと声をかけるのも、耳に入っていないかのような落ち着きぶりだ。

 

やがて近藤真彦似の男性は、三浦恵理子似の女性と、何やら小声で話し込みはじめた。近藤真彦が耳元で話すのを、三浦理恵子は「うん、うん」とうなずきながら聞いている。

10分ほどの時間がたち……。

「マスター、お勘定お願いします。理恵子さんの分もおれにつけといて」

お勘定を済ませると、近藤真彦似の男性は立ち上がり、いっしょに立ち上がった三浦理恵子似の女性と手をつなごうとする。

うしろで見ていた男たちは騒然としてまわりを囲み、

「何だよお前、初対面の、大して知りもしない女性といきなり手をつなぐのか」
「お姉さん、冷静になってもう一度考えてくださいよ。こいつ、とんでもない男なんですよ」

口々に声をかける。

すると三浦理恵子似の女性が、大声を出した。

「ちょっとあんたたち、放っておいてよ。私たちが何をしようと、知ったことじゃないでしょ」

三浦理恵子似の女性は先に立ち、近藤真彦似の男性の手を引いて、男たちをかき分けながら入口にむかって歩いていく。

扉をあけ、二人で出ていこうとするその間際、近藤真彦似の男性は、カウンターの端にすわる僕をみて、「ニヤリ」と笑った。

 

扉がしまり、二人が階段を上がって行く音が聞こえなくなると、男たちはその場にすわり込んだ。

「またかよ……」
「このままじゃ、四条大宮の女はほんとに全員、やつにモノにされてしまうよ……」

と、苦悩に満ちた声を上げる。

「やっぱりこうして、傍から声をかけるだけでは、食い止めるのは難しいよな」

と、一人が言うのに、皆がうなずく。

「次はもっと積極的に、攻めていくことにしよう」

男たちは口々にそう言いながら、うなだれて、店をあとにしていった。

(つづく)










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