檀一雄「檀流クッキング」は自炊をする男性には絶対的におすすめなのである。(イワシの煮付け)

2016/01/03

昨日は檀一雄『檀流クッキング』掲載レシピの「イワシの煮付け」を作った。

檀流イワシの煮付け

『檀流クッキング』は、女性にはどうかわからないが、自炊をする男性には、絶対的におすすめなのである。

 

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檀一雄はご存知のとおり小説家で、檀ふみのお父さんである。

日本中、世界中を放浪し、家を留守にしつづけたことで知られていて、自伝的小説『火宅の人』が代表作となっている。

放浪癖をもつ小説家と「料理」は、なんともミスマッチなのだけれど、檀一雄は「料理上手」としても知られ、『檀流クッキング』という料理本も出している。

檀一雄『檀流クッキング』
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この『檀流クッキング』が、自炊する男性には絶対的におすすめだと、今日は言いたいわけなのだ。

 

自炊が意外につづかないのは、経験がある人も多いと思う。

「自分だけのために作る」のは、張り合いが湧かないからだ。

だから自炊をつづけるには、「何かのため」という必要性ではなく、「料理そのものが好き」とおもえることが大事になる。

料理を好きになるきっかけとして、この『檀流クッキング』は打ってつけだとおもうのだ。

 

まずは檀一雄が、「料理が好きで好きで仕方がない」のである。

子供のころ、失った母親のかわりに料理をするようになった檀は、料理のおもしろさに目覚め、その後の放浪も「各地の料理を実際に食べ、それを自分で作ってみたい」のが理由であったのだそうだ。

「異常なまでの料理好き」ともいえるわけで、『檀流クッキング』にはその檀の気持があふれている。

「料理が好き」という人の気持ちが、この本を読むとわかるのだ。

 

またこの本は、「読み物」としてもおもしろい。

小説家が書いたのだから、当然のことである。

料理にまつわるエピソードだけでなく、作り方が書かれたところも、箇条書きなどでなく、端正な文章で書かれているから、そのまま読み通すことができる。

作り方を読みながら、檀が料理をつくる様子が目に浮かぶようなのだ。

 

さらに実用書としての価値も高い。

日本のめぼしい料理はもちろん、韓国、中国、インド、ロシア、ヨーロッパ、さらにアメリカなどの料理が載せられている。

この本の料理をひと通り作れば、「料理の基礎が学べる」と言ってもよい。

手に入りやすいものを使い、作り方もシンプルで、難しいことは何もない。

 

ただし唯一、「難点か」とおもうのは、檀がやや「凝り過ぎ」ともおもえることだ。

そのことが、「女性」がこれを好きになれるかどうか、自信がないところなのだ。

でもぼくは、この凝り過ぎなくらいの料理への執着ぶりが、この本の好きなところである。

また多くの男性も、好きになるのではないだろうか。

 

しかし『檀流クッキング』の真髄は、ただ読むだけでは見えてこない。

実際に作ってみて、初めてわかってくるのである。

 

昨日作った「イワシの煮付け」も、『檀流クッキング』のなかでは実に目立たないレシピである。

ものの10行ほどで書かれ、読み飛ばしてしまってもおかしくない。

ところがこれを作ってみて、実際に食べてみると、「なるほど」と膝を打つことになる。

檀は出来あがる料理の味については何も書いていないから、食べて初めて、檀の美学やこだわり、繊細な配慮がわかるのだ。

 

檀のイワシの煮付けは、梅干しに加えてうすくち醤油と緑茶を使う。

檀流イワシの煮付け

梅干しを使うのは、イワシを煮付けるのに定番だが、ふつうは砂糖としょうゆでコッテリさせることを考えると、この味つけは異色である。

これがどういう味になるのか、ぼくは「ひとこと」で言えるけれど、あえて言わないことにする。

檀の世界を、自分で作り、感じてほしいからである。

 

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さて「檀流イワシの煮付け」だが、イワシはまず、頭のついたのを買ってくる。

これをサッと洗うだけにして、頭もワタもそのまま残す。

鍋にだし昆布と細切りショウガ少々をいれ、イワシは昨日、5尾をならべて、味が出るよう、箸で穴をあけた梅干しを2~3個いれる。

檀流イワシの煮付け作り方(1)

ここに緑茶を、イワシがかぶるくらいに注ぎ、酒大さじ3、うすくち醤油大さじ1で味つけする。

 

梅干しは、檀は「ていねいにそぎ切りする」と書いている。

その通りにやれば、檀の世界を一層感じられることになる。

 

強火にかけて、煮立ったら中火にし、出てきたアクをていねいに取る。

檀流イワシの煮付け作り方(2)

そのあと落としブタをし、20分くらい煮る。

もし途中で煮汁が少なくなりすぎたら、お茶を足すようにする。

 

20分たったら火を止めて、しばらく煮汁にひたして味をしみさせる。

檀流イワシの煮付け作り方(3)

そのあとイワシと梅干し、ついでにだし昆布とショウガも器に盛り、残った煮汁で1分ゆでたそうめんを少し煮て、味をしみさせる。

そうめんを添えるのは、檀ではなく、ぼくの流儀だ。

 

これは体験したことがない、驚愕のうまさなのである。

檀流イワシの煮付け

しかし同時にまちがいなく、「なるほど」と思うとおもう。

 

味がしみたそうめんも、もちろんうまい。

檀流イワシの煮付け

 
 

あとはポパイ炒め。

ポパイ炒め

卵とほうれん草を炒めたものは、京都ではこう呼ばれることがある。

ざく切りにしたほうれん草をバターを使って中火で炒め、砂糖とうすくち醤油で味つけしたら溶き卵をいれる。

ポパイ炒め 作り方

大きめにまとめて皿に盛り、七味をふる。

 

とろろ昆布の吸物。

とろろ昆布の吸物

かつお節ととろろ昆布、青ねぎをお椀にいれて湯をそそぎ、しょうゆで味つけ。

 

みょうがの冷奴。

みょうがの冷奴

一味とポン酢。

みょうがはタテに切ると、汁をかけてもシャッキリとしているのである。

 

檀流イワシの煮付けは久しぶりに作ったけれど、やはりすごい。

『檀流クッキング』はぼくのバイブルなのである。

 

「おっさん檀先生にかぶれてるよね。」

チェブラーシカのチェブ夫

「放浪したい」とか言ってるしな。

 

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◎関連書籍

檀一雄『檀流クッキング』
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◎関連記事

サウナのあとはラーメンを食べ、夜は軽い肴で晩酌したのである。

イワシのつみれを作るのは、それほど難しいこともないのである。

煮付けは日本が誇る、類まれなる魚の料理法なのである。

魚を煮れるようになると、料理の世界が大きく広がるのである。

ぼくの幸せは、これなのである。

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