【四条大宮 来夢来人 2】青田典子似の女性がきた。

2016/07/20

僕は翌日も、来夢来人へ行ってみた。看板は、赤い光が灯っている。地下へむかう階段を降りていくと、厚い木製のドアには「OPEN」の札が下がっている。

ドアを開けると、お客さんは誰もいなかった。マスターがひとりカウンターのなかでグラスを磨いている。僕が入っていくと、

「いらっしゃいませ」

グラスを磨くのをやめ、僕の方に向きなおってニコリと笑った。

 




 

僕は、工藤静香似の女性はもういなかったけれど、きのう座ったのとおなじ、カウンターのドアに近いいちばん手前の席に座った。

「サッポロビールをお願いします。それからマスターも、何か飲んでください」

すぐにマスターは、僕の前にグラスを出し、サッポロ赤ラベルの小瓶をゆっくりと注いでくれる。それから自分のお酒を作ってきて、

「いただきます」

乾杯した。

 

「きのうの女性と男性のお客さんは、この店の常連さんなんですか?」

僕はマスターに聞いてみた。

「いえ、お二人とも初めてだったんですよ。この近くにお住いではなく、旅行者の方ではなかったですかねえ……」

なるほど、そうだったのか。だったら「京都の女性だから」と思って、下手な遠慮などしなければよかった。

もし今度、おなじようなチャンスがあったら、もっと積極的に話しかけてみることにしよう……。僕は思った。

と、ちょうどそう思ったところに、女性のお客さんが現れた。

 

その女性は、青田典子にちょっと似ていた。まっ青なノースリーブの、ちょっとゴワッとした生地のワンピースを、おなじ生地のちょっと太めのベルトをして着て、頭には麦わら帽子のようなツバの広い帽子をかぶり、サンダルを履いている。

色白の、やや筋肉質の二の腕が、むき出しになっている。

 

青田典子は入り口から顔を覗かせ、

「あの……、いい、ですか……?」

おずおずとしたようにマスターに尋ねた。

「どうぞどうぞ、いらっしゃいませ。どこでも好きなところにお座りください」

マスターは答える。

青田典子は、カウンターの、僕から2席あけたところに、

「ここ、いいですか?」

と、僕にだか、マスターにだか、わからないような調子で、訊きながら腰かけた。

(つづく)










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