【四条大宮 来夢来人 2】そしてまた、誰もいなくなってしまった。

2016/07/20

【四条大宮 来夢来人 2】いい雰囲気になってきた。」からのつづき

その時、お店のドアが「ガチャリ」と開く音がした。その瞬間、僕はイヤな予感がした。

ドアの方をふり返って見てみると……。予感は的中。

近藤真彦似の男性がはいってきた。

 




 

近藤真彦似の男性は、僕のことには目もくれず、ガニ股でスタスタと、青田典子似の女性へむかって一直線に歩いていく。青田典子の、僕とは反対側のとなり側に到着すると、カウンターテーブルに両手をついて立ち、青田典子の顔をのぞき込んで、

「おー……。すっげえカワイイっすね」

きのうと全くおなじセリフを吐いた。

青田典子似の女性は、そう言われて近藤真彦似の男性の方をふり返る。





僕は、青田典子はこれまで僕と親密に話していたのだから、唐突にそんなことを言われても拒絶するだろうと思った。女性をみて、いきなり「カワイイ」と言うなどは、だいたいセクハラまがいであって、マナー違反だ。

ところが青田典子似の女性、嫌がっている様子はない。

「え~、そうですか~?よく言われるんですけど!ナンチャッテ!」

とおどけてみせて、むしろ喜んでいるようだ。

 

「名前は何て言うんですか?」

近藤真彦がたずねると、

「ケイコです」

素直に答える。

「あなたは?」

と質問し、

「おれ?『マッチ』に決まってるじゃん。似てるでしょ?」

との答えに、手を叩きながら大爆笑して、

「そういえば!ちょっと『田舎のマッチ』という感じ!」

と、ウケている。

 

近藤真彦似の男性はそのまま青田典子のとなりに座り、

「マスター、ハーパーの水割りお願いします」

と酒を注文する。

と、青田典子似の女性のグラスが空になっているのを発見し、

「何か飲んでくださいよ、おごりますから」

と酒をすすめ、青田典子は、

「それじゃあマスター、さっきとおなじのお願いします!」

と、すすめを受ける。

 

そのまま二人は、何やら小声で話し込みはじめ、ものの10分もしないうちに、

「それじゃあマスター、お勘定お願いします。ケイコさんのもおれのに付けといて」

と立ち上がり、手をつないで出ていった。

手をつなぐ瞬間に、近藤真彦似の男性がこちらを見てニヤッとしたのは、きのうと全くおなじだった。

 

僕はあっけにとられて、近藤真彦似の男性がいるあいだじゅう、ひとことも発することができなかった。

お客さんは誰もいなくなってしまった来夢来人をあとにして、呆然としながら家に帰った。










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