ここは最高。【川崎・桜本 韓国家庭料理「慶尚道」】

慶尚道 その他の飲食店

慶尚道

きのう、川崎・桜本のコリア・タウンにある韓国家庭料理店「慶尚道」へ行った。ここはママは聡明、料理はうまくて値段は安く、最高だ。

 



 

韓国へは、大学の時にはじめて行って以来、10回以上行っており、韓国料理は大好き、韓国人の友達もいて、じつは韓国の女性と2回もつき合ったことがある。蒲田に住んでいたころは韓国パブに入りびたり、韓国については「それなりに知っている」と思っていた。

ところが「在日コリアン」については、まったく知らなかったのだ。

 

在日の人とつき合うようになったのは、ようやく6年前、京都へ来てから。

もちろん東京でも、知り合いに在日の人はいたかもしれない。でも少なくとも、その人の韓国名を知り、「在日だ」とわかってつき合ったことは、ほとんどなかった。

 

京都へ来ると、四条大宮の飲み屋街には、在日の店主やお客さんが何人もいた。それでも、その人たちの複雑な境遇に思いを馳せたことはなかった。

日本が朝鮮を併合したため、もともとは日本国民だった在日が、戦後になってその国籍を理不尽にうばわれ、現在でもいまだ十分な権利を与えられていないことを知ったのは、やっと1年前、在日コリアン差別へのカウンターに参加するようになってからだったのだ。

 

これはまったく不明の至りで、恥ずべきことだったと思う。

自国の歴史、とくに他国への加害の歴史をきちんと知り、それにたいして国民として謝罪の念をもち、国の責任を自覚するということは、誰にとっても必要なことだろう。

 

そういうわけで、川崎・桜本に「コリア・タウン」があることを、JR線で川崎の隣にある蒲田に長年住んでいたのに知らなかった。

コリア・タウンは、こないだ大阪・生野にあるのに遊びに行った。在日コリアンが経営する韓国料理屋や食材店が立ちならび、買い食いしながら酒を飲むのは最高だ。

そこできのう、「せっかく東京にいるのだから、桜本のコリア・タウンへ行ってみよう」と思い立ったのだ。

 

川崎駅からバスに10分くらい乗り、「四ツ橋」で降りる。

コリア・タウン

すると、「KOREA TOWN」と書かれた門がある。

ここから、500メートルくらい向こうにある反対側の門までが、桜本のコリア・タウン。

 

ところがどうも、様子がちがう、、

コリア・タウン

韓国料理屋がほとんどない。というかそれ以前に、飲食店が、ほとんどない。

あるのは、中国料理屋と沖縄料理屋、焼き鳥屋が1軒ずつ、それにかろうじて、焼肉屋が5軒くらい。

さびれた商店街よりさらに閑散とした状態で、ひとことで言ってしまえば、「ふつうの住宅街」だ。

 

聞くと、20~30年前までは、ここにも焼肉屋がぎっしりと立ちならび、「焼き肉を食べに行くなら、桜本コリア・タウン」だったのだとか。ところがそれから、お店は次々と廃業してしまったそうだ。

「なんだ、そうだったのか、、」

もうちょっと、ちゃんと調べて来ればよかった。しかしここまで来てしまった以上、何も食べずに帰るわけにはいかないのだ。

 

5軒ほどある焼肉屋は、どれもピカピカにきれいで大きな店で、あまり入る気はしなかった。その中で、1軒だけ、「韓国家庭料理の店」がある。

慶尚道

店のいで立ちは、スナック的。厚い扉で閉ざされて、中はよくわからない。

 

「ちょっとコワイな、、」

そうは思った。

でも「韓国家庭料理」と書いてるわけだから、お酒だけでなく料理も出してくれるはずだし、お店は小さいので、運がよければ、楽しい時間を過ごせるかもしれない、、

 

そこで、意を決して、その韓国家庭料理「慶尚道(キョンサンド)」に入ってみた。

そうしたら、ここが最高だったのだ。

 

 

扉を開けると、カウンター5~6席、テーブル3席ほどの、完全にスナック調のわりと明るい店内で、ママが一人、カウンターに座っていた。こちらは一見なのに、訝しそうな顔をすることなく、

「いらっしゃいませ~」

明るく出迎えてくれる。

ママはたぶん、40代。しかも、細身の美人。温泉場などの歌手として来日し、不景気であまり仕事がなくなって、スナックを始めたそうだ。

 

ほかに、お客さんは、誰もいない。

「やった、、」

おれは内心、ガッツポーズ。

スナックでは、ほかにお客さんが少ないほうが、ママや女性のサービスを集中的に受けられて、ハーレム状態、いいに決まっているのである。

 

