【四条大宮 来夢来人 2】いい雰囲気になってきた。

2016/07/20

【四条大宮 来夢来人 2】積極的に話しかけてみた。」のつづき

青田典子似の女性とカクテルについての話がひとしきり盛り上がったあと、藤竜也似のマスターは唐突に、僕に話をふってきた。

「この方、有名なブログをやっているんですよ。名前は何でしたっけ?おやじひとり……」

「あ、おっさんひとり飯です」

僕はあまりに突然のことで、びっくりしながらそう答えた。

「そうそう、おっさんひとり飯。飲んだり食べたりについてのブログでね。自分で作った料理のレシピを載せたりもしているんですよね」

「え~、そうなんですか?自分で料理もされるんですか?」

青田典子似の女性は、いきなり目をキラキラさせて、僕を見つめながらそう言った。

 




 

「いや、ここで僕のブログについての話が出るとは思わなかったです。マスター、どうして知っているんですか?」

「四条大宮の飲み屋についてのことを、色々書いているんですよ、このブログ」

マスターは、青田典子に説明する。

「この界隈じゃ有名で、じつは私も、高野さんはいつこの店に来てくれるんだろうと、ずっと思っていたんです」

「そうなんですか、いやお恥ずかしい、恐縮です」

僕は照れながら、そう答えた。

 

「どんな料理を作られるんですか?」

青田典子は、興味深そうに僕にたずねる。

「いや、大したことはないですけどね。ちょっと見ます?」

僕はスマホをとり出して、おっさんひとり飯の料理のページを表示させ、青田典子に手わたした。青田典子は細長い、爪にネイルアートをほどこした右手の人差指で、画面をスクロールしていく。

「すご~い。めちゃくちゃ凝ってるじゃないですか。私も料理、上手になりたいと思っているんです。これ、毎日自分で作っているんですか?」

「そうですね。僕は料理が趣味なので、料理をしているときが、一日でいちばん楽しいんですよ」

「そうなんですね~。私なんか、どうしても『面倒くさい』というのが先に立ってしまって……」

 

青田典子似の女性は、さらに他の料理のページをタップして表示させる。

「あ、この『あさりとトマトのうどん』とか、変わってますよね」

青田典子は、2席空けたところに座っている僕に、スマホの画面を向けて見せる。それだと見えにくいから、僕はいちおう、

「隣に行っていいですか?」

とたずね、青田典子が、

「あはは、ハイ、どうぞどうぞ」

と答えるのを確認し、青田典子の隣の席に移動して、あさりとトマトのうどんについての説明をはじめた。

「いやこれがねえ、異常に簡単にできるのに、死ぬかと思うほどウマイんですよ……」

 

小さなスマホの画面をいっしょに見ながら話をするから、必然的に、青田典子似の女性と僕は距離が近づくことになる。青田典子のウェイブのかかった長い髪は、僕の顔から20センチほどのところにある。ノースリーブからむき出しになった筋肉質の二の腕は、僕の腕といまにもくっ付きそうだった。

 

気がつくと、青田典子のグラスは空になっていた。

「もう一杯飲まれます?おごりますよ」

僕が言うと、

「そうですか?じゃあ、いただきます。マスター、おなじのをもう一杯お願いします」

青田典子はお代わりをたのんだ。

 

「これは、いい雰囲気だ」

僕は思った。

このまま行けば、名前と連絡先を聞き出せそうな感じがした。

(つづく)










拡散協力お願いします!

にほんブログ村 料理ブログ 一人暮らし料理へ広島ブログ

-12 来夢来人