【四条大宮 来夢来人】お店に入って、ビールをたのんだ。

2016/06/16

「とりあえず入ってみることにした。」からのつづき

「来夢来人」の薄暗い階段は、壁一面に「カサブランカ」とか、「昼顔」とか、古い洋画のポスターが貼ってある。踊り場にはアンティーク調の椅子が据えられ、メニューが広げて置かれている。

踊り場まで降り、メニューを見てみた。ビールは450円~、ウイスキーは500円~で、「当店ではチャージを頂いておりません」と書いてある。

「それほど高いことはなさそうだな……」

僕はちょっと安心し、さらに階段を降りていった。

 

階段を降りると左側に、分厚い木製のドアがある。ドアには「OPEN」と書いた札が下げられている。

ちょっとドキドキはしたけれど、ドアを開けてみた。





 

階段と同様、薄暗い店のなかには、まず7~8人が座れるカウンター。いちばん奥に、女性が一人座っていた。

カウンター席の背後には、4~5人が座れるボックスの席が2つある。そちらには、お客は誰もいなかった。

 

カウンターのなかには、洋酒がざっと50~60本、壁全面にしつらえられた棚に置かれている。調度はすべて、濃い茶色を基調としたアンティーク調で、この店をひとことで評すれば、「昔ながらのショットバー」だ。

 

店に入ると、

「いらっしゃいませ!」

カウンターのなかにいたマスターが、ややかん高い声質ながら、抑制のきいた調子でそう言いながら、こちらを見た。白いワイシャツに黒いベストを着こみ、蝶ネクタイをした、ちょっと藤竜也に似たマスターは、見たところ60代。髪は寸分の乱れもなく、リーゼントに整えている。

 

「初めてなんですけど、いいですか?」

「どうぞどうぞ、どこでもお好きな席にお座りください」

奥には女性がひとりで座っている。僕はカウンターの、その女性とは反対側の端に座った。

 

「生ビールはありますか?」

と聞くと、

「生はなくて、瓶のみになりますが……。銘柄は、キリン、アサヒ、サッポロです」

とマスター。

「じゃあ、サッポロで」

マスターは奥の厨房からサッポロ赤ラベルの小瓶をもってきて、僕の前に白い紙製のコースターとビアグラスを置き、ビールを注いだ。

 

注がれたビールを一口のみ、

「この店は、もう何年くらいになるんですか?」

と聞いてみた。

「今年でちょうど、30週年になりました」

「そんなになるんですか!それはスゴイですね!でも僕、このすぐ近くに住んでいるんですけど、こんな店があるとはこれまで知りませんでした」

「皆さん、そうおっしゃるんですよ。でもそんなこと、べつに気にしなくてもいいんじゃないですか?」

たしかにそうだ。

大事なのは「これまでどうだったか」ではなくて、「これからどうするか」であるはずだと僕は思った。

(つづく)





 




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