やがてもう一人、出かけていた女性スタッフが帰ってきた。この女性は料理担当、ママは接客担当で、2人で店をやっているようだ。

 

この女性も、やはり韓国出身。ほんとうは、在日の店へ行ってみたいと思っていた。

でも在日の店へは、関西でいくらも行ける。べつに韓国人でも、この際特に問題ない。

 

まずビール。

慶尚道

 

野菜をうす味で炒めたの、ゆでブロッコリーにドレッシングをかけたの、それに豆腐に韓国風のタレをかけたのが、お通しとして出てきた。

慶尚道

慶尚道

 

料理を頼もうと思ってメニューをさがすと、「ない」と言う。

「ワタシの気分で作るのよ、、」

料理スタッフの女性は、ニヤリと笑う。

 

そこでまず、最後は炭水化物系でシメたいことを説明し、「クッパを作りましょうか?」というので、そうしてもらうことにした。でもその前に、もう一品。

計2品とし、あとの詳しい内容は、「おまかせ」ということにした。

 

それからやおら、女性は調理をスタートし、こちらがママと話しているあいだに、たちまち一品が出来上がった。

慶尚道

つぶ貝と野菜のチョジャン和え。

 

ゆでたたっぷりのつぶ貝に、きゅうりや青菜などの野菜、さらに梨とりんごも入っていて、そこに唐辛子酢みそ「チョジャン」が揉み込んである。

早速食べてみると、じつにウマイ。コリッとしたつぶ貝と、チョジャンの相性は最高で、また梨とりんごが、さわやかな甘味を出している。

「ここは、アタリだった、、」

これを食べた時点で、確信した。

 

話も、大変盛り上がった。ママは、「聡明な韓国女性」という感じ。

韓国は、以前にくらべれば景気はいいし、為替の換算レートも、最近は円安で分が悪いから、このごろは、単に稼ぐことだけを目的とした韓国人は、おおかた韓国へ帰ったと聞く。

いま日本にいる韓国人は、日本に根付き、社会的責任も果たしながらやっていこうとする人たちで、このママも、そういう一人なのだと思う。

 

慰安婦や在日についての話にもなった。

「日本は、詫びるべきは詫び、果たすべき責任は果たした上で、これからのことを考えないとけないはずで、そういう日本になるように、デモなどに参加している」

と話すと、

「カッコイイじゃん!」

と、誉められた 笑

 

先に出た料理を食べ終わっても、まだ話が盛り上がっていたために、「サービス」として、料理をもう一品出してくれた。

慶尚道

これが、また激ウマ。

たっぷりのホルモンと、玉ねぎなどの野菜を、ニンニクと塩コショウのみで炒めたもの。ニンニクは潰したりおろしたりしていないので、ニンニク味が淡くほんのりとしているのが、またたまらない。

 

料理を食べたら、やはりカラオケ。

慶尚道

ママにも歌ってもらったら、さすが歌手。井上陽水「傘がない」を、難しい歌であるにもかかわらず巧みに歌いこなしている。

この店は、こうしてプロの歌声まで聞けるのだ。

 

そして最後に、シメのクッパ。

慶尚道

これには、死んだ。

 

具は、ホルモンと、イカにあさり、それから野菜。それがほんのり赤い、しかしそれほど辛くはないスープで煮られていて、このスープがまた、やさしく、深いコクがある。

韓国女性は、辛くない料理をどれだけ作れるかで、料理の腕を競うところがあると聞く。

そういう意味で考えると、この女性スタッフ、かなりのスゴ腕なのはまちがいない。

 

そして最後にお勘定。値段をイチイチ聞かなくても、ママがきちんとしているので、ボラれることはないとわかっていた。

実際、3時間にわたって滞在し、お酒はフルで飲み、料理もたらふく食べて、さらにママと女性スタッフに一杯ずつおごったにも関わらず、この手の店としてはかなり安かったと思う。

7,800円。

内訳は、たぶん、

  • セット料金(お通しとビール1本) 2,000円
  • チャミスル 1,000円×2本=2,000円
  • 料理 1,000円×2品=2,000円
  • ママへのビール1本 1000円
  • 女性スタッフへのソフトドリンク 800円

という感じではなかったかと思う。
(そのほかにカラオケ代200円×5曲=1,000円)

 

チャミスルを2本も飲んだから、完全に泥酔状態。フラフラになりながら、蒲田の宿へ帰りついた。

おかげできょうも、酒は少し残っている。

でもこんなにいい店で、極上の時間を過ごしたのだから、それも仕方がないことなのだ。

 

◎慶尚道

場所 桜本コリア・タウン(セメント通り)真ん中へん
電話 044-276-9699
営業時間 17時~24時
定休日 日曜・祝日

 

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